
【施設向け】外国人介護人材 受け入れの現状データ【2026年最新】|人数・割合・国籍別・在留資格別
結論|3行で理解する
介護分野の特定技能外国人は6万7,871人(2025年12月末・速報値)。半年で+23.6%と増え続けています。
一方で、外国籍の職員を受け入れている介護事業所は15.8%(2024年度調査)にとどまり、約8割はまだ受け入れていません。「もう当たり前」でも「まだ珍しい」でもなく、“急速に広がっている途中”というのが2026年時点の正確な現状です。この記事では、出入国在留管理庁・厚生労働省・介護労働安定センターの公的統計だけを使い、在留資格別・国籍別・都道府県別の人数を「出典URLと時点」つきで整理しました。理事会や職員説明の資料に、そのまま引用して使える形にしています。
この記事の早見ナビ
外国人介護人材の受け入れは今どこまで進んだか(最新の全体像)
「外国人の介護職員は、実際のところ今どれくらいいるのか」。理事会や職員説明の場でこれを聞かれたとき、感覚や業者資料ではなく公的統計の数字と時点で答えられるかどうかで、話の進み方は大きく変わります。まずは全体像を3つの数字で押さえましょう。
| 押さえる数字 | 最新値 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| 介護分野の特定技能外国人(1号) | 67,871人 半年前比 +23.6% | 2025年12月末・速報値/出入国在留管理庁 |
| 在留資格「介護」(介護福祉士) | 15,891人 前年末比 +30.0% | 2025年12月末/出入国在留管理庁「在留外国人統計」 |
| 外国籍職員を受け入れている介護事業所の割合 | 15.8% 前年度比 +2.4ポイント | 2024年度調査(有効回答8,978事業所)/介護労働安定センター |
この3つを並べると、現状の性格がはっきりします。人数は毎年はっきりと増えているのに、受け入れている事業所の数はまだ全体の6分の1程度。つまり「一部の施設が複数名ずつ受け入れている」段階から、「受け入れる施設そのものが増えていく」段階に移りつつある、というのが2026年時点の位置づけです。
もう少し視野を広げると、介護分野は特定技能制度全体のなかでも主役級の分野になっています。特定技能1号の在留者は全16分野で38万2,341人。そのうち介護は6万7,871人で、飲食料品製造業(9万3,393人)に次ぐ第2位・構成比17.8%です。制度が始まった2019年当時、介護分野の在留者はわずか19人でした(2019年12月末)。
リウス(インドネシア出身・ジンザイネシア)
📌 公式情報源
・出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」(半年ごと更新・分野別/国籍別/都道府県別)
・出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
・介護労働安定センター「介護労働実態調査」
在留資格別の人数|EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」
外国人が介護の仕事に就くための在留資格(いわゆるビザ)は、大きく4つあります。それぞれ制度の目的も、統計を集計している役所も、公表の時点も違うため、4つを1つの表に並べるときは必ず「何年何月時点か」を添えるのが鉄則です。厚生労働省が制度の現況としてまとめている数字と、より新しい出入国在留管理庁の統計を並べると次のようになります。
| ルート | 最新の人数と時点 | 制度の趣旨 | 受け入れ側から見た特徴 |
|---|---|---|---|
| EPA(経済連携協定) 2008年〜 | 3,252人 (うち介護福祉士の資格取得者452人) 2025年3月1日時点 | 二国間の経済連携の強化 | インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国限定。国際厚生事業団(JICWELS)経由。原則4年で国家試験合格を目指す |
| 在留資格「介護」 2017年9月〜 | 15,891人 2025年12月末 | 専門的・技術的分野の外国人の受け入れ | 介護福祉士の国家資格者が対象。在留期間の更新回数に上限がなく、家族の帯同も可能 |
| 技能実習(介護職種) 2017年11月〜 | 15,909人 2023年12月末 ※職種別内訳は公表頻度が低い | 本国への技能移転 | 2027年4月1日に育成就労制度へ移行(公布:令和6年6月21日 法律第60号)。これからの新規計画は育成就労前提で |
| 特定技能1号(介護分野) 2019年4月〜 | 67,871人 2025年12月末・速報値 | 人手不足対応のため一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れ | 試験合格者を即戦力として採用できる。在留は通算5年。4ルートで最大かつ最も伸びが速い |
数字の大きさだけを見ると、いま介護現場に入ってくる外国人材の主力は明確に特定技能1号です。4ルートの合計に占める割合でいえば、特定技能だけで実数の6割超を占めます。次いで在留資格「介護」が国家資格者として定着し、技能実習は育成就労への移行期にあり、EPAは規模としては限定的な位置づけ、という構図になります。
ただし「特定技能が一番多いから特定技能を選べばよい」という単純な話ではありません。4つは目的も在留期間も違うため、自施設が「今すぐの人手」を求めているのか「10年働く戦力」を求めているのかで選び方が変わります。制度ごとの要件・費用・手続きの比較は外国人介護人材の受け入れ方|4つの在留資格ルート比較で詳しく整理しています。各ルートの個別解説は、EPA介護福祉士候補者とは/介護の技能実習生 受け入れガイド/育成就労は介護で使えるか/外国人介護福祉士になるにはもあわせてご覧ください。
リウス
📌 公式情報源
・厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
・出入国在留管理庁「在留手続」(在留資格「介護」の要件)
・国際厚生事業団(JICWELS)(EPAの受け入れ実務)
特定技能「介護」の人数の推移|6年で19人から6万7,871人へ
「増えている」と言葉で言うより、半年ごとの実数を並べるほうが説得力があります。出入国在留管理庁は特定技能の在留者数を毎年6月末・12月末の2回公表しており、介護分野だけを抜き出すと次のような推移になります。
| 時点 | 介護分野の在留者数 | 半年での増加 |
|---|---|---|
| 2019年12月末 | 19人 | 制度開始初年度 |
| 2020年12月末 | 939人 | +769人 |
| 2021年12月末 | 5,155人 | +2,452人 |
| 2022年12月末 | 16,081人 | +5,670人 |
| 2023年12月末 | 28,400人 | +6,485人 |
| 2024年12月末 | 44,367人 | +7,648人 |
| 2025年6月末 | 54,916人 | +10,549人 |
| 2025年12月末(最新) | 67,871人 | +12,955人(+23.6%) |
出典:2019年12月末〜2024年12月末は厚生労働省 社会・援護局が出入国在留管理庁公表データをもとに作成した資料、2025年6月末・12月末は出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」(PDF)。2025年12月末はすべて速報値。
注目したいのは増加ペースそのものが速くなっている点です。半年あたりの増加数は2022年ごろまで5,000〜6,000人規模でしたが、直近の半年は約1万3,000人。この1年(2024年12月末→2025年12月末)だけで2万3,504人増え、1年で約1.53倍になりました。
背景には、海外での試験実施の広がりがあります。特定技能「介護」で来日するには介護技能評価試験と介護日本語評価試験の合格が必要ですが、この試験は2025年1月時点で国内47都道府県に加え、フィリピン・カンボジア・ネパール・インドネシア・モンゴル・タイ・ミャンマー・インド・スリランカ・ウズベキスタン・バングラデシュ・ベトナムの海外12か国で実施されています。累計合格者は介護技能評価試験が12万220人、介護日本語評価試験が11万3,572人(いずれも2019年4月〜2025年1月の実績)。うち介護技能評価試験の海外合格者は7万9,498人にのぼり、すでに合格しているのに、まだ日本の受け入れ先が決まっていない人が相当数いることを示しています。
これは受け入れ側から見ると重要な意味を持ちます。「人がいないから採れない」のではなく、「受け入れ体制を整えた施設から順に採れている」という状況です。試験の内容や合格状況は介護技能評価試験とは?難易度・合格率で詳しく解説しています。
📌 公式情報源
・出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」(PDF)
・厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(試験の実施要領・実施状況)
「この数字を、自施設の話に置き換えるとどうなるか」を整理したい方へ
施設の規模・現在の欠員数・地域の求人状況を伺えば、どのルートで・何名を・いつまでに受け入れるのが現実的かを、公的データに基づいて整理してご案内します。無理な提案はいたしません。
国籍別の内訳|上位5か国で9割超・順位の入れ替わり
「どこの国の人が働いているのか」は、理事会でも職員説明でも必ず出る質問です。介護分野は特定技能の他分野と国籍構成が大きく異なり、介護だけを見ると全体順位とは違う顔ぶれになります。
| 順位 | 国籍・地域 | 介護分野の人数 | 介護分野に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | インドネシア | 21,139人 | 約31.1% |
| 2 | ミャンマー | 19,803人 | 約29.2% |
| 3 | ベトナム | 10,401人 | 約15.3% |
| 4 | ネパール | 6,013人 | 約8.9% |
| 5 | フィリピン | 5,704人 | 約8.4% |
| 6 | 中国 | 1,340人 | 約2.0% |
| — | タイ/カンボジア/その他 | 3,471人 | 約5.1% |
| 計 | 介護分野 合計 | 67,871人 | 100% |
出典:出入国在留管理庁「特定技能1号 在留外国人数(主な国籍・地域別/特定産業分野別)」第1表(PDF)(令和7年12月末現在・速報値)。割合は編集部で算出。
ここで押さえておきたいのが、特定技能全体と介護分野では上位国が入れ替わるという点です。特定技能1号の全分野合計ではベトナムが15万8,497人(41.5%)で圧倒的な1位ですが、介護分野に限ると3位(15.3%)。代わってインドネシアとミャンマーが上位を占め、この2か国だけで介護分野の約6割を占めています。
| 国籍・地域 | 特定技能1号 全分野での順位・割合 | 介護分野での順位・割合 |
|---|---|---|
| ベトナム | 1位・41.5%(158,497人) | 3位・約15.3% |
| インドネシア | 2位・22.6%(86,523人) | 1位・約31.1% |
| ミャンマー | 3位・11.6%(44,315人) | 2位・約29.2% |
| フィリピン | 4位・9.3%(35,521人) | 5位・約8.4% |
| 中国 | 5位・5.6%(21,418人) | 6位・約2.0% |
順位の変化も重要な現状です。厚生労働省の集計によれば、介護分野で在留者数の多い上位3か国は2023年12月末時点ではベトナムが最多でしたが、2024年12月末時点でインドネシア・ミャンマー・ベトナムの順に入れ替わりました。そして最新の2025年12月末でもこの順位が続いています。つまり「介護分野ではここ2年でインドネシアが最多になった」というのが、公的統計で確認できる事実です。
なお、国籍によって介護職としての適性に優劣があるわけではありません。上位に来ている国は、送り出しの体制が整っている・海外で試験が実施されている・EPAで長年の実績がある、といった制度側の条件によるところが大きいという点は、職員説明の場でも押さえておきたいポイントです。国ごとの文化・生活面の配慮についてはインドネシア人と働く|文化・宗教・コミュニケーションの基礎やムスリムの介護職員に配慮すべき5つのポイントが参考になります。
在留資格「介護」(介護福祉士)の広がり
特定技能の陰に隠れがちですが、経営判断としてより重要なのが在留資格「介護」の伸びです。これは介護福祉士の国家資格を取得した外国人が取得できる在留資格で、2017年9月に新設されました。在留期間の更新回数に上限がなく(実質的に期限なく働ける)、配偶者・子の帯同も認められます。
| 時点 | 在留資格「介護」の人数 | 前年末比 |
|---|---|---|
| 2020年末 | 1,714人 | — |
| 2021年末 | 3,794人 | 約2.2倍 |
| 2022年末 | 6,284人 | 約1.7倍 |
| 2023年末 | 9,328人 | 約1.5倍 |
| 2024年末 | 12,227人 | 約1.3倍 |
| 2025年末(最新) | 15,891人 | +30.0% |
出典:出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」(在留資格別 在留外国人数の推移)。
5年で約9.3倍。増加率でいえば特定技能に匹敵するペースです。この伸びが意味するのは、「一時的な人手」ではなく「国家資格を持って長く働く外国人職員」が着実に積み上がっているということです。介護福祉士は施設のサービス提供体制強化加算などにも関わる資格であり、経営面でも意味を持ちます。
在留資格「介護」に至るルートは複数あります。①養成施設ルート(留学生として来日し養成施設を2年以上)、②実務経験ルート(特定技能などで就労しながら3年以上の実務経験+実務者研修を経て国家試験)、③EPAルート。とくに②は、いま特定技能1号で受け入れている職員が、在留5年の上限を迎える前に国家資格を取って在留資格「介護」に切り替えるという道筋であり、6万7,871人という特定技能の母数を考えれば、今後この人数はさらに増えていくと見込まれます。
リウス
国家資格取得の支援方法は外国人介護福祉士になるには|4つのルート・国家試験・企業ができる支援で、日本語力の段階別にできる業務は介護人材の日本語レベル(N4・N3・N2)で任せられる業務の違いで詳しく解説しています。
📌 公式情報源
・出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
・厚生労働省「社会福祉士・介護福祉士等」(国家資格・養成施設の経過措置)
都道府県別の受け入れ状況(都市部と地方の差)
「うちの地域ではまだ珍しいのでは」という感覚は、実際には都道府県によってかなり事情が違います。出入国在留管理庁は特定技能の在留者数を都道府県別・分野別でも公表しており、介護分野だけを抜き出すと次の通りです。
| 順位 | 都道府県 | 介護分野の特定技能1号 | 全国に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 大阪府 | 6,446人 | 約9.5% |
| 2 | 東京都 | 5,312人 | 約7.8% |
| 3 | 愛知県 | 4,780人 | 約7.0% |
| 4 | 埼玉県 | 4,427人 | 約6.5% |
| 5 | 神奈川県 | 3,566人 | 約5.3% |
| 6 | 北海道 | 3,489人 | 約5.1% |
| 7 | 兵庫県 | 3,327人 | 約4.9% |
| 8 | 千葉県 | 3,249人 | 約4.8% |
| 9 | 福岡県 | 2,728人 | 約4.0% |
| 10 | 茨城県 | 1,728人 | 約2.5% |
出典:出入国在留管理庁「都道府県別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数」第2表(PDF)(令和7年12月末現在・速報値)。割合は編集部で算出。都道府県は在留外国人の住居地に基づきます。
ここから読み取れる現状は3つあります。
①上位10都道府県で全国の約6割弱。 大都市圏に集中しているのは事実です。ただし、上位10位以内に北海道(3,489人)と茨城県(1,728人)が入っている点は見逃せません。人口規模では上位ではない地域でも、施設側が体制を整えれば十分に受け入れが進むことを示しています。
②中位県にもまとまった実績がある。 岐阜県1,703人、静岡県1,637人、広島県1,495人、京都府1,469人、群馬県1,396人、熊本県1,279人、三重県1,112人など、1,000人を超える県は多数あります。「自分の県では前例がない」という状況は、いまやほとんどの都道府県で当てはまりません。
③地域ごとの人手不足の深刻さと連動する。 厚生労働省の職業安定業務統計によれば、介護関係職種の有効求人倍率は全国平均で3.97倍(2025年3月)と、全職業計の1.16倍を大きく上回っています。最も高い東京都は7.65倍。1人の求職者を約8つの求人が奪い合っている計算です。都市部ほど外国人材の受け入れが進んでいるのは、日本人職員の採用がそれだけ難しいという裏返しでもあります。
地域別の具体的な進め方・補助金は、東京/大阪/愛知/埼玉/神奈川/千葉/福岡/北海道の各版をご覧ください。
📌 公式情報源
・出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」(都道府県別・分野別の詳細表)
・厚生労働省「外国人雇用対策」
事業所ベースで見た「受け入れている施設」の割合
ここまでは「人数」の話でした。しかし理事会で本当に効くのは、「同じような施設のうち、どれくらいが受け入れているのか」という事業所ベースの数字です。これは介護労働安定センターの「介護労働実態調査」で毎年調べられています(2024年度調査/有効回答8,978事業所/2025年7月28日公表)。
| 受け入れている在留資格(複数回答) | 2024年度調査 | 2023年度調査 |
|---|---|---|
| 在留資格「介護」 | 7.6% | 6.9% |
| 在留資格「特定技能1号」 | 7.6% | 6.0% |
| 技能実習生 | 5.2% | 4.8% |
| 留学生 | 2.0% | 1.4% |
| EPA(経済連携協定) | 1.0% | 1.0% |
| いずれかを受け入れている事業所 | 15.8% | 13.4% |
| いずれも受け入れていない | 78.8% | 82.5% |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査 結果の概要」(2025年7月28日公表・有効回答8,978事業所)。
この表は、理事会での説明にそのまま使える形をしています。ポイントは3つです。
①「約8割はまだ受け入れていない」は事実。 だから「うちだけ遅れている」という焦りは不要です。ただし1年で2.4ポイント上がっており、受け入れ側に回る施設が着実に増えているのも同時に事実です。
②在留資格「介護」と特定技能1号が同率トップ(各7.6%)。 特定技能だけが突出しているわけではなく、国家資格者を雇っている施設も同じくらいある、というのは現場感覚と少し違うかもしれません。
③受け入れ経験の有無で、今後の方針がはっきり分かれる。 ここが最も示唆的です。
| 今後の受け入れ方針 | すでに受け入れている事業所 (n=1,417) |
受け入れていない事業所 (n=7,075) |
|---|---|---|
| 積極的に受け入れを拡大したい | 32.3% | — |
| 現在の水準を補充する程度の受け入れ | 49.3% | — |
| 新たな受け入れはしない予定 | 14.1% | — |
| 今後、受け入れを検討してみたい | — | 30.1% |
| 受け入れたいが手続きがわからない | — | 6.8% |
| 今後も受け入れようとは思わない | — | 59.2% |
すでに受け入れている事業所のうち81.6%(32.3%+49.3%)が今後も受け入れを続けると答え、「新たな受け入れはしない」は14.1%にとどまります。一方で未経験の事業所は59.2%が「受け入れようとは思わない」。一度受け入れてみた施設ほど継続するという構図が、この2つの数字にはっきり表れています。
受け入れ側が挙げた課題も、判断材料として押さえておきましょう。
| 受け入れの課題(3つまでの複数回答) | 全体 | 受け入れている | 受け入れていない |
|---|---|---|---|
| 利用者や他の従業員との意思疎通(日本語・意思の伝え合い)が難しい | 36.5% | 38.4% | 37.1% |
| 受け入れのための住宅や寮などの確保が困難 | 23.6% | 22.4% | 24.3% |
| 仕事上のサポート役の負担が大きい | 22.4% | 25.3% | 22.3% |
| 受け入れのためのコストが高い | 19.3% | 35.3% | 16.8% |
| 受け入れの手続きが煩雑 | 14.8% | 19.6% | 14.1% |
| 利用者が外国籍職員によるサービス提供に抵抗がある | 12.8% | 5.9% | 14.5% |
興味深いのは最下段です。「利用者が抵抗を感じるのでは」という懸念は、受け入れていない事業所では14.5%が挙げるのに対し、実際に受け入れている事業所では5.9%まで下がります。逆に、受け入れている事業所ほど「コストが高い」(35.3%)「手続きが煩雑」(19.6%)という実務的な課題を挙げます。つまり心配していたことと、実際に起きることは違うという構造が、公的調査ではっきり出ているわけです。
意思疎通・住宅・指導役の負担といった課題への具体的な備え方は、外国人介護士の受け入れ デメリット・課題と対策と外国人介護スタッフの指導方法|OJT・育成・定着のコツで整理しています。
📌 公式情報源
・介護労働安定センター「介護労働実態調査」(事業所調査・労働者調査/毎年実施)
介護人材の需給の見通しと、外国人材が占める位置
受け入れの是非を判断するには、「今の人数」だけでなく「これから何人足りなくなるのか」を併せて見る必要があります。厚生労働省は第9期介護保険事業計画(2024〜2026年度)のサービス見込み量をもとに、都道府県が推計した介護職員の必要数を集計・公表しています(2024年7月12日公表)。
| 年度 | 介護職員の必要数 | 2022年度(約215万人)との差 |
|---|---|---|
| 2022年度(実績) | 約215万人 | — |
| 2026年度 | 約240万人 | +約25万人(年あたり約6.3万人の純増が必要) |
| 2040年度 | 約272万人 | +約57万人(年あたり約3.2万人の純増が必要) |
出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2024年7月12日公表)。2022年度の介護職員数約215万人は「令和4年介護サービス施設・事業所調査」による。
この推計を、先ほどの外国人材の数字と重ねると、位置づけがはっきりします。
- 2026年度までに必要な純増は年あたり約6.3万人
- 介護分野の特定技能は、直近1年で約2.35万人増(44,367人→67,871人)
- つまり外国人材は、必要な純増のうちおよそ3分の1程度を担う規模まで来ている
一方で、日本人職員の状況も同時に見ておく必要があります。介護職員の離職率は2023年度で13.1%と、以前より低下傾向にあります(産業計は15.4%)。事業所別に見ると離職率10%未満の事業所が50.7%を占める一方、30%以上の事業所も13.1%あり、施設によるばらつきが非常に大きいのが特徴です。
ここが判断の分かれ目になります。外国人材の受け入れは「頭数を埋める手段」として捉えると失敗しやすく、離職率を下げる取り組みとセットで初めて効果が出ます。実際、介護労働実態調査で職場定着に効果があった方策の1位は「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(34.4%)であり、これは日本人にも外国人にも共通して効きます。
なお当社の場合、支援している外国人材の離職率は5.6%です(自社実績・2026年6月時点)。数字の背景には、面接段階での相互理解、入社後の生活支援、日本語学習の継続といった積み重ねがあります。人手不足の構造そのものについては介護の人手不足はなぜ起きる?原因データと解決策で、省人化との組み合わせは介護のICT・見守りシステムで省人化する完全ガイドで詳述しています。
📌 公式情報源
・厚生労働省「介護・高齢者福祉」(介護人材の必要数・確保対策)
・厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(介護職員数の実績)
数字を読むときの注意点(時点・出典・数え方の違い)
ここまでの数字を資料に載せる前に、必ず押さえておきたい「読み方のルール」があります。外国人材に関する統計は、集計する役所も対象も公表時期もバラバラで、知らずに並べると資料の信頼性を落としかねません。
| 統計の名称 | 作成元 | 数えているもの | 公表の頻度・注意点 |
|---|---|---|---|
| 特定技能在留外国人数 | 出入国在留管理庁 | 分野別・国籍別・都道府県別の在留者数 | 半年ごと(6月末・12月末基準)。公表は基準日の約3か月後。速報値のため後日修正あり |
| 在留外国人統計 | 出入国在留管理庁 | 在留資格別の在留者数(「介護」「技能実習」等) | 半年ごと。技能実習は職種別の内訳が出ない(介護だけを切り出せない) |
| 介護分野の制度別受入状況 | 厚生労働省 | EPA・技能実習(介護職種)等の人数 | 審議会資料等で不定期。制度ごとに時点がそろわない |
| 介護労働実態調査 | 介護労働安定センター | 事業所の割合(人数ではない) | 年1回(前年度分を夏ごろ公表)。標本調査のため回答事業所の構成に左右される |
| 職業安定業務統計 | 厚生労働省 | 介護関係職種の有効求人倍率 | 月次。ハローワーク経由分のみで、民間求人は含まれない |
とくに間違えやすい5点を挙げます。
①「在留者数」と「働いている人数」は完全には一致しない。 在留資格を持って日本にいる人の数であり、転職活動中や在留資格の変更手続き中の人も含まれます。
②技能実習の「介護職種」だけを切り出した数字は古くなりやすい。 在留外国人統計では技能実習は職種別に分かれないため、介護だけの人数は厚生労働省の別集計に頼ることになり、公表時点が1〜2年前になることがあります。本記事で技能実習を15,909人(2023年12月末)としているのはこのためです。
③EPAは「候補者」と「資格取得者」で数え方が違う。 3,252人という数字には、まだ国家試験に合格していない候補者と、合格して介護福祉士として働いている452人の両方が含まれます(2025年3月1日時点)。合格後に在留資格「介護」へ切り替えた人は、EPAの数字から抜けて「介護」の側に移ります。
④二重計上と移動を意識する。 特定技能1号で働いていた人が国家資格を取れば在留資格「介護」に移り、特定技能の数字からは減ります。増減を見るときは「制度間の移動」があることを前提にしてください。
⑤2027年4月に制度が変わる。 技能実習制度は育成就労制度へ移行します(2027年4月1日施行/公布:令和6年6月21日 法律第60号)。今後の統計では「技能実習」の数字が減り「育成就労」が立ち上がるため、単純な前年比較ができなくなります。施行までのスケジュールは育成就労はいつから?2027年4月施行の準備カレンダーで確認できます。
リウス
このデータを自施設の判断にどう使うか
最後に、ここまでの数字を「自施設が受け入れるかどうか」の判断にどう落とすかを整理します。理事会・職員説明で使う順番として、次の4ステップをおすすめします。
| 順番 | 示す数字 | 伝わること |
|---|---|---|
| 1 前提 | 介護職員の必要数:2026年度 約240万人/2040年度 約272万人(2022年度 約215万人) | 受け入れの検討は「今の欠員」ではなく「今後15年の構造」への対応だと位置づけられる |
| 2 現状 | 介護分野の特定技能 67,871人(2025年12月末・速報値)、在留資格「介護」15,891人(同) | 「まだ一般的でない」という前提が事実と合っていないことを、公的数字で示せる |
| 3 立ち位置 | 受け入れている事業所 15.8%/未受け入れ 78.8%。受け入れ経験者の81.6%が継続方針 | 「先行組ではあるが無謀ではない」という現実的な位置づけを共有できる |
| 4 課題 | 課題の1位は意思疎通36.5%、住宅確保23.6%、サポート役の負担22.4% | 反対意見を先回りして議題に載せられる(=反対のための反対を減らせる) |
この4ステップの順番には理由があります。いきなり「外国人を入れましょう」と提案すると、議論が賛成・反対の感情論になりがちです。まず需給の構造(ステップ1)から入り、次に世の中の現状(2)、自施設の相対的な位置(3)、そして課題(4)と進めると、「やるかどうか」ではなく「やるとしたら何を準備するか」に議題が移ります。
そのうえで、実際に動き出すときに最初に決めるべきことは次の3つです。
- ①どのルートで受け入れるか:すぐの人手なら特定技能1号、未経験から育てるなら育成就労(2027年4月〜)、長期戦力なら在留資格「介護」への道筋づくり。→4ルートの比較
- ②いつまでに何名か:海外から特定技能で受け入れる場合、方針決定から入社までおおむね半年を見込みます。介護分野の特定技能協議会には在留諸申請を行う前に入会が必要な点を見落とさないでください。→協議会の加入と入会証明書の取り方
- ③費用と支援体制:初期費用・月額の支援委託費、住居の確保、指導役の割り当てまで含めて試算します。→介護の外国人採用|費用・期間・流れ/使える補助金・助成金/自治体の支援制度
支援を委託する登録支援機関の選び方は登録支援機関とは?選び方・費用を、訪問系サービスでの受け入れ可否は訪問介護は外国人でもできる?をご覧ください。全体像から確認したい場合は介護施設の外国人採用 完全ガイドが出発点になります。
リウス
よくある質問
各項目をタップすると回答が開きます。回答はすべて出入国在留管理庁・厚生労働省・介護労働安定センターの一次情報に基づきます(2026年8月時点)。
Q. 外国人の介護職員は日本全体で何人いますか?
Q. 介護事業所のうち、どれくらいが外国籍職員を受け入れていますか?
Q. 介護分野で最も多い国籍はどこですか?
Q. 都道府県別ではどこが多いですか?地方でも受け入れは進んでいますか?
Q. 統計データはいつ更新されますか?最新かどうかをどう確認すればよいですか?
Q. 2027年4月から制度が変わると聞きました。今のデータはどう変わりますか?
Q. 介護分野の人手不足は、外国人材でどこまで補えるのですか?
Q. 受け入れている施設は、実際に何を課題だと感じていますか?
関連記事
制度・費用・定着まで全体像 外国人介護人材の受け入れ方|4ルート比較
自社に合うルートの選び方 介護の人手不足はなぜ起きる?
原因データと解決策 介護の外国人採用 費用と流れ
初期・月額の内訳と手続き 介護分野 特定技能協議会への加入
在留申請の前に必須 外国人介護福祉士になるには
国家資格取得と企業の支援 EPA介護福祉士候補者とは
仕組みと特定技能との違い 育成就労は介護で使える?
2027年4月〜の対象業務・人数枠 受け入れのデメリット・課題と対策
失敗しない実務ポイント 介護技能評価試験とは
難易度・合格状況データ 訪問介護は外国人でもできる?
2025年4月の解禁要件 登録支援機関とは|選び方ガイド
委託前に確認すべき点
数字は集まった。次は「自施設ならどうか」を決める番です
介護分野の受け入れは、施設の規模・地域・現在の欠員数によって最適な進め方が変わります。ジンザイネシアは登録支援機関(24登-007405)として、公的データと実務の両面から、御施設に合った受け入れ計画を無理なく整理してご案内します。
無料・オンライン可・しつこい営業はいたしません。
📌 この記事で使ったデータの出典(ブックマーク推奨)
| 出典 | この記事で使った数字 | 時点 |
|---|---|---|
| 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」(PDF) | 特定技能の総数・分野別・国籍別・都道府県別 | 2025年12月末(速報値) |
| 出入国在留管理庁「特定技能1号 詳細表(国籍別・分野別/都道府県別・分野別)」(PDF) | 介護分野の国籍別・都道府県別の内訳 | 2025年12月末(速報値) |
| 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」 | 最新の公表資料一覧(半年ごと更新) | 随時 |
| 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」 | 在留資格「介護」の人数と推移 | 2025年12月末 |
| 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」 | 4ルートの制度概要・試験の実施状況・協議会 | 随時更新 |
| 介護労働安定センター「介護労働実態調査」 | 受け入れ事業所の割合・今後の方針・課題・離職率 | 令和6年度(2025年7月公表) |
| 厚生労働省「介護・高齢者福祉」 | 介護職員の必要数(2026年度・2040年度) | 2024年7月公表 |
| 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」 | 介護職員数の実績(約215万人) | 令和4年度 |
| 出入国在留管理庁 | 制度全般・在留手続・育成就労への移行 | 随時 |
※ 本記事の数値はすべて公表資料に基づく2026年8月時点の内容です。特定技能の在留者数は速報値であり、後日修正される場合があります。統計は半年〜1年ごとに更新されるため、実際の判断にあたっては各出典で最新値をご確認ください。
※ 当社の離職率5.6%は自社実績(2026年6月時点)であり、他社・業界平均との比較を意図したものではありません。

この記事を書いた人
西澤 志門株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。

この記事を監修した人
吉田 卓司株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。
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