倉庫業の人手不足はなぜ起きる?データで見る原因と外国人材という解決策【物流倉庫】
物流倉庫

倉庫業の人手不足はなぜ起きる?データで見る原因と外国人材という解決策【物流倉庫】

⚡ 結論|倉庫の人手不足は「EC拡大×少子高齢化×2024年問題」の構造的な問題

募集を強化しても応募が来ないのは働き手そのものが減っているから|2027年からは物流倉庫も特定技能・育成就労で外国人材を受け入れられる

「求人を出しても応募が来ない」「採用してもすぐ辞める」——倉庫業の人手不足は、もはや一社の努力だけでは解決しにくい構造的な問題になっています。背景にあるのは、ECの拡大による物量増加と小口・多頻度化、少子高齢化による働き手そのものの減少、きつい労働環境のイメージ、そして2024年問題による物流全体の逼迫です。本記事では、倉庫業の人手不足がなぜ起きているのかを国土交通省・経済産業省・厚生労働省などの公開データで整理し、賃上げ・自動化・募集強化といった従来の打ち手の限界を踏まえたうえで、外国人材(特定技能・育成就労)という現実的な選択肢を解説します。物流倉庫は2026年1月に特定技能・育成就労の対象へ追加され、2027年から受け入れが本格化します。人手不足を「採れない」で終わらせず、新しい打ち手につなげるための地図として活用してください。

本記事は 物流倉庫の外国人材 採用完全ガイド の入口(なぜ外国人材か)にあたる記事です。具体的な受入費用は 受入費用 完全ガイド、受入の進め方は 12ヶ月準備スケジュール をご覧ください。

1. 倉庫業の人手不足の現状(データ)

物流・倉庫業界の人手不足は、感覚ではなくデータでも裏づけられています。公開されている主な指標を整理します(時点:2026年6月)。

指標 数値 出典・補足
物流業で人手不足を感じる企業 約75% 各種業界調査。多くの物流・倉庫企業が不足を実感
トラックドライバーの不足見込 2030年に約36万人不足 国土交通省「物流施策大綱」関連。運送の指標だが倉庫も同じ物流全体の逼迫の中にある
自動車運転従事者の有効求人倍率 約2.8倍(全産業平均の2倍超) 厚生労働省。ドライバーの数値だが、物流現場全体の採用難を示す
人手不足倒産(2024年・全業種) 342件/うち物流業 約46件(約15%) 民間信用調査。物流は人手不足倒産の比率が高い業種

⚠️ データの読み方:上記の有効求人倍率や不足見込数はトラックドライバー(運送)を中心とした指標で、倉庫内作業員そのものの数値とは異なります。ただし、倉庫業もEC拡大・少子高齢化・2024年問題という同じ構造的圧力の中にあり、人手不足の深刻さは共通です。本記事では倉庫業の人手不足を、これらの物流全体のデータと現場の実態から読み解きます。

現場の感覚としては、「求人広告を出しても応募がほとんど来ない」「採用できても短期間で辞めてしまう」「既存のパートやアルバイトが高齢化し、力仕事を任せにくくなった」といった声が多く聞かれます。とくに地方や郊外の倉庫では、近隣の働き手が限られ、募集媒体を変えても根本的な改善につながりにくいのが実情です。人手不足は「景気が良いから一時的に」起きているのではなく、働き手の供給そのものが細っている長期トレンドとして捉える必要があります。次章で、その構造的な原因を分解します。

2. なぜ起きるのか|4つの構造的原因

倉庫の人手不足は、一時的な景気の問題ではなく、4つの構造的な原因が重なって起きています。だからこそ、募集を強化するだけでは解決しにくいのです。

① EC(ネット通販)の拡大と「小口・多頻度化」

ネット通販の普及で、倉庫が扱う荷物の量が増え続けています。さらに「1個ずつ・頻繁に」配送する小口・多頻度化が進み、仕分け・梱包・検品といった倉庫内作業の手間が増大。物量が増えるほど人手が必要になります。EC市場の拡大は経済産業省の電子商取引市場調査でも継続的に確認されています。

② 少子高齢化|働き手そのものが減っている

日本の生産年齢人口(15〜64歳)は減少が続いています。これは倉庫業に限らず全産業の問題ですが、体力を使う倉庫作業は若い働き手の確保が特に難しく、既存の従業員も高齢化しています。「募集しても応募が来ない」の根本原因は、そもそも働き手の母数が縮んでいることにあります。

③ きつい労働環境のイメージ

重量物の取り扱い、立ち仕事、夏は暑く冬は寒い倉庫環境、冷凍庫の寒さなど、体力的にきついイメージが若い世代の応募をためらわせます。実際には機械化・空調で改善している現場も多いのですが、イメージが採用を難しくしています。

④ 2024年問題による物流全体の逼迫

2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限が設けられ(働き方改革)、同じ人数では従来通りの物量を運べない状況が生まれました。運送の逼迫は倉庫の入出荷の段取りにも波及し、物流全体で人手の取り合いが激しくなっています。

3. 従来の打ち手(賃上げ・自動化・募集強化)と限界

人手不足に対し、多くの企業がすでに手を打っています。それぞれ有効ですが、単独では限界があります。

打ち手 効果 限界
賃上げ・待遇改善 応募増・定着改善に一定効果 他社も賃上げ=消耗戦。そもそも働き手の母数が少ないと応募が増えにくい
自動化・省人化(ロボット等) 作業効率化・人手依存の低減 多品種・変動の大きい現場は全自動化が難しい。初期投資が大きく中小には負担
募集の強化・媒体追加 短期的に応募経路を増やせる 母集団が縮む中では費用対効果が低下。広告費だけがかさむことも
派遣の活用 繁忙期の変動に柔軟 割高でノウハウが溜まらない。派遣会社も人手不足で人が集まらない

これらに加えて、「働き手の母数そのものを増やす」打ち手として注目されているのが外国人材の活用です。賃上げ・自動化と組み合わせることで、人手不足への対応力が大きく変わります。

⚠️ 人手不足を放置すると、現場はこう悪化する

  1. 既存社員の残業増・疲弊。足りない人手を残った社員でカバーし続けると、残業が増え、心身ともに疲弊する。
  2. 疲弊した社員の離職=さらなる人手不足。負担増で既存社員が辞めると、残った人にしわ寄せが行き、離職が連鎖する「負のスパイラル」に陥る。
  3. 受注機会の損失。人手が回らず、増える物量や新規の引き合いに対応できない。「人がいないから断る」状態は売上を直接削る。
  4. 品質・安全の低下。無理な稼働は誤出荷・遅延・労災のリスクを高め、取引先の信用を損なう。
  5. 最悪は人手不足倒産。物流業は人手不足倒産の比率が高い業種。受注はあるのに人がいなくて回らない、という事態は現実に起きている。

「採れないから仕方ない」と放置するほど、悪循環は深まります。母数を増やす打ち手を、早めに検討する価値があります。

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4. 外国人材という選択肢

外国人材は、減り続ける国内の働き手を補う現実的な選択肢です。倉庫業で活用できる主な在留資格は特定技能と、2027年4月施行の育成就労です。

在留資格 特徴 倉庫での向き
特定技能 一定の技能・日本語(N4等)。直接雇用・最長5年(1号) 即戦力がほしい・月額を抑えたい
育成就労(2027年4月〜) 未経験から育成。直接雇用・原則3年(その後 特定技能へ) 未経験から自社で育て長期戦力化

外国人材の強みは、通年で安定的に働く戦力になり、定着すればノウハウが自社に蓄積することです。とくにインドネシア人材は勤勉で協調性に優れ、長期就労志向の傾向があり、倉庫のチーム作業と相性が良いといえます(インドネシア人材のメリット・デメリット)。派遣との比較は 倉庫の派遣 vs 直接雇用 も参考にしてください。

重要なのは、外国人材を「一時的な穴埋め」ではなく「長期戦力」として育てる視点です。育成就労(原則3年)で未経験から基礎を育て、一定の技能・日本語水準を満たせば特定技能へ移行し、さらに長く働いてもらえます。つまり「3年で帰る人」ではなく、5年・それ以上にわたって現場を支える戦力に育てられます。最初は仕分け・検品から始め、フォークリフトの資格を取得して任せられる業務を広げ、やがて後輩の指導役に——という成長の道筋を描ければ、本人の定着意欲も高まり、現場のリーダー層を内製できます。キャリアの道筋を示すことは、人手不足時代の「採って終わりにしない」採用の核心です。

5. 2027年の制度拡大(物流倉庫が対象に)

これまで倉庫内作業は、特定技能・技能実習の対象分野に明確には位置づけられていませんでした。しかし2026年1月の閣議決定で、物流倉庫が特定技能・育成就労の対象分野に追加されました。受け入れは2027年から順次本格化します。

🌱 新分野ゆえの先行者優位:物流倉庫は新しく対象になった分野のため、まだ受け入れ実績のある企業が少なく、競合が薄い状態です。2027年の本格化を見据えて先に準備を進めた企業ほど、優秀な人材と受入体制を確保しやすくなります。制度の全体像は 物流倉庫の外国人材 採用完全ガイド、対象になった経緯は 特定技能の新分野まとめ をご覧ください。(時点:2026年6月)

対象となる業務は、倉庫内での入庫・保管・仕分け・梱包・検品・流通加工・出庫といった荷役・倉庫管理作業が中心です。フォークリフト作業も含まれますが、運転には別途 資格が必要です。技能評価試験など一部は整備が進行中のため、「自社の業務が対象に含まれるか」「いつから試験を受けられるか」は最新の運用要領で確認が必要です。詳しい業務範囲・要件は 特定技能「物流倉庫」の受入手続き完全ガイド にまとめています。

「先行者優位」は精神論ではありません。新分野は受け入れノウハウを持つ企業・支援機関がまだ少なく、優秀な人材も他社に取られていない状態です。2027年に多くの企業が一斉に動き出す前に、制度選定とパートナー選定(今すぐ着手できる工程)を終えておくことで、いざ受け入れる段階で出遅れずに済みます。逆に「制度が完全に固まってから動こう」と待つほど、競合が増え、良い人材と良い支援機関の取り合いになります。

6. 外国人材で解決するイメージ

外国人材の受け入れは「とりあえず人を増やす」ことではありません。うまくいく企業は、次のような好循環を作っています。

  1. 通年で安定した戦力を確保。募集に振り回されず、計画的に人手を組める。
  2. 定着でノウハウが蓄積。同じ人が長く働き、現場の生産性が上がる。後輩を呼んでくれることも。
  3. 既存社員の負担が軽くなる。慢性的な人手不足による残業・疲弊が減り、日本人社員の定着も改善。
  4. 多様な戦力で繁忙期に強くなる。通年の基幹を外国人材の直接雇用で固め、変動分を派遣で補う設計も可能。

逆に、安全教育や生活サポートを軽視すると早期離職を招き、採用コストが無駄になります。受け入れ=採用だけでなく、定着支援までを設計することが成功のカギです。安全教育は 物流倉庫の安全教育・労災対策ガイド を参照してください。

すでに製造業・建設業・介護・外食など多くの分野で外国人材の活用は当たり前になっており、倉庫業もその流れに続きます。「外国人材を受け入れるのは特別なこと」という時代ではなく、人手不足に向き合う多くの企業にとって標準的な選択肢の一つになりつつあります。大切なのは、自社の業務・体制に合った形で無理なく始めることです。次章で、その第一歩を整理します。

7. 始め方|まず確認すること

「外国人材を検討してみよう」と思ったら、次の順で進めると整理しやすくなります。いきなり全部を決める必要はなく、まず情報を集めて自社の方針を固めるところからで十分です。

  1. 制度を知る。特定技能か育成就労か、対象業務・要件を把握(採用完全ガイド)。
  2. 費用を見積もる。初期・月額・人件費の概算を出す(受入費用 完全ガイド)。
  3. スケジュールを逆算する。受入希望時期から準備を逆算(12ヶ月準備スケジュール)。
  4. パートナーに相談する。登録支援機関・監理支援機関に方針を相談し、自社に合う進め方を決める。

8. よくある質問(FAQ)

各項目をタップで開閉できます。回答は国土交通省・経済産業省・厚生労働省などの公開データに基づきます(時点:2026年6月)。

倉庫業の人手不足は、これから改善しますか?
短期での大幅な改善は見込みにくいのが実情です。原因がEC拡大・少子高齢化・2024年問題という構造的なもので、とくに少子高齢化による働き手の減少は今後も続くためです。だからこそ、賃上げ・自動化に加えて「働き手の母数を増やす」外国人材の活用が現実的な打ち手として広がっています。
募集を強化しても応募が来ません。何が原因ですか?
根本原因は、働き手の母数そのものが減っていることです。少子高齢化で生産年齢人口が減り、体力を使う倉庫作業は若い応募者の確保が特に難しくなっています。媒体を増やしても、母集団が縮む中では費用対効果が下がりがちです。母数を増やす打ち手として外国人材の活用が有効です。
倉庫で外国人材はいつから受け入れられますか?
物流倉庫は2026年1月の閣議決定で特定技能・育成就労の対象分野に追加され、受け入れは2027年から順次本格化します。技能評価試験など整備中の要素もありますが、制度選定やパートナー選定といった準備は今から進められます。新分野で競合が薄い今のうちに動くと、優秀な人材と受入体制を確保しやすくなります。
2024年問題は倉庫にも関係ありますか?
あります。2024年問題はトラックドライバーの時間外労働上限が直接のテーマですが、運送が逼迫すると倉庫の入出荷の段取りにも影響し、物流全体で人手の取り合いが激しくなります。倉庫もこの逼迫の中にあり、安定した人手の確保がいっそう重要になっています。
自動化すれば外国人材は要らなくなりますか?
自動化は有効ですが、多品種で物量の変動が大きい倉庫は全自動化が難しく、初期投資も大きいため、人手をゼロにはできません。現実的には「自動化で効率化しつつ、必要な人手は外国人材も含めて安定確保する」組み合わせが多くの倉庫にとっての解です。自動化と外国人材は対立でなく補完の関係です。
外国人材を受け入れたいですが、何から始めればよいですか?
まず制度(特定技能・育成就労)を知り、費用を見積もり、受入希望時期から準備を逆算するところから始めましょう。いきなり全部を決める必要はなく、情報を集めて自社の方針を固めるだけでも前進です。登録支援機関などのパートナーに相談すると、自社に合う進め方を整理できます。当社でも30分の無料相談を承っています。

9. まとめ

倉庫業の人手不足は、EC拡大・少子高齢化・きつい労働環境・2024年問題という構造的な4つの原因が重なって起きており、募集強化だけでは解決しにくいのが実情です。賃上げ・自動化と並ぶ「働き手の母数を増やす打ち手」として、外国人材(特定技能・育成就労)の活用が現実的な選択肢になっています。物流倉庫は2027年から受け入れが本格化し、新分野で競合が薄い今のうちに準備を進めた企業ほど、優秀な人材と受入体制を確保できます。人手不足を「採れない」で終わらせず、新しい打ち手につなげましょう。まずは情報を集めて自社の方針を固めるところから始めれば十分です。早めに動くほど、選択肢も準備の余裕も大きくなります。

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機関 情報内容 URL
国土交通省 物流施策大綱・物流の効率化(2024年問題) 物流・自動車(国交省)
経済産業省 電子商取引(EC)市場調査 EC市場調査(経産省)
厚生労働省 一般職業紹介状況(有効求人倍率)・働き方改革 https://www.mhlw.go.jp/

※ 本記事のデータは、国土交通省・経済産業省・厚生労働省の公開資料および民間信用調査等の2026年6月時点の公表値に基づく整理です。有効求人倍率・不足見込数の一部はトラックドライバー(運送)を中心とした指標で、倉庫内作業員そのものの数値とは異なります。最新の統計は必ず公式情報源でご確認ください。自社の人手不足対策・外国人材の受け入れは無料相談で個別にご案内します。

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西澤 志門

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西澤 志門

株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。


吉田 卓司

この記事を監修した人

吉田 卓司

株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。

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