
トラックドライバー不足の実態と原因|求人倍率2.49倍・2024年問題・外国人材という打ち手【2026年最新】
結論|3行で理解する
ドライバー不足は「募集の出し方」の問題ではありません。求人倍率2.49倍・平均年齢51.5歳という、業界全体の構造の問題です。
トラック運転者の有効求人倍率は令和7年度で2.49倍。全職業平均が1.10倍まで下がるなかで、運転者だけが上がり続けています。平均年齢は51.5歳(全産業44.4歳)、29歳以下は10.0%しかいません。つまり「今いる人が抜けていくのに、入ってくる人がいない」状態です。この記事では、公表されている統計で自社の位置を確かめ、原因を労働時間・収入・年齢構成の3つに切り分け、賃上げ・働き方の見直し・採用の入口を広げる(外国人材を含む)という打ち手を、効果が出るまでの時間と一緒に比べます。自社の年齢構成から5年後の運転者数を出す手順も、そのまま使える形で用意しました。
この記事の早見ナビ
- 数字で見るドライバー不足の実態|求人・年齢・労働時間・収入
- トラックドライバー不足の原因を3つに分けて見る
- 物流の2024年問題とは|年960時間の上限規制で現場の何が変わったか
- 2024年問題への対策として国と業界が進めていること
- 「2030年に34%不足」はもう古い|公表データの正しい読み方
- 賃上げだけでは埋まらない理由|採用の入口そのものを広げる
- 自社の状況を確かめる手順|年齢構成から5年後の運転者数を出す
- 外国人材で埋められる範囲|運転・倉庫・整備で制度が違う
- すぐには埋まらない現実|枠2万2,100人に対して151人という数字
- 外国人材を受け入れる場合、最初の3か月でやること
- よくある質問
数字で見るドライバー不足の実態|求人・年齢・労働時間・収入
「募集を出しても1人も来ない」。運送会社の経営者から最も多く聞く言葉です。まず確かめていただきたいのは、それが自社だけの現象なのか、業界全体の現象なのかという点です。答えは後者です。国が公表している統計を並べると、輪郭がはっきりします。
下の表は、厚生労働省と総務省が公表している最新値(令和7年=2025年の調査)をまとめたものです。この5つの数字が、ドライバー不足のほぼすべてを説明します。
| 指標 | トラック運転者 | 全産業・全職業平均 | 差の意味 |
|---|---|---|---|
| 有効求人倍率 令和7年度 | 2.49倍 | 1.10倍 | 1人の求職者を2.5社が奪い合う。全職業の約2.3倍の競争 |
| 平均年齢 令和7年 | 51.5歳(大型) 50.3歳(大型を除く) | 44.4歳 | 全産業より約7歳高い。定年の波が先に来る |
| 29歳以下の割合 令和7年・道路貨物運送業 | 10.0% | 17.0% | 若手の入口が約6割の細さしかない |
| 年間労働時間 令和7年 | 2,496時間(大型) 2,388時間(大型を除く) | 2,076時間 | 全産業より年420時間長い(1か月分以上) |
| 年間収入額 令和7年 | 507万円(大型) 449万円(大型を除く) | 546万円 | 長く働いて年39万〜97万円少ない |
この表の読み方は単純です。全産業より年420時間長く働いて、収入は年39万〜97万円少ない。この条件で「1人の求職者を2.5社が奪い合う」市場に募集を出しているのが、いまの運送業です。求人票の書き方を工夫しても、この条件差が埋まらない限り応募は増えません。
いちばん見逃されている変化=求人倍率だけが逆方向に動いている
より深刻なのは推移のほうです。厚生労働省「職業安定業務統計」で有効求人倍率の6年分を並べると、全職業平均は令和4年度をピークに下がっているのに、トラック運転者だけが上がり続けています。
| 年度 | トラック運転者 | 全職業平均 | 倍率差 |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 1.94倍 | 1.01倍 | 1.92倍 |
| 令和3年度 | 1.96倍 | 1.05倍 | 1.87倍 |
| 令和4年度 | 2.14倍 | 1.19倍 | 1.80倍 |
| 令和5年度 | 2.18倍 | 1.17倍 | 1.86倍 |
| 令和6年度 | 2.37倍 | 1.14倍 | 2.08倍 |
| 令和7年度 | 2.49倍 | 1.10倍 | 2.26倍 |
景気が落ち着けば求人倍率は下がるのが普通です。実際、全職業平均は1.19倍から1.10倍へ下がりました。にもかかわらず運転者は1.94倍から2.49倍へ6年で0.55ポイント上昇。景気の波では説明できない、供給側(働き手)そのものが細っていることを示す数字です。「今年はたまたま採れなかった」ではなく「来年はもっと採りにくい」と前提を置いてください。
リウス(インドネシア出身・ジンザイネシア)
トラックドライバー不足の原因を3つに分けて見る
「人手不足」とひとくくりにすると打ち手が決まりません。原因を①労働時間 ②収入 ③年齢構成の3つに切り分けると、自社がどれに引っかかっているかが見えます。
原因①:労働時間が全産業より年420時間長い
令和7年の年間労働時間は、営業用大型貨物自動車運転者で2,496時間。全産業平均2,076時間との差は420時間で、1日8時間換算だと年52日分、およそ1か月半多く働いている計算です。しかも令和6年と比べると、全産業平均が2,052→2,076時間に増えたのに対し、大型は2,484→2,496時間。差はまだ縮まっていません。
ここで重要なのは、長時間労働の中身です。国土交通省の令和6年トラックドライバー調査によると、1運行あたりの平均拘束時間の内訳は次のように変化しました。
| 1運行あたりの内訳 | 2020年度 | 2024年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 運転時間 | 6時間43分 | 5時間54分 | ▲49分(大きく減少) |
| 荷待ち時間 | 1時間34分 | 1時間28分 | ▲6分(ほぼ横ばい) |
| 荷役時間 | 1時間29分 | 1時間34分 | +5分(むしろ増加) |
| 附帯作業・点検点呼・休憩 | 2時間38分 | 2時間51分 | +13分 |
| 平均拘束時間 合計 | 12時間26分 | 11時間46分 | ▲40分 |
この表がドライバー不足の核心です。拘束時間は40分短くなりました。しかし短くなったのは運転時間(=売上を生む時間)であって、荷待ち・荷役の時間はほとんど減っていません。つまり4年間で起きたのは「働き方が楽になった」ことではなく、「同じ拘束時間で運べる距離が減った」ことです。これが後述する輸送力不足の正体でもあります。
原因②:長く働いても収入が全産業を下回る
令和7年の年間収入額は、大型で507万円、大型を除く貨物自動車運転者で449万円。全産業平均は546万円です。令和6年(全産業527万/大型492万/大型除く437万)と比べれば運転者の収入も上がっていますが、全産業も同じだけ上がったため、差は縮まっていません。とくに中小型(大型を除く)は全産業と年97万円の開きがあります。
求職者の視点で見ると単純です。「年420時間長く働いて、年97万円少ない仕事」を選ぶ理由が要ります。運送業がこれまでその理由にしてきたのは「未経験でも稼げる」「資格があれば食いっぱぐれない」でしたが、他業種の賃上げが進んだことで、その優位が薄れました。
原因③:年齢構成が「上に偏り、下がいない」
3つ目が最も重い原因です。総務省「令和7年 労働力調査」による道路貨物運送業の就業者の年齢構成は、次のとおりです。
| 年齢帯 | 道路貨物運送業 | 全産業 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 29歳以下(入口) | 10.0% | 17.0% | 補充が全産業の約6割しかない |
| 45〜59歳(主力) | 45.0% | 34.1% | 主力の半数近くが15年以内に定年 |
| 平均年齢 | 51.5歳(大型) | 44.4歳 | 全産業より約7歳先に高齢化 |
| 女性の割合 | 20.5%(産業全体) | 45.8% | 採用母集団を半分しか使えていない |
この3つは独立していません。労働時間が長く収入が低いから若手が入らず、若手が入らないから残った人の負担が増え、さらに労働時間が長くなるという循環になっています。だからこそ、どれか1つだけを直しても効きません。
物流の2024年問題とは|年960時間の上限規制で現場の何が変わったか
物流の2024年問題とは、2024年4月1日から自動車運転の業務にも時間外労働の上限規制が適用され、あわせて改善基準告示(拘束時間などのルール)が見直されたことと、それによって輸送力が不足する懸念を指します。制度そのものは複雑ではありません。押さえるべき数字は次のとおりです。
| 項目 | 2024年4月からの基準 | 現場で起きること |
|---|---|---|
| 時間外労働の上限 | 原則 月45時間・年360時間。特別な事情がある場合でも年960時間まで | 残業で埋めていた分が使えない |
| 1年の拘束時間 | 原則3,300時間(労使協定で3,400時間まで) | 年間の総稼働量に上限がつく |
| 1か月の拘束時間 | 原則284時間(例外310時間・年6か月まで) | 繁忙期の集中稼働ができない |
| 1日の拘束時間 | 原則13時間・最大15時間(長距離特例で最大16時間・週2回まで) | 荷待ちが長いと運転に回せない |
| 休息期間 | 継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない | 日帰り往復の距離が制限される |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間以内/2週平均で1週44時間以内 | 長距離1人運行が組みにくい |
| 連続運転時間 | 4時間を超えない(やむを得ない場合30分まで延長可) | 休憩を含めた運行計画が必須 |
この規制の性格を正しく理解してください。2024年問題は「人が減った」問題ではなく、「1人が運べる量が減った」問題です。在籍者数が同じでも、年960時間の枠に収めるために1人あたりの稼働が減れば、会社全体の輸送力は落ちます。実際、前章で見たとおり1運行の運転時間は49分減りました。
ここから導かれる結論は明確です。2024年以降、同じ売上を維持するには、以前より多くの運転者が要ります。採用が横ばいなら、それは実質的な減少です。
リウス
2024年問題への対策として国と業界が進めていること
2024年問題は「運送会社の努力不足」ではなく、荷主・元請・運送会社にまたがる商慣行の問題として整理されました。そのため国の対策も、運送会社ではなく荷主側に義務を課す方向で進んでいます。自社の交渉材料になるので、経営者は内容を把握しておいてください。
| 対策 | 時期 | 中身と、自社での使いどころ |
|---|---|---|
| 標準的運賃の改定 | 2024年3月22日告示 2024年6月1日施行 | 運賃水準を8%引き上げ。荷役の対価を別建てで加算、下請けに出す場合の手数料(運賃の10%)も設定。運賃交渉の根拠として使える公的な水準 |
| 物流効率化法 (第1段階) | 2025年4月1日施行 | すべての荷主・物流事業者に、荷待ち時間・荷役等時間の短縮と積載効率向上の努力義務。「待たせない」ことが法律上の努力義務になった |
| 物流効率化法 (第2段階) | 2026年4月1日施行 | 一定規模以上の特定事業者に、中長期計画の作成・定期報告・物流統括管理者(物流を統括する責任者)の選任を義務化。大手荷主との改善協議が進めやすくなった |
| トラック・物流Gメン | 2024年11月に改組 | 悪質な荷主・元請への是正指導。2024年11〜12月の集中監視では勧告2件・要請7件・働きかけ423件を実施 |
| 多重下請構造の是正 | 検討中(2026年時点) | 元請の責任明確化・重層構造の縮減を検討。実運送事業者が適正運賃を受け取れる環境づくり |
ここで押さえておきたいのは、荷待ち・荷役の削減は「荷主に協力してもらう交渉」であり、自社努力だけでは動かないということです。1運行あたり荷待ち1時間28分+荷役1時間34分=合計3時間2分が、いまも1運行から失われています。ここを30分削れば、その分だけ運転に回せる時間が増え、実質的に人を増やしたのと同じ効果が出ます。物流効率化法という法的根拠ができた今が、荷主に改善を求める好機です。
「2030年に34%不足」はもう古い|公表データの正しい読み方
ドライバー不足の記事でいまも最もよく引用されるのが「2030年に輸送力が34%不足する」という数字です。しかし、この数字は2026年3月に国が公式に見直しました。古い数字のまま社内で議論すると、投資判断を誤ります。
2026年3月3日、国土交通省・経済産業省・農林水産省は「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会 提言」を公表しました。そこでは次のように整理されています。
2026年3月の見直しで何が変わったか
・当初想定されていた2030年度の約34%の需給の開きのうち、約14%は官民の取組で概ね克服できた
・同時に、輸送需要そのものも約12%減少した(貨物の軽量化・高付加価値化と人口減少による)
・再検証の結果、2030年度の輸送力不足は平均で約7%〜最大で約25%(1.7億トン〜7.2億トン)と見直された
| 想定の置き方 | 2030年度の不足 | 前提 |
|---|---|---|
| 平均的な想定 | ▲7%(1.7億トン) | 貨物の軽量化・高付加価値化と人口減少を加味。供給量は2020〜2024年度と同様の変化 |
| 2024年ベース | ▲15%(3.8億トン) | 需要が2024年水準(25.1億トン)で横ばいのまま推移した場合 |
| 2019年ベース | ▲25%(7.2億トン) | 需要が2019年水準(28.4億トン)まで戻り、運転者数が追加で2%減・労働時間の減少幅が2倍になった場合 |
この読み方のコツは「34%が7%になったから安心」と受け取らないことです。数字が下がった理由の半分は「需要が減ったから」であり、運転者が増えたからではありません。しかも最悪の想定では依然として▲25%が残ります。国は次期の物流大綱で最大26ポイント程度の輸送力確保策(荷待ち・荷役の短縮で+7.5、積載効率の向上で+6.6、鉄道・船・空への輸送手段の切り替えで+6.4 ほか)を用意する方針です。
経営者として受け取るべき意味は、「業界全体の需給は改善方向だが、それは荷待ち削減・積載効率・輸送手段の切り替えといった効率化が進んだ場合の話であり、自社が何もしなければ自社の不足は変わらない」という点です。統計の全体像と自社の状況は別物です。だから次章の自社試算が要ります。
「自社の不足は、あと何人分なのか」から始めてください
統計の平均値ではなく、自社の年齢構成と採用実績で計算すると打ち手の優先順位が決まります。人数の出し方が分からない場合は、決算書と名簿だけご用意いただければ、30分の無料相談でその場で一緒に出します。
💬 30分の無料相談を予約する賃上げだけでは埋まらない理由|採用の入口そのものを広げる
「結局、給料を上げれば来るのでは」という問いには、正直にお答えします。賃上げは必要条件ですが、十分条件ではありません。理由は3つあります。
理由1:全産業も同時に上がっている。令和6年から令和7年にかけて、大型運転者の年収は492万→507万円(+15万円)に上がりました。しかし全産業平均も527万→546万円(+19万円)に上がっています。自社が賃上げしても、比較対象も同じだけ上がるため、相対的な魅力はほとんど変わりません。
理由2:そもそも母集団に人がいない。有効求人倍率2.49倍は「1人に2.5社が声をかけている」状態です。賃上げで勝てるのは競合との取り合いであって、母集団そのものを増やす効果はありません。業界内で人を回しているだけなら、業界全体の不足は変わりません。
理由3:賃上げの原資は運賃からしか出ない。標準的運賃は8%引き上げられましたが、価格転嫁は他業種に比べて進んでいないのが実態です。運賃交渉と同時進行でないと、賃上げは利益を削るだけになります。
そこで考え方を変えます。「同じ母集団の取り合いで勝つ」ではなく「母集団そのものを広げる」という発想です。打ち手を、効果が出るまでの時間と一緒に並べます。
| 打ち手 | 効果が出るまで | 母集団を 広げるか | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 荷待ち・荷役の削減 (荷主交渉) | 3〜12か月 | ×(ただし稼働は増える) | 最優先。1運行3時間2分の待ち時間が対象。物流効率化法という法的根拠が使える |
| 運賃改定・賃上げ | 3〜6か月 | × | 必須だが、全産業も上がるため単独では差がつかない。標準的運賃が交渉の根拠 |
| 中高年・定年後の再雇用 | 即時〜3か月 | △ | 即効性は高いが平均年齢がさらに上がり、5年後の同じ問題が先送りになる |
| 女性の採用 (運転・付帯業務) | 6〜18か月 | ○ | 産業全体で20.5%(全産業45.8%)。設備(更衣室・トイレ)と勤務時間の見直しが前提 |
| 倉庫内・付帯作業の 切り出しと分業 | 3〜6か月 | ○ | 運転者に荷役をさせない分業。免許が要らない工程なので採用の入口が一気に広がる |
| 外国人材(運転) | 12〜18か月 | ○ | 制度はあるが日本の運転免許の取得に時間がかかる。今日決めても来年の話 |
| 外国人材 (倉庫内・整備) | 6〜12か月 | ○ | 運転より早く戦力化できる。分野ごとに制度と開始時期が違う(次章) |
この表の要点は、効果が出るまでの時間が打ち手ごとに大きく違うことです。荷待ち削減と運賃改定は半年で効きますが、外国人ドライバーは1年以上かかります。だから「まず社内でできることをやってから外国人材を考える」という順番は、実は危険です。時間のかかるものほど先に着手しておかないと、社内対策が効いた頃に定年の波が来ます。並行して進めるのが正解です。
自社の状況を確かめる手順|年齢構成から5年後の運転者数を出す
ここが、この記事でいちばん使っていただきたい部分です。業界平均ではなく、自社の名簿から5年後の運転者数を出します。必要なのは運転者名簿(生年月日つき)と、直近3年の採用・退職の人数だけです。電卓で10分で終わります。
手順①:現在の運転者を年齢帯で数える
まず名簿を年齢帯ごとに集計します。ここで「うちの主力は何歳か」が見えます。
| 年齢帯 | 自社の人数 | 構成比 | 道路貨物運送業の平均と比べる |
|---|---|---|---|
| 29歳以下 | ____ 人 | ____ % | 業界10.0%。これを下回るなら入口が特に細い |
| 30〜44歳 | ____ 人 | ____ % | 10年後の主力。薄いと5年後ではなく10年後が危ない |
| 45〜59歳 | ____ 人 | ____ % | 業界45.0%。ここが5割を超えると「一斉定年」の危険信号 |
| 60〜64歳 | ____ 人 | ____ % | 5年以内にほぼ全員が定年到達 |
| 65歳以上 | ____ 人 | ____ % | 再雇用で維持中。健康上の理由による離脱率が高い層 |
| 合計(A) | ____ 人 | 100% | 現在の運転者総数 |
手順②〜⑥:5年後の人数を計算する
次の5つの数字を順に埋めるだけです。定年年齢は自社の規程に合わせてください(ここでは65歳とします)。
| 手順 | 出す数字 | 計算のしかた | 記入欄 |
|---|---|---|---|
| ② | 5年以内に定年を迎える人数(B) | 現在60歳以上の人数+(55〜59歳のうち5年後に65歳を超える人) | ____ 人 |
| ③ | 定年以外の年間退職率(C) | 直近3年の「定年以外の退職者数の年平均」÷ 現在の運転者数(A) | ____ % |
| ④ | 5年間の自然減(D) | A × C × 5年(概算。厳密には毎年の残存人数に掛ける) | ____ 人 |
| ⑤ | 5年間の採用見込(E) | 直近3年の年平均採用人数 × 5年(=今と同じ採用力が続く前提) | ____ 人 |
| ⑥ | 5年後の運転者数(F) | F = A − B − D + E | ____ 人 |
| ⑦ | 不足数(G) | G = A − F(現在の輸送量を5年後も維持する前提) | ____ 人 |
⚠️ 計算するときの3つの注意
1. 採用見込(E)を甘く置かない。有効求人倍率は6年で1.94→2.49倍に上がっています。「今と同じ人数を採り続けられる」という前提自体が楽観的です。心配な場合は直近3年平均の8割で置いてください。
2. 2024年以降は「1人あたりの輸送力」が落ちている。年960時間の上限があるため、人数が同じでも運べる量は以前より少なくなります。輸送量を維持するなら、必要人数はA より多く見積もる必要があります。
3. 不足数(G)を「何で埋めるか」を先に決める。Gが5人なら、社内対策で2人分・採用で2人・外国人材で1人、というように配分してください。配分を決めずに募集だけ続けるのが、いちばん時間を失うやり方です。
この計算をすると、多くの会社で「5年後に2〜3割減る」という結果が出ます。45〜59歳が45%を占める業界平均どおりの構成なら、当然の帰結です。ここで初めて「あと何人分を、どの手段で埋めるか」という具体的な議論ができます。
リウス
外国人材で埋められる範囲|運転・倉庫・整備で制度が違う
「外国人材」とひとくくりにすると判断を誤ります。運送業まわりの仕事は、任せる工程によって使える在留資格も、始められる時期も、まったく違います。いま自社が使える選択肢を整理します。
| 任せる工程 | 使える在留資格 | いつから | 押さえどころ |
|---|---|---|---|
| トラックの運転 | 特定技能1号 「自動車運送業(トラック運転者)」 | 受け入れ可 (2024年3月追加) | 直接雇用のみ。日本の運転免許が必須で、外国免許からの切り替えに時間がかかる。育成就労は対象外 |
| タクシー・バスの運転 | 特定技能1号 「自動車運送業(タクシー/バス)」 | 受け入れ可 | 第二種免許+新任運転者研修が必要。日本語は原則N3相当以上とトラックより高い |
| 倉庫内の入出庫・仕分け・ フォークリフト | 特定技能・育成就労 「物流倉庫」 | 2027年〜 (準備は今から) | 運転免許が要らないため入口が広い。荷役を分業して運転者を運転に専念させる打ち手と直結 |
| 車両の整備・点検 | 特定技能1号・2号 「自動車整備」 | 受け入れ可 | 全国で4,560人が就労中(令和7年12月末)。自社整備工場を持つ会社は現実的な選択肢 |
| 配車・運行管理・貿易事務 | 技術・人文知識・国際業務 (技人国) | 受け入れ可 | 大卒以上または関連実務10年以上が要件。この資格で運転業務はできません |
ここで多くの経営者が誤解されるのが、3行目です。倉庫内作業は運転免許が要らないため、外国人材の入口としては運転より圧倒的に広いのです。しかも荷役を専任者に任せれば、運転者は1運行あたり1時間34分の荷役から解放され、その分を運転に回せます。「運転者を増やす」だけでなく「運転者に運転だけをさせる」というアプローチがあることを、選択肢に入れてください。
各工程の詳細は、それぞれ次の記事にまとめています。制度の手続き・免許・費用の具体は、目的の記事へ進んでください。
- 運転者として雇う手順の全体=特定技能ドライバー完全ガイド|外国人トラック運転手の雇い方・免許・費用
- 倉庫内作業で受け入れる=特定技能「物流倉庫」完全ガイド/物流倉庫はいつから受け入れられるか
- フォークリフト作業を任せる=フォークリフト作業×外国人材の採用ガイド
- 倉庫の人手不足の構造=倉庫業の人手不足はなぜ起きる?/物流2024年問題と外国人材
- 派遣と直接雇用の比較=倉庫の人材は派遣か直接雇用か/特定技能は派遣できる?
- 事務・管理職で雇う=特定技能と技人国の違い完全ガイド
すぐには埋まらない現実|枠2万2,100人に対して151人という数字
ここまで外国人材を打ち手として説明してきましたが、誤解のないよう、正直な数字もお伝えします。外国人ドライバーは、いますぐ人手不足を解決する手段ではありません。
| 項目 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| 自動車運送業の受け入れ見込数 | 2万2,100人 | 2024年度〜2028年度の5年間(2026年1月23日 閣議決定) |
| 実際に就労している人数 | 151人 | 令和7年12月末(速報値)。枠に対して0.7%しか埋まっていない |
| 半年前(令和7年6月末) | 10人 | 半年で15倍。増えてはいるが、絶対数はまだ小さい |
| 参考:特定技能 全体 | 39万296人 | 全19分野の合計。自動車運送業は最も少ない分野 |
| 参考:自動車整備 | 4,560人 | 運転より整備のほうが実績は先行している |
なぜ増えないのか。理由は在留資格ではなく日本の運転免許です。外国の免許を日本の免許に切り替える手続き(外免切替)は2025年10月1日から大きく厳しくなりました。知識確認は50問・正答率90%以上が必要になり、住民票の写しが原則必須になったため観光目的の短期滞在中に申請することは事実上できなくなりました。
さらに重要なのが国の選び方です。知識確認・技能確認が免除される国・地域(おおむね29か国・地域)に、インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマーは含まれていません。日本の運送業が主に採用しているアジアの国からの人材は、原則としてこの厳しくなった確認を受けて合格する必要があります。「母国で10年トラックに乗っていたから大丈夫」は通用しません。
そのため、入国してから実際に配車に乗せるまでには数か月の助走期間が要ります。免許を取るあいだの在留資格も国が用意していますが、その仕組みと日程の逆算は特定技能ドライバー完全ガイドで詳しく解説しています。
この現実を踏まえた結論はひとつです。外国人ドライバーは「今年の欠員を埋める手段」ではなく「3年後・5年後の要員計画に組み込む手段」です。だからこそ、5年後の不足数を先に出しておく必要があります。今日決めても、走り出すのは来年です。
外国人材を受け入れる場合、最初の3か月でやること
不足数が出て、外国人材を選択肢に入れると決めたら、最初の3か月で何をするか。この3か月でやることの大半は「社内の整理」であって、外国人材の募集ではありません。
| 時期 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 1か月目 | ① 前章の手順で5年後の不足数を出す ② その不足を「社内対策・国内採用・外国人材」に配分する ③ 外国人材に任せる工程を決める(運転/倉庫/整備/事務) | 人数と工程が決まらないと、その先の日程も費用も出せない |
| 2か月目 | ④ 工程ごとの制度と開始時期を確認する ⑤ 受け入れ体制(宿舎・通勤手段・指導担当)を決める ⑥ 支援を委託する登録支援機関を比較・選定する | 生活の土台が決まらないと、来日後に定着しない |
| 3か月目 | ⑦ 費用の全体像(初期・月額)を出して資金計画に反映 ⑧ 使える助成金・補助金を確認する ⑨ 荷主への説明(誰が運ぶかは荷主の関心事)を準備する | 費用と荷主の理解が揃って、はじめて実行に移せる |
それぞれの詳細は次の記事にまとめています。
- 支援を委託する会社の選び方=登録支援機関とは?選び方・費用・一覧/契約前に確認すべき10項目/物流倉庫に強い支援機関の選び方
- 費用=特定技能の費用はいくら?/物流倉庫の外国人材 受入費用
- 助成金・補助金=外国人の雇用・採用に使える助成金・補助金 完全ガイド
- 制度の全体像=特定技能制度とは?受け入れ企業の完全ガイド/特定技能の分野一覧【全19分野】
- 定着=物流倉庫の外国人材 定着ガイド/安全教育・労災対策ガイド/特定技能の転職と「選ばれる会社」の条件
- どの国から採るか=インドネシア人を採用するメリット・デメリット
リウス
よくある質問
各項目をタップすると開きます。回答はすべて一次情報(厚生労働省・総務省・国土交通省・出入国在留管理庁・警察庁)に基づいています(2026年8月時点)。
ドライバー不足の原因を一言でいうと何ですか?
2024年問題で、本当に運べなくなったのですか?
「2030年に34%の輸送力不足」という数字は今も正しいですか?
賃金を上げれば人は採れますか?
外国人をトラックの運転者として雇えますか?
外国人材はすぐに配車に乗せられますか?
運転以外で、外国人材に任せられる仕事はありますか?
中小の運送会社でも外国人材を受け入れられますか?
結局、まず何から手をつければいいですか?
「あと何人、いつまでに、どの手段で」まで決まれば、ドライバー不足は計画に変わります
求人倍率2.49倍の市場で、募集を出し続けるだけでは5年後の人数は埋まりません。自社の年齢構成から不足数を出し、社内対策・国内採用・外国人材に配分する。その配分と日程づくりを、登録支援機関(24登-011066)としてお手伝いします。費用の全体像が先に知りたい方は、試算シートもご用意しています。
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| 情報の種類 | 発行元 | リンク |
|---|---|---|
| 求人倍率・平均年齢・労働時間・収入・年齢構成 | 厚生労働省 | 統計からみるトラック運転者の仕事 |
| 改善基準告示(拘束時間・休息期間・運転時間) | 厚生労働省 | 改善基準告示(トラック運転者) |
| 2030年度の輸送力不足の見通し(最新) | 国土交通省 | 総合物流施策大綱に関する検討会 提言(令和8年3月3日) |
| 荷待ち・荷役時間の実態/検討会資料 | 国土交通省 | 2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会 |
| 標準的運賃(2024年3月改定・8%引上げ) | 国土交通省 | 標準的な運賃について |
| 物流効率化法(荷主の努力義務・特定事業者) | 国土交通省 | 物流効率化法 理解促進ポータルサイト |
| 特定技能「自動車運送業」の受け入れ | 国土交通省 | 自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて |
| 特定技能在留外国人数(分野別・最新) | 出入国在留管理庁 | 特定技能在留外国人数の公表等 |
| 特定技能制度の全体 | 出入国在留管理庁 | 特定技能制度 |
| 外国免許からの切り替え(外免切替) | 警察庁 | 外国の運転免許をお持ちの方へ |
※ 本記事の数値はすべて2026年8月時点の公表値です。制度・統計は更新されるため、実際の判断にあたっては必ず上記の一次情報で最新の内容をご確認ください。
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この記事を書いた人
西澤 志門株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。

この記事を監修した人
吉田 卓司株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。
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