
EC物流の人手不足を外国人材で解決|倉庫業界の特定技能・育成就労 完全ガイド
結論|3行で理解する
EC市場の拡大と物流2024年問題で、倉庫業の人手不足は深刻化。2027年4月開始の特定技能・育成就労「物流倉庫」が、現実的な解決策になります。
BtoC-ECは2024年で約26兆円規模に拡大する一方、運送・倉庫の担い手は不足。何も手を打たないと、出荷遅延・誤出荷・離職の連鎖につながります。本記事では、なぜ人手不足が起きるのか・放置のリスク・解決策の選択肢・外国人材で解決する方法(特定技能/育成就労)・受け入れの流れ・費用・成功のポイントまで、経済産業省・国土交通省・出入国在留管理庁の一次情報をもとに解説します。
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なぜ物流倉庫・倉庫業は人手不足なのか(EC物流の現状)
物流倉庫・倉庫業の人手不足は、複数の構造的な要因が重なって起きています。EC物流の現場では特に、出荷量の増加に人の確保が追いついていません。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| EC市場の拡大 | BtoC-ECは2024年で約26兆円(前年比+5.1%)。取扱量が増え、倉庫作業の需要が拡大 |
| 物流2024年問題 | トラック運転手の時間外労働に年960時間の上限。輸送力不足は2030年度に約34%との試算も |
| 担い手の不足・高齢化 | 運送・倉庫の人材は不足が続き、ドライバーは2030年に約36万人不足の見通し。倉庫現場も高齢化 |
| 採用難 | 立ち仕事・繁忙期の波があり、国内採用だけでは安定確保が難しい |
つまり、需要は増えるのに担い手が増えない――この構造が続く以上、国内採用の改善だけでは追いつかないのが実情です。だからこそ、外国人材という選択肢が現実味を増しています。
人手不足を放置するリスク
人手不足を放置すると、現場だけでなく経営に直接ダメージが及びます。
こうした損失は、人手を「安定して」確保することで防げます。短期の穴埋めではなく、中長期で戦力を確保する設計が必要です。
とくに見落とされがちなのが「採用と早期離職の繰り返し」によるコストです。募集広告費・面接・初期教育に投じた費用は、すぐ辞められると回収できません。これを何度も繰り返すと、実は外国人材を直接雇用で育てるよりも割高になっていることが少なくありません。人手不足対策は「採用単価」ではなく、「定着して戦力になるまでの総コスト」で考えることが重要です。
解決策の選択肢(自動化・派遣・外国人材)
人手不足の打ち手は一つではありません。それぞれの特徴を理解し、組み合わせるのが現実的です。
| 打ち手 | 特徴 |
|---|---|
| 省力化・自動化(WMS・自動搬送) | 効率は上がるが、ピッキング・検品・梱包など人の手は残る。初期投資も必要 |
| 派遣・スポット | 繁忙期の調整に有効だが、定着・熟練が積み上がりにくい |
| 国内採用の改善 | 待遇改善は重要だが、母集団自体が縮小しており限界がある |
| 外国人材(特定技能・育成就労) | 直接雇用で中長期に戦力を確保。育てて長く活躍してもらえる |
自動化で効率を上げつつ、残る人手を外国人材で安定確保する――この組み合わせが、これからの倉庫運営の現実解です。
自動化は「省人化」、外国人材は「人材確保」と役割が違います。たとえば自動搬送機やデジタルピッキングで歩行や探索の時間を減らしつつ、最終的な検品・梱包・イレギュラー対応は人が担う――という形が一般的です。設備投資には時間と資金がかかるため、まずは確実に確保できる人手(外国人材)を土台に据え、並行して自動化を進めるのが、多くの倉庫にとって現実的な順序です。
外国人材で解決する方法(特定技能・育成就労)
物流倉庫は2026年1月23日の閣議決定で特定技能・育成就労の対象に追加され、受け入れ開始は2027年4月予定です。これにより、倉庫業務の担い手を外国人材で確保する道が開けました。
| 制度 | 特徴 |
|---|---|
| 特定技能「物流倉庫」 | 試験合格の即戦力を直接雇用(通算5年)。受入見込 約1万1,400人 |
| 育成就労(物流倉庫) | 未経験から3年で育成→特定技能へ。受入見込 約6,900人 |
制度の全体像は物流倉庫の外国人材 採用完全ガイド、特定技能の手続きは特定技能「物流倉庫」の受入手続き、育成就労ルートは育成就労×物流倉庫の受入ガイドで詳しく解説しています。
インドネシア人材が物流倉庫に向く理由
外国人材のなかでも、インドネシア人材は物流倉庫の現場と相性が良いと考えられます。背景には次の要素があります。
もちろん適性や定着は個人差や受け入れ体制によって変わります。大切なのは、やさしい日本語・段階的な育成・生活支援といった「活躍できる環境」を会社側が整えることです。インドネシア人材採用の全体像は外国人材の日本語レベル(N4・N3で何ができる)もご参照ください。
※特定の国籍を一律に評価するものではなく、受け入れ体制づくりが活躍・定着の前提です。
どの業務を任せられるか
物流倉庫分野で外国人材に任せられるのは、倉庫内の入出庫・保管とそれに付随する作業です。EC物流の現場でニーズの高い業務がそのまま対象になります。
- 入荷・検品・仕分け・棚入れ・在庫管理(入庫側)
- ピッキング・検品・梱包・ラベル貼付(出荷側)
- 流通加工(値札付け・セット組み)・出荷準備・運搬補助
- フォークリフト等の機械操作(資格が必要。フォークリフト×外国人材を参照)
EC物流は多品種・小ロット・短納期で、ピッキングと検品・梱包の比重が大きいのが特徴。これらは手順が明確で教えやすく、外国人材が早期に戦力化しやすい業務です。
特定技能と育成就労どちらが向くか
EC物流・倉庫の現場では、状況によって向く制度が変わります。
| こんな企業 | 向いている制度 |
|---|---|
| すぐ戦力が欲しい | 特定技能(試験合格の即戦力) |
| 未経験から自社流に育てたい | 育成就労(3年育成→特定技能) |
| 長期で戦力を積み上げたい | 育成就労→特定技能の組み合わせ |
両制度の違いは育成就労と特定技能の違い、長期戦力化の設計はキャリアパス設計をご覧ください。
業態別の活用イメージ(3PL・自社EC等)
同じ「倉庫」でも業態によって人手不足の悩みは少し異なります。外国人材の活かし方の例を整理します。
| 業態 | 悩みと活かし方 |
|---|---|
| 3PL(物流受託) | 荷主ごとの繁閑差が大きい。多能工に育て、案件間で柔軟に配置できる戦力に |
| 自社EC・通販 | セール時の出荷波が大きい。年間雇用+多能工化で派遣依存とミスを減らす |
| メーカー・卸の自社倉庫 | 入出荷・在庫管理の安定運用が要。育成就労で自社流に育て長期戦力化 |
| 運送+倉庫 | 2024年問題で配送が逼迫。倉庫側を外国人材で固め、全体の処理能力を底上げ |
いずれも共通するのは、「直接雇用で育てて長く活かす」こと。これが波に強く、品質の安定した現場をつくります。
受け入れの流れ(逆算スケジュール)
受け入れ開始は2027年4月予定。試験合格者の確保・在留資格の申請・協議会加入を見込み、逆算で動きます。
方針・体制
準備・協議会
採用・申請
就労開始
← 受け入れ開始2027年4月から逆算 →
| 時期 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 今すぐ〜2026年央 | 対象該当の確認、制度選択、支援パートナーの情報収集 | 先行して土台づくり |
| 2026年度後半 | 支援体制・協議会加入の準備、WMS・安全体制の整備 | 運用要領に合わせ具体化 |
| 2027年1〜3月 | 募集・選考、在留資格の申請 | 4月就労へ逆算 |
| 2027年4月〜 | 就労開始・OJT・定着支援 | 早期戦力化 |
費用の目安
受け入れにかかる主な費用の目安です(技能実習・特定技能の相場をもとにした1人あたりの概算。物流倉庫固有の試験費・協議会費は運用要領公表後に確定)。
| 費用項目 | 概算の目安(1人) |
|---|---|
| 人材紹介手数料 | 約30〜60万円(育成就労は初期費用に内包の場合も) |
| 在留資格の手数料(官費) | 認定証明書交付=無料/変更・更新=各6,000円(2025年4月〜) |
| 支援委託費/監理費(月額) | 特定技能の支援委託 月1.5〜3万円(平均約2.8万円)/育成就労の監理費 月3〜5万円 |
| 育成就労の初期費用 合計 | おおむね50〜100万円(住居等込み100〜120万円規模も) |
費用は「コスト」でなく長期戦力への投資として、雇用年数で割って考えるのがポイントです。詳しい内訳は物流倉庫の外国人材 採用完全ガイドをご覧ください。
繁忙期対応・多能工化に活かす
EC物流はセールやギフト時期など、繁忙期の波が大きいのが特徴です。外国人材を直接雇用で中長期に確保し、多能工(複数の工程をこなせる人材)に育てておくと、波への対応力が大きく上がります。
- 複数工程を任せる:ピッキング・検品・梱包・在庫管理を一通りこなせると、繁忙期に工程間で柔軟に配置できる
- フォークリフト資格でさらに強く:資格取得を支援すれば、荷役まで任せられ現場の核に(フォークリフト×外国人材)
- 派遣・スポットへの依存を減らす:自社の戦力が厚くなるほど、繁忙期コストと品質リスクを抑えられる
- 新人の指導役に:定着した人材が後輩を教える側に回ると、育成が回り出す
「人手が足りないから採る」だけでなく、「育てて多能工化し、波に強い現場をつくる」発想が、人手不足を根本から和らげます。
多能工化が進むと、欠員が出ても他の人がカバーできるため、急な休みや退職にも強くなります。特定の人に依存しない体制は、属人化の解消とリスク分散の両面で効きます。育成就労で時間をかけて育てた人材が、3年後に特定技能へ移行し、さらに後輩の指導役になる――この循環ができると、採用に追われる状態から抜け出し、現場が自走するようになります。長期の育成・処遇の設計は育成就労から特定技能へのキャリアパス設計もご覧ください。
成功のポイント
とくにインドネシア人材は若く学習意欲が高く、丁寧な指導と母国語サポートのもとで、倉庫業務の戦力として定着しやすい傾向があります。支援体制の選び方は登録支援機関の選び方もご参照ください。
受け入れ開始までに今できること
運用開始は2027年4月ですが、準備を始めるのは早いほど有利です。情報公開を待つ間にできることがあります。
- 対象該当の確認:自社が倉庫業法の登録業者・委託・運送+倉庫のいずれに当たるか整理
- 制度の方針決定:特定技能(即戦力)か育成就労(未経験育成)か、自社に合うルートを検討
- 支援パートナーの情報収集:登録支援機関・監理支援機関・人材会社を比較・相談
- 受け入れ体制の素地づくり:WMS・やさしい日本語の手順書・安全体制・住居の方針を準備
新分野は運用開始直後に受け入れ希望が集中しやすく、先行して準備した企業ほど人材を確保しやすい傾向があります。まずは現状整理から始めましょう。受け入れの全体設計は物流倉庫の外国人材 採用完全ガイドが参考になります。
よくある失敗・注意点
✕ 「人手の穴埋め」で終わらせる:短期発想だと育たず定着しない。中長期の戦力として育成計画を持つ
✕ 安全・やさしい日本語を後回し:倉庫は労災リスクがある。手順書・表示・KYをやさしい日本語と図解で
✕ 派遣で受け入れようとする:物流倉庫は直接雇用が基本(派遣は不可とされる見込み)
✕ 協議会・在留申請を直前に慌てる:加入や申請には時間がかかる。受け入れ計画と同時に着手
✕ 処遇据え置きで離職:できる作業が増えたのに賃金が変わらないと転職される。等級・手当に反映を
よくある質問
EC物流・倉庫業の人手不足と外国人材について、企業から多い質問をまとめました(回答は2026年6月時点の公表情報・一次情報に基づきます)。
Q. 倉庫業で外国人材を雇えるのはいつからですか?
Q. 派遣で外国人材を入れることはできますか?
Q. 自動化を進めれば外国人材は不要では?
Q. 何から準備すればよいですか?
Q. 繁忙期だけ人手が欲しいのですが、外国人材は向きますか?
Q. 日本語があまり話せなくても倉庫作業はできますか?
Q. 小規模な倉庫でも受け入れられますか?
Q. 外国人材を入れると現場が混乱しませんか?
まとめ|人手不足は「安定した戦力の確保」で乗り越える
EC市場の拡大と物流2024年問題により、倉庫業の人手不足は構造的に続きます。国内採用や自動化だけでは限界があり、2027年4月開始の特定技能・育成就労「物流倉庫」で中長期に戦力を確保することが、最も現実的で確実な解決策です。直接雇用で育てて長く活躍してもらう設計が、出荷品質・定着・採用コストのすべてを改善します。物流倉庫は2027年4月開始の新分野で、運用要領の公表後は受け入れ希望が一気に増える可能性があります。試験合格者や支援体制の確保で先行できるよう、いまから準備を進めておくことが、安定した人手確保の近道です。ジンザイネシアは特定技能・育成就労の両方に対応し、制度選択から協議会・支援体制づくり・インドネシア人材のご紹介・定着まで一貫して伴走します。「自社は対象になるか」「いつから何を準備すべきか」など、まずは現状の整理からお気軽にご相談ください。
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📌 公式情報源(ブックマーク推奨)
| 情報源 | 内容 |
|---|---|
| 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」 | EC市場規模 |
| 国土交通省(物流政策・2024年問題) | 物流の課題・輸送力 |
| 国土交通省「物流倉庫分野の受入れ」 | 物流倉庫の制度 |
| 出入国在留管理庁「特定技能」 | 在留資格の制度 |
数値・制度は2026年6月時点。最新は公式でご確認ください。

この記事を書いた人
西澤 志門株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。

この記事を監修した人
吉田 卓司株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。
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