物流倉庫の課題と解決策|人手不足・2024年問題への打ち手を比較し、外国人材(特定技能・育成就労)を入れる前に決めること【2026】
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物流倉庫の課題と解決策|人手不足・2024年問題への打ち手を比較し、外国人材(特定技能・育成就労)を入れる前に決めること【2026】

⚡ 結論|倉庫の課題は「人を増やす」前に「仕事を減らす」順で片づける

課題を8つに分けると、打ち手と順番が決まる。外国人材は倉庫管理システム(WMS)とセットでしか使えない

国は物流倉庫分野の人手不足を2028年度(令和10年度)に約5万5,100人と見込み、そのうち約2万300人を倉庫管理システムなどによる生産性向上で、約1万6,500人を女性・高齢者の就業で埋め、それでも足りない約1万8,300人を外国人材で補う計画を立てています(分野別運用方針・2026年1月23日閣議決定)。自社の課題も同じ順で考えるのが近道です。まず作業の見直しとWMSで「探す・迷う・やり直す」を減らし、次に安全と教育で続く職場にし、そのうえで通年の担い手を確保する。なお、物流倉庫で特定技能・育成就労の外国人材を受け入れるにはWMSの利活用が事業者の要件で、特定技能1号の技能評価試験は開始時期が未定です(国土交通省・2026年9月時点)。この記事では、8つの課題ごとに打ち手・効果が出るまでの期間・費用感・外国人材が効くかどうかを比べ、自社の優先順位を決めるところまで整理します。

あわせて読みたい:人手不足が「なぜ起きるのか」の原因分析は倉庫業の人手不足はなぜ起きる?データで見る原因、トラックの労働時間規制が倉庫にどう波及するかは物流2024年問題と外国人材で詳しく解説しています。本記事は「課題の一覧」と「打ち手の比較・優先順位の決め方」に絞っています。

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1. 数字で見る物流倉庫の今|国は「5.5万人不足」を3つの打ち手で埋める計画

物流倉庫の課題を考えるとき、最も信頼できる出発点は、国が特定技能・育成就労の対象に物流倉庫を加える際にまとめた「物流倉庫分野の運用方針」(2026年1月23日閣議決定)です。ここには、業界の人手不足の見込みと、それをどの打ち手でどれだけ埋めるかが数字で書かれています。外国人材は「最後の3分の1」であり、残りの3分の2は機械・情報化と国内の多様な人材で埋める前提になっている点が重要です。

📊 2028年度に見込まれる人手不足 約5万5,100人の埋め方(国の見立て)

約37%
約30%
約33%
  • 生産性向上(倉庫管理システム等の活用):約2万300人
  • 女性・高齢者の就業による国内人材の確保:約1万6,500人
  • それでも不足する分=外国人材の受入れ見込数:約1万8,300人(特定技能1号 1万1,400人+育成就労 6,900人)

出典:国土交通省ほか「物流倉庫分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(2026年1月23日閣議決定)。割合は同方針の数値から当編集部が算出。

同じ運用方針と、厚生労働省の統計から、倉庫の現場を取り巻く数字を並べると次のとおりです。

指標 数値 出典・時点
物流倉庫分野の人手不足数 約1万9,000人(2024年時点・業界団体アンケート) 分野別運用方針
普通倉庫の従業員1人あたり所管面積 633㎡(2019年度)→674㎡(2023年度)、5年で約6%増 同(国交省「倉庫事業経営指標」)
ハローワーク経由の求人数÷応募人数 2.54(2024年1〜12月・業界団体の会員調査) 分野別運用方針
ハローワーク全体の「運搬従事者」の有効求人倍率 1.03倍(職業計は1.05倍) 厚労省「一般職業紹介状況」2026年7月・常用(パート含む)・原数値
倉庫業の春闘賃上げ率 1.87%(2019年度)→5.69%(2024年度) 分野別運用方針(全日本倉庫運輸労働組合同盟の集計)
倉庫業の就業者に占める女性の割合 40.7%(2019年度)→42.8%(2024年度) 分野別運用方針(総務省「労働力調査」)
定年後再雇用の上限を70歳以上とする事業者 15.1%(2022年度)→20.2%(2024年度) 分野別運用方針(業界団体の調査)
倉庫業の労働災害の度数率 3.24(2023年)※同年の調査産業計は2.14 分野別運用方針・厚労省「労働災害動向調査」(事業所規模100人以上)
リウス

リウス(インドネシア出身・ジンザイネシア)

💡 度数率は、100万延べ実労働時間あたりに、労働災害でけがをした人が何人いたかを表す数字です。大きいほど、けがが起きる頻度が高いという意味です。倉庫業の3.24は、同じ年の調査対象の産業全体(2.14)の約1.5倍です。

この表から読み取れることは2つあります。1つ目は、1人が受け持つ面積が広がり、賃上げも進んでいること。人を集める費用も、今いる人の負担も上がっています。2つ目は、数字の取り方で見え方が変わることです。定義が違うので単純には比べられませんが、ハローワーク全体で見た「運搬従事者」の有効求人倍率は職業計と同程度なのに対し、業界団体の会員調査では求人数が応募人数の2.5倍あります。これは「働き手が世の中にいない」だけでなく、「倉庫の求人に応募が集まりにくい」という面もあると読めます。立地や勤務時間帯、仕事内容の伝え方を見直す余地があるということで、ここに外国人材以外の打ち手が効く場面があります。

2. 物流倉庫の課題8つ|「人・作業・設備・情報」と「外から来る課題」で整理する

「倉庫の課題」と一口に言っても、原因が人にあるのか、作業の仕組みにあるのか、設備や情報にあるのかで、効く打ち手はまったく違います。さらに最近は、最低賃金の引き上げや荷主・運送会社からの要求といった自社の外から来る課題も重くなっています。まず8つに分けて、自社がどこに当てはまるかを確かめてください。

課題(分類) 現場で見える症状 放置したときの影響
① 人手不足・高齢化(人) 募集しても応募が少ない/ベテランの定年が近い/残業で回している 残業の増加が離職を呼ぶ悪循環。繁忙期に出荷が止まる
② 繁閑差(人) セール・年末・季節商品で物量が大きく振れる 繁忙期だけの人集めが毎年の悩みに。教育が追いつかず品質が落ちる
③ 属人化・教育(作業) 「あの人しか分からない」棚や荷主ごとのルール/新人が育つまで時間がかかる 休暇・退職で現場が止まる。新しい人が定着しない
④ 誤出荷・品質(作業・情報) 品番違い・数量違い・賞味期限の古い順が守れない 荷主からの信頼低下、再配送・返品の手間
⑤ 安全・労災(設備・作業) フォークリフトとの接触、はさまれ、転倒、重量物による腰痛 休業者が出てさらに人が足りなくなる
⑥ コスト上昇(外から) 2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円(前年度から56円増)。10月1日〜12月2日に順次発効 料金を据え置いたままでは利益が削られる。荷主との価格交渉が必要に
⑦ 荷主・運送側からの要求(外から) トラックの荷待ち・荷役時間の短縮、予約受付、パレットでの受け渡し、データ連携 物流効率化法で倉庫業者にも努力義務。対応できないと取引条件に響く
⑧ 情報・デジタル化(情報) 紙の指示書、表計算ソフトと現物のずれ、二重入力、棚卸しに何日もかかる 在庫差異と手戻りが続く。外国人材を受け入れる要件(WMSの利活用)も満たせない

✅ 自社の現状チェック(当てはまるものに印をつけてください)

  • ☐ この1年で、募集をかけても予定の人数が集まらなかった
  • ☐ 繁忙期と閑散期の物量の差が大きく、繁忙期の人集めに毎年苦労している
  • ☐ 特定の社員が休むと、回らなくなる作業がある
  • ☐ 誤出荷の件数と原因を、毎月数字で把握できていない
  • ☐ この1年で、休業を伴うけがが起きた
  • ☐ 最低賃金の改定に合わせた料金改定の交渉を、まだ荷主としていない
  • ☐ トラックの荷待ち時間・荷役時間を測っていない
  • ☐ 在庫の管理を紙や表計算ソフトで行っている

※保管スペースの不足や建物・荷役機器の古さといった設備の課題は、④誤出荷・⑤安全・⑧デジタル化と一緒に表れることが多いため、第5章の機械化(移動ラック・自動倉庫など)で扱います。

印が多い項目から、次の比較表で打ち手を確かめてください。3つ以上当てはまる場合は、人を増やす前に作業と情報の仕組みを見直すほうが効果が出やすい状態です。

3. 課題ごとの打ち手を比較|効果が出るまでの期間・費用感・外国人材が効くか

8つの課題それぞれについて、主な打ち手、効果が出るまでの期間、費用感、そして外国人材がその課題に効くかどうかを1枚にまとめました。外国人材の欄は「効く」「条件つきで効く」「単独では効かない」「効かない」の4段階で、効かない課題は正直にそう書いています。

課題 主な打ち手 効果が出るまで 費用感(出典) 外国人材は効くか
① 人手不足・高齢化 求人条件の見直し(時間帯・送迎・休憩室)、女性・高齢者の就業、WMSで1人あたりの処理量を上げる、外国人材 求人条件は次の募集から。外国人材は制度の開始時期しだい(第7章) 外国人材:初期費用(育成就労)1人おおむね50〜100万円、月額は特定技能の支援委託費1.5〜3万円・育成就労の監理費3〜5万円(業界相場・2026年9月時点) ◎ 効く
通年で働く担い手の確保に向く
② 繁閑差 荷主と出荷日程をならす交渉、短時間勤務の枠、多能工化、派遣・請負の活用 荷主との協議しだい。契約更新の時期が節目 派遣・請負は時間単価で発生。日程の平準化は交渉の手間が中心 △ 単独では効かない
直接雇用のみで派遣は不可。繁忙期だけの増員には使えない
③ 属人化・教育 作業標準書(写真・動画・やさしい日本語)、棚番号の表示、多能工化 社内で完結するため、すぐ着手できる 社内の作業時間が中心 × 効かない(むしろ前提)
標準化が済んでいないと、誰を入れても教育が進まない
④ 誤出荷・品質 バーコード検品、ハンディ端末、WMS、保管場所の番地管理 WMSは品目・棚番号の登録と、現場に定着するまでの期間が必要 クラウド型WMSの公開料金例:初期25万円+月5万円(税別・パソコン端末1台とハンディ端末3台分込み) △ 単独では効かない
人数では解決しない。仕組みが先
⑤ 安全・労災 歩行者とフォークリフトの通路分け、保護具、始業前点検、多言語の安全教育、補助具 通路・点検はすぐ。教育は継続が必要 保護具・講習費など。補助具はカタログ型の省力化補助金の対象製品あり △ 単独では効かない
受け入れるなら多言語での安全教育が必須
⑥ コスト上昇 労務費の価格転嫁の交渉、生産性向上、補助金の活用 契約更新・料金改定の時期 省力化投資補助金(カタログ注文型):上限200万〜1,000万円(賃上げ要件で300万〜1,500万円)・補助率1/2以下 × 効かない
報酬は日本人と同等以上が要件。人件費を下げる手段ではない
⑦ 荷主・運送側の要求 荷待ち・荷役時間の計測、トラック予約受付システム、荷捌き場所の確保、荷役人員の配置 計測はすぐ。システムは導入期間が必要 予約受付システムは製品・規模で異なるため見積りで確認 ○ 条件つきで効く
国の判断基準にある「荷役作業員の適切な配置」には効く
⑧ 情報・デジタル化 WMSの導入、ハンディ端末、機器とWMSの連携 補助金を使う場合は「公募→交付決定→導入」で年度単位 物流施設のDX推進実証事業:システム上限2,000万円・機器上限3,000万円・補助率1/2以下(2026年度) × 効かない(逆に要件)
外国人材を受け入れる事業者はWMSの利活用が必要

並べてみると、外国人材が「効く」と言えるのは①人手不足だけで、⑦も荷役の人員に限って効くにとどまります。残りの課題は、作業の標準化とWMSが先にないと、誰を採用しても成果が出にくいものばかりです。逆に言えば、標準化とWMSを整えた倉庫ほど、日本人のパートや高齢者、外国人材を含む多様な人がすぐに戦力になれるということでもあります。だから順番は「作業 → 情報 → 安全 → 人」です。

📌 公式情報源|中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)(2026年3月19日改定後の上限)/国土交通省「物流施設におけるDX推進実証事業」/出入国在留管理庁 特定技能制度(報酬は日本人と同等以上)/📊 業界相場ソース:クラウド型WMS「Logitite」公開料金、外国人材の費用は出入国在留管理庁の支援委託費調査(平均約28,386円)と業界各社の公開料金に基づく目安(2026年9月時点)

「うちの倉庫で、外国人材は①の人手不足に効くのか」を一緒に確かめませんか

当社は登録支援機関(24登-011066)です。事業者の類型が受け入れの対象に当たるか、WMSの要件を満たせるか、特定技能と育成就労のどちらが時期に合うかを、倉庫の状況に合わせて整理します。受け入れを決める前の段階のご相談も歓迎です。

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4. 打ち手①作業の見直し|お金をかける前に「探す・迷う・やり直す」を減らす

機械もシステムも、今の作業のやり方をそのまま載せると効果が出ません。最初にやるべきなのは、今の作業を測って、ムダを取ることです。費用はほとんど社内の作業時間だけで、すぐに着手できます。

1. まず測る|工程別の作業時間と、誤出荷の原因

入荷・格納・ピッキング・検品・梱包・出荷の工程ごとに、1日の作業時間を数日分記録します。誤出荷も「品番違い・数量違い・保管場所の間違い・ラベルの貼り間違い」のように原因別に数えます。数字があると、どこに手を入れるべきかと、改善した後の効果がはっきりします。荷主への説明材料にもなります。

2. 整理・整頓(5S)と保管場所の番地

不要な物を置かない、置き場所を決めて表示する、を徹底します。棚には番地(通路・列・段)を振り、商品と番地をひも付けて管理します。「探す時間」は目に見えにくいムダの代表で、ここが減るだけで1人あたりの処理量が変わります。

3. よく出る商品を出荷口の近くへ(出荷頻度での並べ替え)

出荷の回数が多い順に商品を並べ、上位の商品を出荷口に近い、取り出しやすい高さの棚へ移します。歩く距離が縮み、腰をかがめる回数も減るため、生産性と安全の両方に効きます。物量の変化に合わせて定期的に見直すのがこつです。

4. 作業標準書を「1作業1枚」で作る

写真や短い動画、絵の標識を使い、1つの作業を1枚で説明します。文章は短く、やさしい日本語で書きます。ベテランの頭の中にある「荷主ごとの決まりごと」を紙に出すことが、属人化をなくす第一歩です。新人・パート・高齢者・外国人材のだれが入っても、同じ手順で覚えられる状態を作ります。

5. 多能工化と持ち場の交代

1人が複数の工程をこなせるようにし、持ち場を定期的に交代します。特定の人が休んでも回るようになり、重い荷物を扱う工程の負担が1人に偏らないため、腰痛などの予防にもつながります。繁閑差への対応力も上がります。

ここまでは設備投資がほとんど要りません。一方で、物量が多い、品目が多い、荷主が多いといった倉庫では、人の工夫だけでは限界が来ます。そこで次の「WMSと機械化」が必要になります。業態ごとに起きやすい論点(3PL・冷凍冷蔵・メーカー物流・宅配センター)は業態別に見る物流倉庫×外国人材で整理しています。

5. 打ち手②WMSと機械化|向き不向き・費用・使える補助制度

倉庫管理システム(WMS)は、入荷・在庫・出荷を「何が・どこに・いくつあるか」で管理する仕組みです。バーコードとハンディ端末を組み合わせると、ピッキングする商品と棚番号を画面が指示し、読み取りで照合するため、誤出荷と探す時間が減ります。紙と表計算ソフトの二重入力もなくなり、棚卸しの負担も軽くなります。国の運用方針が、生産性向上で埋める約2万300人の中心に「倉庫管理システム等の活用」を置いているのはこのためです。

機器・システムごとの向き不向き

機器・システム 楽になる作業 向いている倉庫 注意点
WMS+ハンディ端末 在庫管理・ピッキング指示・検品・棚卸し ほぼすべての倉庫。最初の一手 品目・棚番号の登録と、荷主ごとの運用の整理が前提
デジタルピッキング(棚のランプ表示)・ピッキングカート ピッキングの迷い・取り違え 小さな商品の多品種・多頻度出荷 棚の配置替えのたびに設定変更が必要
無人搬送車・自律走行ロボット 棚と作業場の間の運搬・歩行 歩行距離が長い広い倉庫 床の段差・通路幅・人との動線分けを事前に確認
無人フォークリフト・パレット積み付けロボット パレットの搬送・積み付け 荷姿がそろったケース・パレット単位の出荷 荷姿がばらばらだと効果が出にくい
自動倉庫・移動ラック等 保管効率・取り出し 保管場所が足りない/天井が高い倉庫 建物の条件と長期の物量見通しが前提。賃借倉庫では要相談
動作を補助する着用型の機器 重量物の持ち上げによる腰の負担 手作業の積み卸しが残る倉庫 着脱の手間と、作業に合う型かの試用

費用の目安と、使える補助制度

WMSはクラウド型なら月額制で始められ、公開されている料金の例では初期25万円+月5万円(税別・パソコン端末1台とハンディ端末3台分込み)という製品があります(2026年9月時点)。価格を公開せず見積りで出す製品も多いため、2〜3社から同じ条件で見積りを取って比べてください。機械化は規模によって費用が大きく変わるため、国の補助制度の上限額が投資規模の目安になります。

制度 対象 上限額・補助率 時点・注意
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) 人手不足の中小企業等。カタログに登録された製品(デジタルピッキング、ピッキングカート、無人フォークリフト、パレット積み付けロボット、移動ラック等が登録されている) 従業員5名以下200万円/6〜20名500万円/21名以上1,000万円(賃上げ要件達成で300万/750万/1,500万円)。補助率1/2以下 2026年3月19日以降の条件。登録製品は随時追加
物流施設におけるDX推進実証事業(国土交通省) 倉庫業者・貨物利用運送事業者・トラック事業者等。システム構築・連携と自動化機器の導入を同時に行うことが要件 システム2,000万円・機器3,000万円(事業場内の最低賃金を3%以上または45円以上引き上げる場合は2,200万円・3,300万円)。補助率1/2以下 2026年度は1次(4月24日〜5月22日)・2次(7月9日〜7月31日)公募。次の公募は国交省の発表を確認

倉庫のデジタル化が進まない4つの理由と対策

  • 担当者が決まっていない:現場の責任者が兼務で抱え込むと止まります。導入の責任者を1人決め、ベンダーの導入支援を使います。国の判断基準でも「責任者の選任」が求められています(第6章)。
  • 荷主ごとに運用が違う:荷主と、表示・荷姿・データ形式をそろえる協議が必要です。費用の分担も含めて、契約内容の見直しを申し入れます。
  • 一度に全部やろうとする:1拠点・1工程(例:出荷検品)から始め、効果を数字で示してから広げます。
  • 現場で使われない:画面の文字の大きさや表示言語、端末の台数不足が原因になりがちです。導入前に現場の数人で試します。

WMSは「外国人材の代わり」ではなく「外国人材を受け入れる条件」

物流倉庫分野で特定技能・育成就労の外国人材を受け入れる事業者は、入庫管理・在庫管理・出庫管理の機能を持つ情報システム(いわゆるWMS)を、外国人が働く倉庫で利活用していることが要件です。さらに、WMSと連携して機能を広げる機器やシステムを継続して使い、分野別協議会に加入した日から1年以内に、その利活用の状況を協議会へ報告しなければなりません(国交省告示第787号・第788号、特定技能の運用要領別冊・2026年9月18日公表)。「機械化か、人か」の二者択一ではなく、機械化の土台の上に人を配置する設計が、制度上も前提になっています。

リウス

リウス

💡 国土交通省は、この「WMS」について、入庫・在庫・出庫を管理できれば「倉庫管理システム」という名前の製品でなくてもかまわないこと、そして自社で所有していなくても、外国人が働く事業所で使える状態であればよいことを、分野のページのよくある質問で説明しています。荷主のシステムを使っている倉庫も、まず国交省のページで確かめてみてください。

6. 荷主からの要求と物流効率化法|倉庫業者に課された「努力義務」

2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働の上限は、特別な事情がある場合でも年960時間になりました(厚生労働省)。ドライバーの1日のうち、倉庫の前で待つ時間や積み卸しの時間が長いほど、運べる量が減ります。そこで国は法律で、荷主だけでなく倉庫業者にも、荷待ち時間と荷役等時間を短くする努力義務を課しました。仕組みの全体は物流2024年問題と外国人材で解説しています。

時期 内容(物資の流通の効率化に関する法律) 倉庫にとっての意味
2025年4月 すべての荷主・物流事業者に努力義務。倉庫業者は、自ら管理する倉庫(周辺を含む)での荷待ち時間・荷役等時間の短縮に努める 規模にかかわらず全倉庫が対象
2026年4月 一定規模以上を「特定事業者」に指定。特定倉庫業者=貨物の保管量70万トン以上、特定荷主=取扱貨物の重量9万トン以上、特定貨物自動車運送事業者等=保有車両150台以上。中長期計画の作成・定期報告が義務。物流統括管理者の選任は特定荷主・特定連鎖化事業者のみ 特定倉庫業者に当たるのは保管量の大きい一部の事業者に限られるが、荷主側の義務が本格化
2026年10月末 特定荷主等に指定された事業者の中長期計画の提出期限(経済産業省の案内) 委託先の倉庫にも、時間の把握や改善への協力の相談が来ることが考えられる

倉庫業者が何に取り組めばよいかは、国の「判断基準」(省令)に具体的に書かれています。主なものを抜き出すと次のとおりです。

努力義務 判断基準に書かれた取組(抜粋)
荷待ち時間の短縮 トラック予約受付システムの導入(導入するだけでなく、配送の予定に配慮した予約時間の調整や利用率の向上まで)/混雑時間を避けた日時の指定
荷役等時間の短縮 荷捌き場所の確保/荷役前後の搬出入のマニュアル化/フォークリフトや荷役作業員の適切な配置/作業費用の適正な価格転嫁が確認できれば納品先単位に仕分けて引き渡す/パレット費用の適正な価格転嫁が確認できれば、パレットでの受け渡しに協力/検品を効率化する機器の導入
実効性の確保 責任者の選任と社員研修/荷待ち・荷役時間の把握(デジタル技術の活用)/荷主への出庫日程・量の調整や定時便の提案/物流データの標準化/無人搬送車・ピッキングロボット等による自動化/必要に応じた契約内容の見直し

ポイントは2つです。1つは、まず時間を測ること。荷待ちと荷役の時間を把握していなければ、荷主と改善の話ができません。もう1つは、仕分けやパレット対応など倉庫側の手間が増える取組には「適正な価格転嫁が確認できれば」という条件がついていることです。国の運用方針も、内閣官房と公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の遵守を呼びかけています。最低賃金の上昇と合わせて、料金改定の交渉材料として使えます。複数の荷主を抱える3PL事業者の対応は3PLで外国人材を受け入れる方法(荷主への説明責任)もご覧ください。

7. 打ち手③人の確保|国内の多様な人材と、通年で働く外国人材の現在地

国内の人材|応募が集まる倉庫の条件を整える

国の運用方針は、国内人材の確保策として、業界団体の「倉庫業・高齢者雇用推進ガイドライン」や、事業者が休憩室・食堂・送迎バス・託児所・パウダールームを整える例を挙げています。実際に、倉庫業の就業者に占める女性の割合や、70歳以上まで再雇用する事業者の割合は上がっています。第1章で見たとおり「応募が集まりにくい」面があるなら、勤務時間帯(短時間・日中のみの枠)、通勤手段、休憩環境、仕事内容の見せ方を見直すことが、費用の小さい打ち手になります。2026年度の最低賃金(全国加重平均1,177円)を踏まえた時給設定の見直しも、応募数に直結します。

繁忙期だけの人手は、短時間勤務の枠や派遣・請負で対応するのが現実的です。ここは外国人材が向かない場面です。物流倉庫分野の特定技能・育成就労は直接雇用に限られ、派遣は認められていません。派遣と直接雇用の費用・運用の違いは倉庫の外国人材は派遣で入れられる?直接雇用との違いで比べています。

外国人材(物流倉庫分野)の現在地|2026年9月時点

物流倉庫は、2026年1月23日の閣議決定で特定技能・育成就労の対象分野に加わりました。要件は告示で決まりましたが、まだ決まっていないことも残っています。確定事項と未定事項を分けて整理します。

項目 状態 内容
上乗せ基準(事業者の要件) ✅ 確定 特定技能=国交省告示第787号(2026年6月26日公布)/育成就労=告示第788号(同日公布・2027年4月1日の制度開始から)
運用要領別冊 ✅ 公表済み 特定技能=2026年9月18日公表(誓約書の様式つき)/育成就労=2026年8月28日公表(育成就労計画審査基準つき)
特定技能1号 技能評価試験 ⚠️ 未定 試行試験は2026年2月末までに終了。開始時期は「調整中であり未定」(国交省・2026年9月時点)。日本語はA2.2相当以上(JLPT N4以上など)
育成就労 技能評価試験(初級) ⏳ 制度開始後 1年経過時までに合格が求められる試験。2027年4月の制度開始以降に実施予定
分野別協議会 ⚠️ 調整中 特定技能・育成就労とも設置に向けて調整中。加入要件・書類・受付開始時期は決定次第公表。特定技能では在留諸申請の前に加入が必要
受入れ見込数(上限) ✅ 確定 特定技能1号 1万1,400人(2026年度から3年間)/育成就労 6,900人(2027年度から2年間)
特定技能2号 - 現時点で受入れなし
リウス

リウス

⚠️ 「物流倉庫の特定技能は、もうすぐ試験が始まるので来年から確実に採用できます」と時期を約束する説明には注意してください。国交省は2026年9月時点で、特定技能1号の試験の開始時期を「調整中であり未定」としています。時期の話を聞いたら、国交省の分野ページの日付と照らし合わせるのが確実です。

受け入れる事業者に求められる要件

  • 事業者の類型:①倉庫業の登録を受けた倉庫業者で自ら倉庫作業を行う者 ②倉庫業者の営業倉庫で、その委託を受けて倉庫作業を行う者(特定技能では、雇用の継続について倉庫業者と共同で責任を持つ協議書が必要)③一般・特定貨物自動車運送事業の許可を受け、自社で占有する倉庫で倉庫作業を行う者、またはその事業に関連して他人の需要に応じて有償で倉庫作業を行う者
  • 直接雇用のみ(派遣は不可)。報酬は日本人と同等以上
  • WMSの利活用と、連携する機器・システムの継続利用、協議会加入から1年以内の報告(第5章)
  • 分野別協議会の構成員になり、協議会・国交省の調査や指導に協力する。支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合は、その登録支援機関も協議会の構成員であることが必要
  • 本人から求められたら実務経験を証明する書面を交付する

任せられる仕事は、倉庫内での入出庫・検品・格納・ピッキング・流通加工などの倉庫作業で、連絡・清掃・台風への備えなどの関連業務は付随的に行えます。一方、包装されていない食品に直接触れる業務は対象外、配送のトラック運転は別分野(自動車運送業)です。詳しくは特定技能・育成就労 物流倉庫の対象業務で線引きしています。

特定技能と育成就労、どちらが時期に合うか

特定技能1号(即戦力)

  • 技能試験+日本語A2.2相当以上が必要
  • 要件の告示は2026年6月26日から適用済み
  • 試験の開始時期が未定のため、受け入れ時期はまだ見通せない
  • 通算の在留は上限5年(物流倉庫に2号はない)

育成就労(未経験から3年で育成)

  • 2027年4月1日に制度開始
  • 就労開始までに日本語A1相当以上(試験合格または認定日本語教育機関等の講習100時間以上)
  • 1年経過時に初級試験、終了までに特定技能1号の試験とA2.2相当
  • 本人の意向による転籍の制限期間は1年

時期と確実さを重く見るなら育成就労、すでに経験のある人を早く迎えたいなら特定技能の試験の公表を待つ、という整理になります。どちらの制度でも、第3章の比較表のとおり外国人材が効くのは通年の担い手の不足です。制度の全体像は特定技能 物流倉庫の完全ガイド(受入要件・対象業務・試験・費用)、受け入れ開始の時期は物流倉庫はいつから雇えるか、試験の詳細は物流倉庫の技能評価試験と日本語要件、育成就労で育てる実務は育成就労 物流倉庫の受入ガイド、協議会の加入は物流倉庫分野の協議会 加入ガイドで解説しています。

費用は、育成就労で海外から迎える場合の初期費用が1人おおむね50〜100万円(住居の準備まで含めると100〜120万円規模になることもあります)、月額は特定技能の支援委託費が1.5〜3万円(出入国在留管理庁の調査による平均は約28,386円)、育成就労の監理費が3〜5万円が目安です(2026年9月時点)。在留資格の更新・変更の手数料は2026年10月1日受付分から在留期間別に改定され、窓口で10,000〜75,000円(1年の許可なら33,000円)になりました。内訳と試算は物流倉庫の外国人材 受入費用ガイド、手数料は在留資格の更新・変更手数料【2026年10月1日〜】をご覧ください。委託先の登録支援機関は、2027年4月1日から支援担当者1人あたり50人未満・10機関未満という体制要件がかかります(体制要件の解説)。選び方は物流倉庫に強い登録支援機関・監理支援機関の選び方にまとめています。

8. 安全と定着|人を入れる前に整える現場の土台

倉庫業の労働災害の度数率は3.24(2023年)で、同じ調査の産業全体(2.14)より高い水準です。トラックへの積み卸しを含む陸上貨物運送事業でも、2025年の休業4日以上の死傷者は15,632人、死亡者は80人でした(厚生労働省)。けがで休む人が出れば、人手不足はさらに深刻になります。新しい人を迎える前に、安全の土台を整えることが先です。

育成就労の物流倉庫分野の審査基準は、安全衛生の業務として、雇い入れ時の安全衛生教育、昇降・荷役機器の操作教育、災害時の行動の教育、朝礼・終礼での健康管理と保護具の点検、ハンディ端末などの機器の始業前点検、備品・帳票の整理整頓、労働災害防止教育を挙げています。これは外国人材に限らず、だれが入っても同じ水準で守れる現場の決まりとして整えておくべきものです。

⚠️ 外国人材を迎えるときの順番

  1. 本人が先に職場のルールを覚える:安全の決まり、報告と記録のしかた、緊急時に何を優先するかを、入職前に本人と確認して合意します。
  2. ルールは作業標準書と同じ形で示す:写真・絵の標識・やさしい日本語で、1作業1枚。母語の説明を添えると理解が早まります。
  3. 体調はその日に本人が申告し、職場の安全基準で判断する:無理をさせない基準を先に決めておきます。

既存の社員に業務の負担を移す形で配慮を組み立てるのではなく、職場の決まりと本人の役割をはっきりさせることが、安全と定着の両方につながります。

フォークリフトの資格、墜落・腰痛・冷凍庫などのリスクと多言語での教育の進め方は物流倉庫の外国人材 安全教育・労災対策ガイドで、低温環境の配慮は冷凍冷蔵倉庫の外国人材 受け入れガイドで解説しています。定着については、国の運用方針が、国土交通省と業界で「育成・キャリア形成プログラム」(講習・資格、日本語、管理の経験)を作るとしています。何年目に何ができるようになるかを示すことが離職を防ぐ近道で、具体策は物流倉庫の外国人材 定着ガイドにまとめています。

9. 優先順位の決め方|3つの問いと12か月の進め方

限られた予算で何から手をつけるかは、次の3つの問いで絞り込めます。

🧭 着手の順番を決める3つの問い

  1. 足りないのは「通年」の人か、「繁忙期だけ」の人か?
    繁忙期だけなら、荷主との日程の平準化・短時間勤務の枠・派遣や請負が先。通年なら、国内の採用条件の見直しと外国人材の検討へ。
  2. 誤出荷・探す時間・二重入力は、数字で把握できているか?
    把握できていないなら、第4章の「測る・整える」とWMSが先。人を増やしても、ムダが増えるだけになりがちです。
  3. 3年以上続けて働く担い手が必要か?
    必要なら育成就労・特定技能を検討します。ただしWMSの利活用が要件なので、2の答えとセットで進めます。

課題が複数あるときは、「影響の大きさ」と「着手のしやすさ」をそれぞれ3点満点で採点し、合計の高い順に並べます。

課題 影響の大きさ(1〜3) 着手のしやすさ(1〜3) 合計
① 人手不足・高齢化______
② 繁閑差______
③ 属人化・教育______
④ 誤出荷・品質______
⑤ 安全・労災______
⑥ コスト上昇______
⑦ 荷主・運送側の要求______
⑧ 情報・デジタル化______

🗓 12か月の進め方(「測る」から逆算して「人」へ)

1〜3か月目

測る・整える

4〜6か月目

仕組みにする

7〜9か月目

人の確保を設計

10〜12か月目

迎える体制

時期 やること ねらい
1〜3か月目 ①工程別の作業時間と誤出荷の原因を記録 ②トラックの荷待ち・荷役時間を計測 ③整理整頓と棚番号、出荷頻度での並べ替え ④作業標準書を1作業1枚で作成 費用をかけずにムダを減らし、次の投資の効果を測れる状態にする
4〜6か月目 ①WMS・ハンディ検品の見積りを2〜3社で比較 ②補助金の公募時期を確認 ③荷主と出荷日程・料金改定・費用分担を協議 誤出荷と二重入力を仕組みで止める。外国人材の受け入れ要件の土台にもなる
7〜9か月目 ①求人条件(時間帯・送迎・休憩環境)の見直し ②外国人材を使う場合は事業者の類型を確認し、登録支援機関・監理支援機関を比較 ③協議会の受付状況と試験日程を毎月確認 国内人材と外国人材の両方で、通年の担い手を確保する道筋をつける
10〜12か月目 ①安全教育の教材と朝礼の確認項目を整える ②住居や通勤手段の準備 ③受け入れ後の育成計画(何年目に何ができるか)を作る 迎えた人がけがなく続けられる職場にする

⏰ 逆算のこつ

育成就労は2027年4月1日に始まります。その時期に合わせて受け入れたい場合は、この12か月の順番を待たず、WMSの整備と受け入れの準備を並行して進める必要があります。在留の申請には数か月かかり、海外から迎える場合は渡航と住居の準備も加わります。具体的な逆算は育成就労×物流倉庫の12ヶ月準備スケジュールで、記入して使える版は物流倉庫 外国人受け入れ準備シートで確認できます。

リウス

リウス

💬 採点してみて「①人手不足」が一番上に来たら、外国人材が役に立つ場面です。ただ、事業者の類型やWMSの要件、どちらの制度が時期に合うかは倉庫ごとに違います。自社だけで判断がつかないときは無料相談で一緒に並べ替えましょう。

10. よくある質問

各項目をタップすると回答が開きます。回答はすべて国土交通省・厚生労働省・出入国在留管理庁・経済産業省の公表内容に基づいています(2026年9月時点)。

Q. 物流倉庫の課題には何がありますか?
大きく8つに整理できます。人の課題(人手不足・高齢化、繁閑差)、作業の課題(属人化・教育、誤出荷)、設備・作業の課題(安全・労災)、情報の課題(紙や表計算ソフトでの管理)、そして外から来る課題(最低賃金などのコスト上昇、荷主・運送側からの荷待ち・荷役時間短縮の要求)です。国の運用方針では、物流倉庫分野の人手不足は2024年時点で約1万9,000人、2028年度には約5万5,100人と見込まれています。
Q. 外国人材を採用すれば、倉庫の人手不足は解決しますか?
通年で働く担い手の不足には効きますが、それだけでは解決しません。国の見立てでも、2028年度の不足約5万5,100人のうち、約2万300人は倉庫管理システム等による生産性向上、約1万6,500人は女性・高齢者の就業で埋め、外国人材は残りの約1万8,300人です。また、物流倉庫分野の外国人材は直接雇用のみで派遣は不可のため、繁忙期だけの増員には使えません。誤出荷や属人化も、人数ではなく仕組みで解決する課題です。
Q. 物流倉庫で特定技能の外国人材はいつから受け入れられますか?
事業者の要件を定めた告示第787号は2026年6月26日に公布・適用され、運用要領別冊も2026年9月18日に公表されました。ただし、特定技能1号の技能評価試験は、国土交通省が2026年9月時点で「開始時期は現在調整中であり未定」としています。分野別協議会も設置に向けて調整中です。時期を確実にしたい場合は、2027年4月1日に始まる育成就労も合わせて検討してください。
Q. WMS(倉庫管理システム)を持っていないと外国人材は受け入れられませんか?
物流倉庫分野では、入庫管理・在庫管理・出庫管理の機能を持つ情報システムを利活用していることが要件です。国土交通省は、この機能を満たせば「倉庫管理システム」と銘打った製品でなくてもよいこと、また自社で所有していなくても、外国人が働く事業所で使える状態であればよいことを説明しています。加えて、WMSと連携する機器・システムを継続して使い、協議会に加入した日から1年以内に利活用の状況を報告する必要があります。
Q. 繁忙期だけ外国人材を派遣で入れることはできますか?
できません。物流倉庫分野の特定技能・育成就労は直接雇用に限られ、特定技能外国人を派遣することも、派遣された人を受け入れることもできないと運用要領に明記されています。繁忙期の人手は、荷主との出荷日程の平準化、短時間勤務の枠、日本人の派遣・請負などで対応し、外国人材は通年の担い手として位置づけるのが制度に合った使い方です。
Q. 倉庫のデジタル化(DX)がうまく進まないのはなぜですか?
よくある原因は、導入の責任者が決まっていない、荷主ごとに運用がばらばら、一度に全部を変えようとする、現場で使われない、の4つです。1拠点・1工程から始めて効果を数字で示し、荷主とは表示・荷姿・データ形式の統一と費用の分担を協議します。物流効率化法の判断基準でも、倉庫業者に責任者の選任、時間の把握、物流データの標準化、必要に応じた契約内容の見直しが挙げられています。
Q. 倉庫の自動化にはどんな補助金が使えますか?
代表的なのは2つです。中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、登録製品の導入に対し、補助率1/2以下・上限は従業員数に応じて200万〜1,000万円(賃上げ要件達成で300万〜1,500万円)です(2026年3月19日以降の条件)。国土交通省の物流施設におけるDX推進実証事業は、システム構築・連携と自動化機器の導入を同時に行うことが要件で、上限はシステム2,000万円・機器3,000万円、補助率1/2以下です(2026年度)。公募時期と条件は年度ごとに変わるため、必ず最新の公募要領で確認してください。
Q. 物流効率化法で、倉庫業者は何をしなければなりませんか?
2025年4月から、すべての倉庫業者に、自ら管理する倉庫でのトラックドライバーの荷待ち時間と荷役等時間を短くする努力義務があります。判断基準には、トラック予約受付システムの導入、混雑を避けた日時の指定、荷捌き場所の確保、フォークリフトや荷役作業員の適切な配置、時間の把握などが挙げられています。2026年4月からは、前年度の保管量が70万トン以上の倉庫業者が「特定倉庫業者」に指定され、中長期計画の作成と定期報告が義務になりました。
Q. 外国人材は人件費を抑える手段になりますか?
なりません。特定技能・育成就労では、報酬が日本人と同等以上であることが要件です。さらに初期費用(育成就労で1人おおむね50〜100万円が目安)と、月額の支援委託費または監理費がかかります。外国人材は「安い労働力」ではなく、通年で長く働いてもらう担い手への投資として考えるのが適切です。

自社の課題の順番が決まったら、外国人材が入る余地を「準備シート」で確かめる

物流倉庫 外国人受け入れ準備シート(A4×4ページ・記入式)は、自社が受け入れ対象の事業者か、特定技能と育成就労のどちらか、受け入れまでに何をいつまでに行うか、費用はいくらかを、経営者・センター長ご自身が記入して整理できる資料です。当社は登録支援機関(24登-011066)として、倉庫の状況に合わせた整理もお手伝いします。

無料・オンライン可・しつこい営業は一切ありません/受け入れを決める前のご相談も歓迎です

11. まとめ|「作業 → 情報 → 安全 → 人」の順で片づける

✅ この記事の要点

  • 国は物流倉庫分野の2028年度の人手不足を約5万5,100人と見込み、生産性向上(約2万300人)・女性と高齢者(約1万6,500人)・外国人材(約1万8,300人)の3本柱で埋める計画。
  • 倉庫の課題は8つ(人手不足、繁閑差、属人化、誤出荷、安全、コスト上昇、荷主・運送側の要求、デジタル化)に分けると打ち手が決まる。
  • 外国人材が効くのは通年の担い手の不足。繁忙期だけの増員(派遣不可)、誤出荷、属人化、コスト削減には効かない。
  • お金をかける前に、工程別の時間と誤出荷の原因を測り、整理整頓・棚番号・作業標準書で「探す・迷う・やり直す」を減らす。
  • WMSは誤出荷と二重入力を止める最初の一手で、物流倉庫分野で外国人材を受け入れる事業者の要件でもある。
  • 2025年4月から倉庫業者にも荷待ち・荷役時間を短くする努力義務。まず時間を測り、手間の増える対応は価格転嫁とセットで荷主と協議する。
  • 特定技能1号の試験は開始時期が未定(2026年9月時点)。育成就労は2027年4月1日から。

倉庫の課題は、どれか1つの打ち手で片づくものではありません。国の計画そのものが「機械・情報化」「国内の多様な人材」「外国人材」の組み合わせでできているように、自社でも順番を決めて積み上げていくことが近道です。作業を整え、WMSで情報を正しくし、安全の決まりを固めた倉庫は、日本人のパートや高齢者、外国人材のだれを迎えても早く戦力にできます。まずは今月、工程別の時間を測るところから始めてください。

12. 公式情報源リスト(お気に入り登録推奨)

機関 資料 確認できること
国土交通省 物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて 試験・協議会の最新状況(令和8年9月時点)、事業者の類型、WMSに関するよくある質問
国土交通省ほか 物流倉庫分野の分野別運用方針(PDF) 人手不足の見込み(2028年度 約5万5,100人)と打ち手の内訳、受入れ見込数、賃上げ率・女性比率・度数率
国土交通省 告示第787号(特定技能)/告示第788号(育成就労) 事業者に求められる上乗せ基準(WMS・協議会・実務経験証明)
法務省・国土交通省 特定技能 運用要領別冊(物流倉庫分野・2026年9月18日公表)/育成就労 運用要領別冊(2026年8月28日公表)/育成就労計画審査基準 協議会への加入時期、派遣の禁止、対象業務、安全衛生の業務
国土交通省ほか 「物流効率化法」理解促進ポータルサイト(倉庫業者の判断基準)/経済産業省「物流効率化法について」 倉庫業者の努力義務と取組例、特定事業者の指定基準、中長期計画の提出期限
国土交通省/中小企業庁系 物流施設におけるDX推進実証事業/中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) WMS連携・自動化機器の補助の上限額・補助率・公募時期
厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年7月分)/令和8年度 地域別最低賃金の答申 職業別の有効求人倍率、2026年度の最低賃金(全国加重平均1,177円)
厚生労働省 労働災害動向調査/令和7年の労働災害発生状況/自動車運転者の労働時間ポータル 度数率、陸上貨物運送事業の死傷者数、ドライバーの時間外労働の上限(年960時間)
出入国在留管理庁 特定技能制度/育成就労制度/改正入管法施行令(手数料) 在留資格の要件、2026年10月1日受付分からの手数料改定

※本記事は2026年9月時点の公表内容に基づきます。物流倉庫分野の試験・協議会・補助制度は今後更新されるため、判断の前に必ず上記の公式情報をご確認ください。費用の金額は、規模・製品・受け入れ人数・採用ルートにより変動する目安です。本記事の内容は法的助言を構成するものではありません。

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ジンザイネシア編集部

株式会社ジンザイネシアの編集部です。登録支援機関(24登-011066)・有料職業紹介事業(01-ユ-300820)として、インドネシア人材の採用・受け入れ・定着を支援している立場から、特定技能・育成就労の制度と受け入れ実務を、出入国在留管理庁・厚生労働省などの一次情報にもとづいて解説しています。


吉田 卓司

この記事を監修した人

吉田 卓司

株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。

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