トラックドライバー不足の実態と原因|求人倍率2.49倍・2024年問題・外国人材という打ち手【2026年最新】

トラックドライバー不足の実態と原因|求人倍率2.49倍・2024年問題・外国人材という打ち手【2026年最新】

結論|3行で理解する

ドライバー不足は「募集の出し方」の問題ではありません。求人倍率2.49倍・平均年齢51.5歳という、業界全体の構造の問題です。

トラック運転者の有効求人倍率は令和7年度で2.49倍。全職業平均が1.10倍まで下がるなかで、運転者だけが上がり続けています。平均年齢は51.5歳(全産業44.4歳)、29歳以下は10.0%しかいません。つまり「今いる人が抜けていくのに、入ってくる人がいない」状態です。この記事では、公表されている統計で自社の位置を確かめ、原因を労働時間・収入・年齢構成の3つに切り分け、賃上げ・働き方の見直し・採用の入口を広げる(外国人材を含む)という打ち手を、効果が出るまでの時間と一緒に比べます。自社の年齢構成から5年後の運転者数を出す手順も、そのまま使える形で用意しました。

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数字で見るドライバー不足の実態|求人・年齢・労働時間・収入

「募集を出しても1人も来ない」。運送会社の経営者から最も多く聞く言葉です。まず確かめていただきたいのは、それが自社だけの現象なのか、業界全体の現象なのかという点です。答えは後者です。国が公表している統計を並べると、輪郭がはっきりします。

下の表は、厚生労働省と総務省が公表している最新値(令和7年=2025年の調査)をまとめたものです。この5つの数字が、ドライバー不足のほぼすべてを説明します。

指標トラック運転者全産業・全職業平均差の意味
有効求人倍率
令和7年度
2.49倍1.10倍1人の求職者を2.5社が奪い合う。全職業の約2.3倍の競争
平均年齢
令和7年
51.5歳(大型)
50.3歳(大型を除く)
44.4歳全産業より約7歳高い。定年の波が先に来る
29歳以下の割合
令和7年・道路貨物運送業
10.0%17.0%若手の入口が約6割の細さしかない
年間労働時間
令和7年
2,496時間(大型)
2,388時間(大型を除く)
2,076時間全産業より年420時間長い(1か月分以上)
年間収入額
令和7年
507万円(大型)
449万円(大型を除く)
546万円長く働いて年39万〜97万円少ない

この表の読み方は単純です。全産業より年420時間長く働いて、収入は年39万〜97万円少ない。この条件で「1人の求職者を2.5社が奪い合う」市場に募集を出しているのが、いまの運送業です。求人票の書き方を工夫しても、この条件差が埋まらない限り応募は増えません。

いちばん見逃されている変化=求人倍率だけが逆方向に動いている

より深刻なのは推移のほうです。厚生労働省「職業安定業務統計」で有効求人倍率の6年分を並べると、全職業平均は令和4年度をピークに下がっているのに、トラック運転者だけが上がり続けています

年度トラック運転者全職業平均倍率差
令和2年度1.94倍1.01倍1.92倍
令和3年度1.96倍1.05倍1.87倍
令和4年度2.14倍1.19倍1.80倍
令和5年度2.18倍1.17倍1.86倍
令和6年度2.37倍1.14倍2.08倍
令和7年度2.49倍1.10倍2.26倍

景気が落ち着けば求人倍率は下がるのが普通です。実際、全職業平均は1.19倍から1.10倍へ下がりました。にもかかわらず運転者は1.94倍から2.49倍へ6年で0.55ポイント上昇。景気の波では説明できない、供給側(働き手)そのものが細っていることを示す数字です。「今年はたまたま採れなかった」ではなく「来年はもっと採りにくい」と前提を置いてください。

リウス

リウス(インドネシア出身・ジンザイネシア)

💡 かんたんに言うと、有効求人倍率は「求人1件あたり何人の応募者がいるか」の逆で、1人の求職者を何社が取り合っているかを表す数字です。2.49倍は、1人に対して2社以上が声をかけている状態を意味します。
📌 公式情報源厚生労働省「統計からみるトラック運転者の仕事」(有効求人倍率=職業安定業務統計/平均年齢・労働時間・収入=令和7年 賃金構造基本統計調査/年齢構成・女性比率=令和7年 労働力調査)。数値はいずれも2026年8月時点の公表値です。

トラックドライバー不足の原因を3つに分けて見る

「人手不足」とひとくくりにすると打ち手が決まりません。原因を①労働時間 ②収入 ③年齢構成の3つに切り分けると、自社がどれに引っかかっているかが見えます。

原因①:労働時間が全産業より年420時間長い

令和7年の年間労働時間は、営業用大型貨物自動車運転者で2,496時間。全産業平均2,076時間との差は420時間で、1日8時間換算だと年52日分、およそ1か月半多く働いている計算です。しかも令和6年と比べると、全産業平均が2,052→2,076時間に増えたのに対し、大型は2,484→2,496時間。差はまだ縮まっていません

ここで重要なのは、長時間労働の中身です。国土交通省の令和6年トラックドライバー調査によると、1運行あたりの平均拘束時間の内訳は次のように変化しました。

1運行あたりの内訳2020年度2024年度変化
運転時間6時間43分5時間54分▲49分(大きく減少)
荷待ち時間1時間34分1時間28分▲6分(ほぼ横ばい)
荷役時間1時間29分1時間34分+5分(むしろ増加)
附帯作業・点検点呼・休憩2時間38分2時間51分+13分
平均拘束時間 合計12時間26分11時間46分▲40分

この表がドライバー不足の核心です。拘束時間は40分短くなりました。しかし短くなったのは運転時間(=売上を生む時間)であって、荷待ち・荷役の時間はほとんど減っていません。つまり4年間で起きたのは「働き方が楽になった」ことではなく、「同じ拘束時間で運べる距離が減った」ことです。これが後述する輸送力不足の正体でもあります。

原因②:長く働いても収入が全産業を下回る

令和7年の年間収入額は、大型で507万円、大型を除く貨物自動車運転者で449万円。全産業平均は546万円です。令和6年(全産業527万/大型492万/大型除く437万)と比べれば運転者の収入も上がっていますが、全産業も同じだけ上がったため、差は縮まっていません。とくに中小型(大型を除く)は全産業と年97万円の開きがあります。

求職者の視点で見ると単純です。「年420時間長く働いて、年97万円少ない仕事」を選ぶ理由が要ります。運送業がこれまでその理由にしてきたのは「未経験でも稼げる」「資格があれば食いっぱぐれない」でしたが、他業種の賃上げが進んだことで、その優位が薄れました。

原因③:年齢構成が「上に偏り、下がいない」

3つ目が最も重い原因です。総務省「令和7年 労働力調査」による道路貨物運送業の就業者の年齢構成は、次のとおりです。

年齢帯道路貨物運送業全産業意味
29歳以下(入口)10.0%17.0%補充が全産業の約6割しかない
45〜59歳(主力)45.0%34.1%主力の半数近くが15年以内に定年
平均年齢51.5歳(大型)44.4歳全産業より約7歳先に高齢化
女性の割合20.5%(産業全体)45.8%採用母集団を半分しか使えていない

この3つは独立していません。労働時間が長く収入が低いから若手が入らず、若手が入らないから残った人の負担が増え、さらに労働時間が長くなるという循環になっています。だからこそ、どれか1つだけを直しても効きません。

📌 公式情報源厚生労働省「統計からみるトラック運転者の仕事」国土交通省「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」(1運行あたり拘束時間=令和6年トラックドライバー調査)

物流の2024年問題とは|年960時間の上限規制で現場の何が変わったか

物流の2024年問題とは、2024年4月1日から自動車運転の業務にも時間外労働の上限規制が適用され、あわせて改善基準告示(拘束時間などのルール)が見直されたことと、それによって輸送力が不足する懸念を指します。制度そのものは複雑ではありません。押さえるべき数字は次のとおりです。

項目2024年4月からの基準現場で起きること
時間外労働の上限原則 月45時間・年360時間。特別な事情がある場合でも年960時間まで残業で埋めていた分が使えない
1年の拘束時間原則3,300時間(労使協定で3,400時間まで)年間の総稼働量に上限がつく
1か月の拘束時間原則284時間(例外310時間・年6か月まで)繁忙期の集中稼働ができない
1日の拘束時間原則13時間・最大15時間(長距離特例で最大16時間・週2回まで)荷待ちが長いと運転に回せない
休息期間継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない日帰り往復の距離が制限される
運転時間2日平均で1日9時間以内/2週平均で1週44時間以内長距離1人運行が組みにくい
連続運転時間4時間を超えない(やむを得ない場合30分まで延長可)休憩を含めた運行計画が必須

この規制の性格を正しく理解してください。2024年問題は「人が減った」問題ではなく、「1人が運べる量が減った」問題です。在籍者数が同じでも、年960時間の枠に収めるために1人あたりの稼働が減れば、会社全体の輸送力は落ちます。実際、前章で見たとおり1運行の運転時間は49分減りました。

ここから導かれる結論は明確です。2024年以降、同じ売上を維持するには、以前より多くの運転者が要ります。採用が横ばいなら、それは実質的な減少です。

リウス

リウス

⚠️ よく混同されますが、「年960時間」は時間外労働の上限で、「年3,300時間」は拘束時間の上限です。別のルールなので、片方を守れば良いというものではありません。両方を同時に満たす運行計画が必要です。

2024年問題への対策として国と業界が進めていること

2024年問題は「運送会社の努力不足」ではなく、荷主・元請・運送会社にまたがる商慣行の問題として整理されました。そのため国の対策も、運送会社ではなく荷主側に義務を課す方向で進んでいます。自社の交渉材料になるので、経営者は内容を把握しておいてください。

対策時期中身と、自社での使いどころ
標準的運賃の改定2024年3月22日告示
2024年6月1日施行
運賃水準を8%引き上げ。荷役の対価を別建てで加算、下請けに出す場合の手数料(運賃の10%)も設定。運賃交渉の根拠として使える公的な水準
物流効率化法
(第1段階)
2025年4月1日施行すべての荷主・物流事業者に、荷待ち時間・荷役等時間の短縮と積載効率向上の努力義務。「待たせない」ことが法律上の努力義務になった
物流効率化法
(第2段階)
2026年4月1日施行一定規模以上の特定事業者に、中長期計画の作成・定期報告・物流統括管理者(物流を統括する責任者)の選任を義務化。大手荷主との改善協議が進めやすくなった
トラック・物流Gメン2024年11月に改組悪質な荷主・元請への是正指導。2024年11〜12月の集中監視では勧告2件・要請7件・働きかけ423件を実施
多重下請構造の是正検討中(2026年時点)元請の責任明確化・重層構造の縮減を検討。実運送事業者が適正運賃を受け取れる環境づくり

ここで押さえておきたいのは、荷待ち・荷役の削減は「荷主に協力してもらう交渉」であり、自社努力だけでは動かないということです。1運行あたり荷待ち1時間28分+荷役1時間34分=合計3時間2分が、いまも1運行から失われています。ここを30分削れば、その分だけ運転に回せる時間が増え、実質的に人を増やしたのと同じ効果が出ます。物流効率化法という法的根拠ができた今が、荷主に改善を求める好機です。

「2030年に34%不足」はもう古い|公表データの正しい読み方

ドライバー不足の記事でいまも最もよく引用されるのが「2030年に輸送力が34%不足する」という数字です。しかし、この数字は2026年3月に国が公式に見直しました。古い数字のまま社内で議論すると、投資判断を誤ります。

2026年3月3日、国土交通省・経済産業省・農林水産省は「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会 提言」を公表しました。そこでは次のように整理されています。

2026年3月の見直しで何が変わったか

・当初想定されていた2030年度の約34%の需給の開きのうち、約14%は官民の取組で概ね克服できた

・同時に、輸送需要そのものも約12%減少した(貨物の軽量化・高付加価値化と人口減少による)

・再検証の結果、2030年度の輸送力不足は平均で約7%〜最大で約25%(1.7億トン〜7.2億トン)と見直された

想定の置き方2030年度の不足前提
平均的な想定▲7%(1.7億トン)貨物の軽量化・高付加価値化と人口減少を加味。供給量は2020〜2024年度と同様の変化
2024年ベース▲15%(3.8億トン)需要が2024年水準(25.1億トン)で横ばいのまま推移した場合
2019年ベース▲25%(7.2億トン)需要が2019年水準(28.4億トン)まで戻り、運転者数が追加で2%減・労働時間の減少幅が2倍になった場合

この読み方のコツは「34%が7%になったから安心」と受け取らないことです。数字が下がった理由の半分は「需要が減ったから」であり、運転者が増えたからではありません。しかも最悪の想定では依然として▲25%が残ります。国は次期の物流大綱で最大26ポイント程度の輸送力確保策(荷待ち・荷役の短縮で+7.5、積載効率の向上で+6.6、鉄道・船・空への輸送手段の切り替えで+6.4 ほか)を用意する方針です。

経営者として受け取るべき意味は、「業界全体の需給は改善方向だが、それは荷待ち削減・積載効率・輸送手段の切り替えといった効率化が進んだ場合の話であり、自社が何もしなければ自社の不足は変わらない」という点です。統計の全体像と自社の状況は別物です。だから次章の自社試算が要ります。

「自社の不足は、あと何人分なのか」から始めてください

統計の平均値ではなく、自社の年齢構成と採用実績で計算すると打ち手の優先順位が決まります。人数の出し方が分からない場合は、決算書と名簿だけご用意いただければ、30分の無料相談でその場で一緒に出します。

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賃上げだけでは埋まらない理由|採用の入口そのものを広げる

「結局、給料を上げれば来るのでは」という問いには、正直にお答えします。賃上げは必要条件ですが、十分条件ではありません。理由は3つあります。

理由1:全産業も同時に上がっている。令和6年から令和7年にかけて、大型運転者の年収は492万→507万円(+15万円)に上がりました。しかし全産業平均も527万→546万円(+19万円)に上がっています。自社が賃上げしても、比較対象も同じだけ上がるため、相対的な魅力はほとんど変わりません。

理由2:そもそも母集団に人がいない。有効求人倍率2.49倍は「1人に2.5社が声をかけている」状態です。賃上げで勝てるのは競合との取り合いであって、母集団そのものを増やす効果はありません。業界内で人を回しているだけなら、業界全体の不足は変わりません。

理由3:賃上げの原資は運賃からしか出ない。標準的運賃は8%引き上げられましたが、価格転嫁は他業種に比べて進んでいないのが実態です。運賃交渉と同時進行でないと、賃上げは利益を削るだけになります。

そこで考え方を変えます。「同じ母集団の取り合いで勝つ」ではなく「母集団そのものを広げる」という発想です。打ち手を、効果が出るまでの時間と一緒に並べます。

打ち手効果が出るまで母集団を
広げるか
注意点
荷待ち・荷役の削減
(荷主交渉)
3〜12か月×(ただし稼働は増える)最優先。1運行3時間2分の待ち時間が対象。物流効率化法という法的根拠が使える
運賃改定・賃上げ3〜6か月×必須だが、全産業も上がるため単独では差がつかない。標準的運賃が交渉の根拠
中高年・定年後の再雇用即時〜3か月即効性は高いが平均年齢がさらに上がり、5年後の同じ問題が先送りになる
女性の採用
(運転・付帯業務)
6〜18か月産業全体で20.5%(全産業45.8%)。設備(更衣室・トイレ)と勤務時間の見直しが前提
倉庫内・付帯作業の
切り出しと分業
3〜6か月運転者に荷役をさせない分業。免許が要らない工程なので採用の入口が一気に広がる
外国人材(運転)12〜18か月制度はあるが日本の運転免許の取得に時間がかかる。今日決めても来年の話
外国人材
(倉庫内・整備)
6〜12か月運転より早く戦力化できる。分野ごとに制度と開始時期が違う(次章)

この表の要点は、効果が出るまでの時間が打ち手ごとに大きく違うことです。荷待ち削減と運賃改定は半年で効きますが、外国人ドライバーは1年以上かかります。だから「まず社内でできることをやってから外国人材を考える」という順番は、実は危険です。時間のかかるものほど先に着手しておかないと、社内対策が効いた頃に定年の波が来ます。並行して進めるのが正解です。

自社の状況を確かめる手順|年齢構成から5年後の運転者数を出す

ここが、この記事でいちばん使っていただきたい部分です。業界平均ではなく、自社の名簿から5年後の運転者数を出します。必要なのは運転者名簿(生年月日つき)と、直近3年の採用・退職の人数だけです。電卓で10分で終わります。

手順①:現在の運転者を年齢帯で数える

まず名簿を年齢帯ごとに集計します。ここで「うちの主力は何歳か」が見えます。

年齢帯自社の人数構成比道路貨物運送業の平均と比べる
29歳以下____ 人____ %業界10.0%。これを下回るなら入口が特に細い
30〜44歳____ 人____ %10年後の主力。薄いと5年後ではなく10年後が危ない
45〜59歳____ 人____ %業界45.0%。ここが5割を超えると「一斉定年」の危険信号
60〜64歳____ 人____ %5年以内にほぼ全員が定年到達
65歳以上____ 人____ %再雇用で維持中。健康上の理由による離脱率が高い層
合計(A)____ 人100%現在の運転者総数

手順②〜⑥:5年後の人数を計算する

次の5つの数字を順に埋めるだけです。定年年齢は自社の規程に合わせてください(ここでは65歳とします)。

手順出す数字計算のしかた記入欄
5年以内に定年を迎える人数(B)現在60歳以上の人数+(55〜59歳のうち5年後に65歳を超える人)____ 人
定年以外の年間退職率(C)直近3年の「定年以外の退職者数の年平均」÷ 現在の運転者数(A)____ %
5年間の自然減(D)A × C × 5年(概算。厳密には毎年の残存人数に掛ける)____ 人
5年間の採用見込(E)直近3年の年平均採用人数 × 5年(=今と同じ採用力が続く前提)____ 人
5年後の運転者数(F)F = A − B − D + E____ 人
不足数(G)G = A − F(現在の輸送量を5年後も維持する前提)____ 人

⚠️ 計算するときの3つの注意

1. 採用見込(E)を甘く置かない。有効求人倍率は6年で1.94→2.49倍に上がっています。「今と同じ人数を採り続けられる」という前提自体が楽観的です。心配な場合は直近3年平均の8割で置いてください。

2. 2024年以降は「1人あたりの輸送力」が落ちている。年960時間の上限があるため、人数が同じでも運べる量は以前より少なくなります。輸送量を維持するなら、必要人数はA より多く見積もる必要があります。

3. 不足数(G)を「何で埋めるか」を先に決める。Gが5人なら、社内対策で2人分・採用で2人・外国人材で1人、というように配分してください。配分を決めずに募集だけ続けるのが、いちばん時間を失うやり方です。

この計算をすると、多くの会社で「5年後に2〜3割減る」という結果が出ます。45〜59歳が45%を占める業界平均どおりの構成なら、当然の帰結です。ここで初めて「あと何人分を、どの手段で埋めるか」という具体的な議論ができます。

リウス

リウス

💡 この計算で出た「不足数」は、そのまま外国人材の受け入れ計画の人数になります。私たちがご相談を受けるとき、最初にうかがうのがこの数字です。人数と時期が決まっていれば、準備の日程を逆算できます。

外国人材で埋められる範囲|運転・倉庫・整備で制度が違う

「外国人材」とひとくくりにすると判断を誤ります。運送業まわりの仕事は、任せる工程によって使える在留資格も、始められる時期も、まったく違います。いま自社が使える選択肢を整理します。

任せる工程使える在留資格いつから押さえどころ
トラックの運転特定技能1号
「自動車運送業(トラック運転者)」
受け入れ可
(2024年3月追加)
直接雇用のみ。日本の運転免許が必須で、外国免許からの切り替えに時間がかかる。育成就労は対象外
タクシー・バスの運転特定技能1号
「自動車運送業(タクシー/バス)」
受け入れ可第二種免許+新任運転者研修が必要。日本語は原則N3相当以上とトラックより高い
倉庫内の入出庫・仕分け・
フォークリフト
特定技能・育成就労
「物流倉庫」
2027年〜
(準備は今から)
運転免許が要らないため入口が広い。荷役を分業して運転者を運転に専念させる打ち手と直結
車両の整備・点検特定技能1号・2号
「自動車整備」
受け入れ可全国で4,560人が就労中(令和7年12月末)。自社整備工場を持つ会社は現実的な選択肢
配車・運行管理・貿易事務技術・人文知識・国際業務
(技人国)
受け入れ可大卒以上または関連実務10年以上が要件。この資格で運転業務はできません

ここで多くの経営者が誤解されるのが、3行目です。倉庫内作業は運転免許が要らないため、外国人材の入口としては運転より圧倒的に広いのです。しかも荷役を専任者に任せれば、運転者は1運行あたり1時間34分の荷役から解放され、その分を運転に回せます。「運転者を増やす」だけでなく「運転者に運転だけをさせる」というアプローチがあることを、選択肢に入れてください。

各工程の詳細は、それぞれ次の記事にまとめています。制度の手続き・免許・費用の具体は、目的の記事へ進んでください。

すぐには埋まらない現実|枠2万2,100人に対して151人という数字

ここまで外国人材を打ち手として説明してきましたが、誤解のないよう、正直な数字もお伝えします。外国人ドライバーは、いますぐ人手不足を解決する手段ではありません。

項目数値補足
自動車運送業の受け入れ見込数2万2,100人2024年度〜2028年度の5年間(2026年1月23日 閣議決定)
実際に就労している人数151人令和7年12月末(速報値)。枠に対して0.7%しか埋まっていない
半年前(令和7年6月末)10人半年で15倍。増えてはいるが、絶対数はまだ小さい
参考:特定技能 全体39万296人全19分野の合計。自動車運送業は最も少ない分野
参考:自動車整備4,560人運転より整備のほうが実績は先行している

なぜ増えないのか。理由は在留資格ではなく日本の運転免許です。外国の免許を日本の免許に切り替える手続き(外免切替)は2025年10月1日から大きく厳しくなりました。知識確認は50問・正答率90%以上が必要になり、住民票の写しが原則必須になったため観光目的の短期滞在中に申請することは事実上できなくなりました。

さらに重要なのが国の選び方です。知識確認・技能確認が免除される国・地域(おおむね29か国・地域)に、インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマーは含まれていません。日本の運送業が主に採用しているアジアの国からの人材は、原則としてこの厳しくなった確認を受けて合格する必要があります。「母国で10年トラックに乗っていたから大丈夫」は通用しません。

そのため、入国してから実際に配車に乗せるまでには数か月の助走期間が要ります。免許を取るあいだの在留資格も国が用意していますが、その仕組みと日程の逆算は特定技能ドライバー完全ガイドで詳しく解説しています。

この現実を踏まえた結論はひとつです。外国人ドライバーは「今年の欠員を埋める手段」ではなく「3年後・5年後の要員計画に組み込む手段」です。だからこそ、5年後の不足数を先に出しておく必要があります。今日決めても、走り出すのは来年です。

外国人材を受け入れる場合、最初の3か月でやること

不足数が出て、外国人材を選択肢に入れると決めたら、最初の3か月で何をするか。この3か月でやることの大半は「社内の整理」であって、外国人材の募集ではありません。

時期やることねらい
1か月目① 前章の手順で5年後の不足数を出す
② その不足を「社内対策・国内採用・外国人材」に配分する
③ 外国人材に任せる工程を決める(運転/倉庫/整備/事務)
人数と工程が決まらないと、その先の日程も費用も出せない
2か月目④ 工程ごとの制度と開始時期を確認する
⑤ 受け入れ体制(宿舎・通勤手段・指導担当)を決める
⑥ 支援を委託する登録支援機関を比較・選定する
生活の土台が決まらないと、来日後に定着しない
3か月目⑦ 費用の全体像(初期・月額)を出して資金計画に反映
⑧ 使える助成金・補助金を確認する
⑨ 荷主への説明(誰が運ぶかは荷主の関心事)を準備する
費用と荷主の理解が揃って、はじめて実行に移せる

それぞれの詳細は次の記事にまとめています。

リウス

リウス

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よくある質問

各項目をタップすると開きます。回答はすべて一次情報(厚生労働省・総務省・国土交通省・出入国在留管理庁・警察庁)に基づいています(2026年8月時点)。

ドライバー不足の原因を一言でいうと何ですか?
「全産業より年420時間長く働いて、収入は年39万〜97万円少ない」という条件で、若手が入ってこないことです。29歳以下の割合は道路貨物運送業で10.0%、全産業は17.0%(総務省 令和7年 労働力調査)。一方で平均年齢は51.5歳(全産業44.4歳)と高く、抜けていく人のほうが入ってくる人より多い構造になっています。
2024年問題で、本当に運べなくなったのですか?
1人あたりが運べる量は確実に減りました。国土交通省の令和6年トラックドライバー調査では、1運行あたりの運転時間が2020年度の6時間43分から2024年度は5時間54分へ、49分減っています。一方で荷待ち時間(1時間28分)と荷役時間(1時間34分)はほとんど減っていません。つまり削られたのは売上を生む運転時間のほうで、待ち時間は残ったままです。
「2030年に34%の輸送力不足」という数字は今も正しいですか?
最新の公表値ではありません。2026年3月3日に公表された「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会 提言」で見直され、当初想定の約34%のうち約14%は官民の取組で概ね克服、輸送需要も約12%減少したと整理されました。現在の見通しは平均で約7%〜最大で約25%(1.7億トン〜7.2億トン)です。ただし数字が下がった理由の半分は需要減であり、運転者が増えたわけではない点に注意してください。
賃金を上げれば人は採れますか?
必要ですが、それだけでは足りません。令和6年から令和7年にかけて大型運転者の年収は492万→507万円に上がりましたが、全産業平均も527万→546万円に上がったため、差は縮まっていません(厚生労働省 賃金構造基本統計調査)。賃上げは同じ母集団のなかでの取り合いに勝つための施策であり、母集団そのものを増やす効果はありません。荷待ち削減による労働時間の短縮と、採用の入口を広げる施策(女性・倉庫内分業・外国人材)を並行させてください。
外国人をトラックの運転者として雇えますか?
雇えます。自動車運送業は2024年3月に在留資格「特定技能1号」の対象分野に加わり、トラック・タクシー・バスの3区分で受け入れができます。ただし直接雇用に限られ(派遣は不可)、日本の運転免許が必須です。制度の要件・免許・試験・費用・手順は特定技能ドライバー完全ガイドにまとめています。
外国人材はすぐに配車に乗せられますか?
すぐには乗せられません。外国の免許を日本の免許に切り替える手続きが2025年10月1日から厳しくなり、知識確認は50問・正答率90%以上が必要になりました。免除される国・地域(おおむね29か国・地域)にインドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマーは含まれていないため、日本の交通ルールを学び直したうえで合格する必要があります。実際、自動車運送業分野で就労している特定技能外国人は令和7年12月末時点で151人にとどまります(受け入れ見込数は5年間で2万2,100人)。3年後・5年後の要員計画として組んでください。
運転以外で、外国人材に任せられる仕事はありますか?
あります。倉庫内の入出庫・仕分け・フォークリフト作業は特定技能・育成就労の「物流倉庫」分野(受け入れ開始は2027年〜)、車両の整備・点検は「自動車整備」分野(受け入れ可・全国4,560人が就労中)、配車や運行管理などの事務は「技術・人文知識・国際業務」で受け入れられます。とくに倉庫内作業は運転免許が要らないため採用の入口が広く、荷役を分業すれば運転者を運転に専念させられます。
中小の運送会社でも外国人材を受け入れられますか?
受け入れられます。従業員数の下限はありません。ただし、生活支援(住居の確保、行政手続きの同行、相談対応など)を自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決める必要があります。多くの中小企業は委託を選びます。委託先の選び方は登録支援機関とは?選び方・費用・一覧を参照してください。
結局、まず何から手をつければいいですか?
3つを同時に始めてください。①運転者名簿から5年後の不足数を出す(この記事の手順)、②荷主との荷待ち・荷役の削減交渉に着手する(2025年4月施行の物流効率化法で荷主にも努力義務があります)、③時間のかかる打ち手(外国人材の受け入れ準備)を先に動かす。①で人数が出ないと、②も③も規模が決まりません。まず①からです。

「あと何人、いつまでに、どの手段で」まで決まれば、ドライバー不足は計画に変わります

求人倍率2.49倍の市場で、募集を出し続けるだけでは5年後の人数は埋まりません。自社の年齢構成から不足数を出し、社内対策・国内採用・外国人材に配分する。その配分と日程づくりを、登録支援機関(24登-011066)としてお手伝いします。費用の全体像が先に知りたい方は、試算シートもご用意しています。

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求人倍率・平均年齢・労働時間・収入・年齢構成厚生労働省統計からみるトラック運転者の仕事
改善基準告示(拘束時間・休息期間・運転時間)厚生労働省改善基準告示(トラック運転者)
2030年度の輸送力不足の見通し(最新)国土交通省総合物流施策大綱に関する検討会 提言(令和8年3月3日)
荷待ち・荷役時間の実態/検討会資料国土交通省2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会
標準的運賃(2024年3月改定・8%引上げ)国土交通省標準的な運賃について
物流効率化法(荷主の努力義務・特定事業者)国土交通省物流効率化法 理解促進ポータルサイト
特定技能「自動車運送業」の受け入れ国土交通省自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて
特定技能在留外国人数(分野別・最新)出入国在留管理庁特定技能在留外国人数の公表等
特定技能制度の全体出入国在留管理庁特定技能制度
外国免許からの切り替え(外免切替)警察庁外国の運転免許をお持ちの方へ

※ 本記事の数値はすべて2026年8月時点の公表値です。制度・統計は更新されるため、実際の判断にあたっては必ず上記の一次情報で最新の内容をご確認ください。

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西澤 志門

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西澤 志門

株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。


吉田 卓司

この記事を監修した人

吉田 卓司

株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。

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