
特定技能は派遣できる?直接雇用が原則・農業漁業だけ例外【全分野○×早見表】
⚡ 結論|特定技能は「直接雇用」が原則。派遣で受け入れられるのは農業・漁業だけ
特定技能1号は原則 直接雇用|労働者派遣が認められるのは農業・漁業の2分野のみ
「特定技能は派遣で雇えるの?」「派遣会社から特定技能を紹介されたけど大丈夫?」——この疑問は意外と多く、そして多くの方が誤解しています。結論から言うと、特定技能1号の受け入れは直接雇用が原則で、労働者派遣の形態が認められているのは季節変動の大きい農業・漁業の2分野だけです。介護・外食・宿泊・建設・製造・物流倉庫など、その他すべての分野では、特定技能人材を派遣で受け入れることはできません。本記事では、なぜ派遣が原則NGなのか、なぜ農業・漁業だけが例外なのか、全分野の○×早見表、育成就労・技能実習の派遣可否、そして「特定技能の派遣会社」という言葉の正体(誤解と実態)、さらに直接雇用での受け入れの進め方と偽装請負の注意点まで、出入国在留管理庁・厚生労働省の一次情報に基づいて整理します。自社の業種が派遣できるのか・どう受け入れればよいのかを、ここで正確に確認してください。
📑 記事の早見ナビ(アンカーリンク)
1. 結論|特定技能は原則 直接雇用
最初に結論を整理します。特定技能(1号)で外国人材を受け入れるときの雇用形態は、次の通りです。
✅ 特定技能の雇用形態のルール
- 原則は「直接雇用」。受け入れ企業(特定技能所属機関)が、外国人本人と直接 雇用契約を結ぶ。
- 労働者派遣が認められるのは「農業」「漁業」の2分野のみ。この2分野は季節による業務量の変動が大きいため、例外的に派遣形態が認められている。
- それ以外のすべての分野(介護・外食・宿泊・建設・製造・物流倉庫 等)は直接雇用のみ。派遣では受け入れられない。
(出典:出入国在留管理庁 特定技能制度の運用要領/時点:2026年6月)
つまり、農業・漁業を除けば、「派遣会社から特定技能の人材を派遣してもらう」という受け入れ方は制度上できません。もし自社が介護・外食・宿泊・建設・製造・物流倉庫などであれば、特定技能は自社での直接雇用になります。次章以降で、その理由と、よくある誤解の正体を解説します。
そもそも「派遣」「請負」「直接雇用」は何が違うのか、基礎を押さえておくと、特定技能のルールが理解しやすくなります。違いは「誰が雇い、誰が指示を出すか」です。
| 形態 | 雇うのは | 指示を出すのは | 特定技能で使えるか |
|---|---|---|---|
| 直接雇用 | 自社 | 自社 | ✅ これが特定技能の原則 |
| 労働者派遣 | 派遣会社 | 自社(派遣先) | ❌ 農業・漁業のみ可 |
| 請負(業務委託) | 請負業者 | 請負業者(自社は不可) | ❌ 自社が指示すると偽装請負 |
2. なぜ派遣が原則NGなのか
特定技能で派遣が原則認められない理由は、外国人本人の保護と、制度の趣旨にあります。
- 本人の雇用と生活を安定させるため。派遣は派遣先が次々に変わり得るため、言葉や生活に不慣れな外国人材にとっては、雇用や生活が不安定になりやすい。直接雇用なら受け入れ企業が責任をもって雇用と生活支援を行える。
- 支援体制を明確にするため。特定技能では、受け入れ企業(または委託先の登録支援機関)が、生活オリエンテーション・相談対応・定期面談などの「義務的支援」を行います。派遣で雇用主と就労先が分かれると、誰が支援責任を負うかが曖昧になりやすい。
- 制度の趣旨(特定産業分野の人手不足への対応)に沿うため。特定の受け入れ企業が、自社の人手不足を補うために責任をもって受け入れる、という制度設計になっている。
要するに、「外国人材を使い捨てにせず、受け入れ企業が責任をもって雇用・支援する」という考え方が、直接雇用原則の背景にあります。これは、外国人材の定着を重視する企業にとっても、実は理にかなった仕組みです。
3. 派遣OKは農業・漁業だけ|なぜこの2分野か
例外的に派遣が認められているのが農業・漁業です。理由は、この2分野が他とは異なる「季節による業務量の極端な変動」を抱えているからです。
🌾 なぜ農業・漁業は派遣が認められるのか
農業は作物の植え付け・収穫期、漁業は漁期に作業が集中し、1つの事業者が1年を通じてフルタイムで雇い続けるのが難しいという特性があります。そこで、複数の農家・漁業者が派遣を通じて人材を共有し、繁忙期ごとに必要な場所で働けるようにするため、例外的に労働者派遣が認められています。派遣元(派遣会社)には、農業・漁業に関する知識や、適切な就労環境を確保できる体制などの要件が課されます。
逆に言えば、介護・外食・宿泊・製造・物流倉庫などは、通年で安定した業務量があるため、直接雇用で受け入れるのが基本とされています。自社が農業・漁業に該当しない限り、特定技能は直接雇用と考えてください。
なお、農業・漁業で派遣を行う「派遣元(派遣会社)」にも要件があります。たとえば、農業・漁業の業務に関する一定の知識・経験を持つこと、派遣先で適切な就労環境・労働条件が確保されるよう管理できる体制を持つこと、地方公共団体や農協・漁協などが関与する形態であること等が求められます。「派遣できる=誰でも気軽に派遣で受け入れられる」わけではなく、農業・漁業でも適切な派遣元を選ぶ必要があります。農業・漁業での具体的な派遣の要件・進め方は、それぞれの専門記事で詳しく解説する予定です。
4. 全分野 ○×早見表(派遣できるか)
特定技能の主な分野について、派遣で受け入れられるか(○)/直接雇用のみか(×)を早見表にまとめました。自社の業種を確認してください。
| 分野 | 派遣の可否 | 雇用形態 |
|---|---|---|
| 農業 | ○ 派遣 可 | 直接雇用 または 派遣 |
| 漁業 | ○ 派遣 可 | 直接雇用 または 派遣 |
| 介護 | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| 外食業 | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| 宿泊 | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| ビルクリーニング | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| 工業製品製造業 | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| 建設 | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| 飲食料品製造業 | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| 物流倉庫(2027年〜) | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
| その他の分野(自動車整備・造船・宿泊・林業・木材産業 等) | × 直接雇用のみ | 直接雇用 |
📌 覚え方はシンプル:「派遣で受け入れられるのは農業・漁業の2分野だけ。それ以外は全部 直接雇用」。自社がこの2分野でなければ、特定技能は直接雇用と考えて間違いありません。分野や要件は更新されることがあるため、最新は 出入国在留管理庁 でご確認ください。
5. 育成就労・技能実習の派遣可否
特定技能だけでなく、関連する制度の派遣可否も整理しておきます。結論として、育成就労・技能実習も派遣は基本的にできません。
| 制度 | 派遣の可否 | 雇用の形 |
|---|---|---|
| 特定技能 | 原則不可(農業・漁業のみ可) | 受け入れ企業が直接雇用 |
| 育成就労(2027年4月〜) | 不可 | 受入機関が直接雇用(監理支援機関の監理下) |
| 技能実習 | 不可 | 実習実施者(企業)が直接雇用(監理団体の監理下) |
育成就労は技能の育成を目的とする制度のため、派遣で人材を転々とさせる使い方は想定されていません。3制度の違いの詳細は 育成就労 vs 技能実習 vs 特定技能の違い にまとめています。
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6.「特定技能の派遣会社」の正体(誤解と実態)
インターネットで「特定技能 派遣会社」と検索すると、多くの会社が出てきます。しかし、特定技能は原則 直接雇用です。この「派遣会社」という言葉の実態を整理しておくと、業者選びで迷いません。
📌「特定技能 派遣会社」が指すものの実態
- 農業・漁業向けの正規の派遣会社。この2分野では派遣が認められているため、本当に「派遣」を行う会社が存在する。
- 実際は「人材紹介(有料職業紹介)」の会社。多くの場合、企業に人材を紹介し、企業が直接雇用するのを支援する会社が、検索対策などで「派遣」という言葉を使っていることがある。実態は紹介+直接雇用。
- 登録支援機関を兼ねる会社。直接雇用した後の義務的支援を担う「登録支援機関」が、人材の紹介も行っているケース。
つまり、農業・漁業でなければ、あなたの会社が必要とするのは「派遣会社」ではなく、「人材を紹介してくれて、直接雇用後の支援もしてくれるパートナー(人材紹介会社+登録支援機関)」です。「派遣」という言葉に惑わされず、自社の業種(直接雇用か農漁業の派遣か)に合った形で、信頼できるパートナーを選びましょう。
📌 業者を選ぶときの確認ポイント(直接雇用の場合)
- 「派遣」か「紹介+直接雇用」かを明確にする。農業・漁業でないのに「派遣で受け入れられる」と説明する業者には注意。
- 登録支援機関として登録されているか。直接雇用後の義務的支援を委託するなら、出入国在留管理庁に登録された登録支援機関かを確認。
- 2027年施行の体制要件を満たすか。支援担当者1人あたりの支援人数(特定技能=50名・10社まで)など、サポート品質に関わる体制を確認。
- 書類作成は行政書士が担うか。在留申請書類の作成は行政書士の業務。役割分担が明確な業者を選ぶ。
登録支援機関の選び方は 登録支援機関とは?選び方・費用・一覧 に、信頼できる人材の連れてき方は インドネシア人材は誰が・どうやって連れてくる? に詳しくまとめています。
7. 直接雇用での受け入れの進め方
「派遣ではなく直接雇用なら、どう進めるの?」という方のために、基本の流れを示します。難しく考える必要はなく、人材を探し、面接し、雇用契約を結び、在留資格を申請して受け入れるという流れです。
- 人材を探す。人材紹介会社や登録支援機関を通じて、自社の業種・条件に合う候補者を探す(海外採用/国内在住者の採用)。
- 面接・選考。オンラインまたは対面で面接し、技能・日本語・適性・長期就労意向を確認する。
- 雇用契約を結ぶ。賃金は日本人と同等以上。労働条件を書面で明示し、本人と直接 雇用契約を結ぶ。
- 在留資格を申請する。必要書類を準備し、在留資格の申請を行う(書類作成は行政書士、提出取次は支援機関などと分担)。
- 受け入れ・支援。入国・住居・行政手続きを経て配属。登録支援機関に義務的支援(生活相談・定期面談等)を委託することが多い。
直接雇用は「自社が責任をもって雇う」ぶん、指揮命令を自由に行え、定着すればノウハウが自社に蓄積するというメリットがあります。費用や進め方の詳細は 特定技能の費用 完全ガイド を、派遣と直接雇用の比較は 派遣 vs 直接雇用の比較 も参考になります。
業種別の具体的な受け入れの進め方は、各業種のガイドにまとめています。自社に近いものをご覧ください。
「直接雇用は大変そう」は誤解|むしろ企業に有利な面が多い
「派遣のほうが手軽」というイメージから、直接雇用に身構える方もいます。しかし、通年で人手が必要な現場では、直接雇用のほうが企業にとって有利な面が多いのです。
- 指揮命令が自由。派遣・請負と違い、自社の判断で作業や配置を柔軟に指示できる。
- 定着でノウハウが蓄積。同じ人が長く働き、現場の生産性が上がる。派遣のように人が入れ替わらない。
- 長期ではコストを抑えやすい。派遣料金のマージンを払い続けるより、通年フル稼働なら直接雇用が数年で割安になりやすい。
- 支援は登録支援機関に委託できる。生活相談・定期面談などの義務的支援は登録支援機関に任せられるので、「全部自社で抱える」必要はない。
つまり直接雇用は「面倒な制約」ではなく、外国人材を長期戦力として育て、定着させるのに適した形です。登録支援機関というパートナーを使えば、採用・申請・定着支援の実務負担も大きく軽減できます。
8. 偽装請負に注意
「派遣がダメなら、請負(業務委託)にすればいいのでは?」と考える方もいますが、ここには偽装請負という落とし穴があります。
⚠️ 偽装請負とは:形式上は請負(業務委託)契約なのに、発注者(自社)が請負業者の労働者へ直接 作業指示を出していると、実態は労働者派遣とみなされ、違法(労働者派遣法・職業安定法違反)と判断されることがあります。特定技能の人材を「請負」の形で受け入れ、自社が直接指示すれば、偽装請負のリスクがあります。自社の指示で働いてもらいたいなら、農業・漁業以外は「直接雇用」が唯一の正しい形です。判断に迷う場合は専門家に確認してください。
結局のところ、農業・漁業を除けば、特定技能の人材に自社の指示で働いてもらう正しい方法は直接雇用一択です。「派遣」「請負」で抜け道を探すより、直接雇用を前提に、信頼できる人材紹介・登録支援機関のパートナーと進めるのが、結果的に最も確実で、定着にもつながります。
9. よくある質問(FAQ)
各項目をタップで開閉できます。回答は出入国在留管理庁・厚生労働省などの一次情報に基づきます(時点:2026年6月)。
特定技能は派遣で雇えますか?
なぜ農業・漁業だけ派遣が認められているのですか?
「特定技能の派遣会社」と名乗る会社がありますが、これは何ですか?
育成就労や技能実習は派遣できますか?
派遣がダメなら、請負(業務委託)で受け入れてもよいですか?
直接雇用だと、繁忙期だけの増員には使えないのですか?
10. まとめ
特定技能は直接雇用が原則で、労働者派遣が認められるのは農業・漁業の2分野のみです。介護・外食・宿泊・建設・製造・物流倉庫など、その他すべての分野は直接雇用になります。育成就労・技能実習も派遣はできません。「特定技能の派遣会社」という言葉は、農業・漁業向けの正規派遣か、実際は人材紹介+直接雇用支援のことが多く、農業・漁業でなければ必要なのは「派遣会社」ではなく人材紹介+登録支援機関のパートナーです。請負での受け入れは偽装請負のリスクがあるため、農業・漁業以外は直接雇用が唯一の正しい形。直接雇用は指揮命令の自由度が高く、定着すればノウハウが自社に蓄積するという、企業にとってのメリットもあります。自社の業種を早見表で確認し、正しい形で受け入れを進めましょう。
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📚 公式情報源(ブックマーク推奨)
| 機関 | 情報内容 | URL |
|---|---|---|
| 出入国在留管理庁 | 特定技能制度(直接雇用の原則・農業漁業の派遣)・分野別の運用要領 | 特定技能(ISA) |
| 厚生労働省 | 労働者派遣・請負(偽装請負の判断基準) | 労働者派遣・請負 |
| 厚生労働省 | 育成就労制度の概要(2027年4月施行) | 育成就労制度の概要 PDF |
※ 本記事の派遣可否・分野の整理は2026年6月時点の一般的な内容です。特定技能の対象分野・要件、派遣の認められる分野は更新されることがあるため、最新情報は必ず出入国在留管理庁などの公式情報源でご確認ください。自社の業種に応じた受け入れの進め方は無料相談で個別にご案内します。

この記事を書いた人
西澤 志門株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。

この記事を監修した人
吉田 卓司株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。
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