3PL(物流アウトソーシング)で外国人材を受け入れる方法|特定技能・育成就労の受託類型・多拠点・繁閑差・荷主対応ガイド
物流倉庫

3PL(物流アウトソーシング)で外国人材を受け入れる方法|特定技能・育成就労の受託類型・多拠点・繁閑差・荷主対応ガイド

結論|3PL事業者が外国人材を受け入れるなら「受託事業者(B型)としての適格性」と「多拠点・繁閑差・荷主対応に耐える直接雇用設計」で決まる

3PL(物流アウトソーシング)事業者が倉庫内作業で外国人材を受け入れるなら、まず「物流倉庫は2027年に始まる特定技能・育成就労の新分野」であり、3PLの多くは“倉庫業者の委託を受けて庫内作業を行う受託事業者(B型)”として受け入れ可能だと正しく理解し、多拠点運営・繁閑差・荷主への説明責任に耐えられる「直接雇用」の体制を先に設計するのが正解です。3PLは荷主から物流業務を一括で請け負うビジネスのため、庫内オペレーションの人手が事業の生命線です。一方で「2026年から雇える」「トラック運転も任せられる」「派遣で回せる」といった誤解も多く、制度を正確に押さえ、派遣依存から直接雇用での戦力化へ先に舵を切った3PLが、立ち上がりの人材と荷主からの信頼の両方を先に確保できます

この記事でわかること(3PL・物流受託・EC物流フルフィルメント事業者の方へ)

  • 3PL事業者が物流倉庫分野で外国人を雇えるのは「いつから」か(受入開始は2027年〜)
  • 3PLが該当する受け入れ類型(受託事業者=B型)と、自社の適格性チェック
  • 対象になる庫内作業と、対象外(トラック運転=別分野)の線引き
  • 3PL特有の論点①多拠点運営での配置・在留管理の壁
  • 3PL特有の論点②繁閑差(セール期・年末)と外国人材の戦力設計
  • 3PL特有の論点③荷主への説明責任・コンプライアンス
  • なぜ3PLは「派遣」ではなく「直接雇用」が前提になるのか
  • 特定技能と育成就労の選び方・費用の目安・支援機関の選び方・逆算スケジュール

※本記事は2026年6月時点の公的情報をもとに整理しています。最新は国土交通省(物流倉庫分野)出入国在留管理庁でご確認ください。当社は特定の他社を順位づけ・比較するのではなく、読者ご自身が公式情報で正しく判断できるための手順をまとめています。

目次

そもそも3PLとは?外国人材受け入れで何が特殊なのか

3PL(サードパーティ・ロジスティクス=物流アウトソーシング)とは、荷主企業(メーカー・小売・EC事業者など)から物流業務を一括して受託し、保管・庫内作業・配送までを代行する事業のことです。荷主は物流を「自社で抱えない」ことで本業に集中でき、3PL事業者は複数の荷主の物流をまとめて効率化します。日本では国土交通省も物流の効率化策として3PLの活用を後押ししてきました。

この3PLというビジネスモデルゆえに、外国人材の受け入れには一般の自社倉庫とは異なる特有の論点があります。荷主から請け負っている以上「他社の業務を自社の従業員で回す」構図になり、配置・契約・コンプライアンスの設計が複雑になりやすいのです。本記事は、3PL事業者ならではのこの3つの壁(多拠点・繁閑差・荷主対応)を中心に、外国人材を直接雇用で戦力化する道筋を整理します。

3PLの特徴外国人材受け入れへの影響
荷主から物流を受託自社は「倉庫業者の委託を受けて庫内作業を行う受託事業者(B型)」に該当しやすい。荷主の契約・KPIに左右される
複数拠点で運営外国人材をどの拠点で受け入れ・在留申請するか、拠点間の異動をどう扱うかの設計が必要
繁閑差が大きいセール期・年末などの波動を、安定雇用の外国人材と季節人員でどう組むかが鍵
荷主への説明責任荷主は委託先のコンプライアンス・労働環境を重視。外国人材の適法雇用が信頼維持に直結

3PLはいつから雇える?物流倉庫の制度追加と受入開始(2027年〜)

まず押さえるべき大前提は、「物流倉庫」は特定技能・育成就労の新しい対象分野で、実際に外国人を雇い始められるのは2027年〜という点です。制度に「追加が決まった年」と「企業が実際に雇える年」は別物なので、混同しないことが重要です。3PL事業者でも、この受入開始時期は共通です。

項目内容(2026年6月時点)
分野の位置づけ物流倉庫は特定技能・育成就労の新規整備分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環・鉄道などと同じ追加グループ)
所管省庁国土交通省 物流・自動車局。倉庫業を所管する省庁が分野を運用
育成就労の受入開始令和9年(2027年)4月1日から運用開始(育成就労制度の施行と同時)
特定技能の受入開始技能評価試験の開始時期を調整中のため時期は未定(2027年度〜の見込み)。「すでに2026年から雇える」は誤り
受入要件入庫・在庫・出庫の管理機能を持つ情報システム(WMS等)の利活用、および生産性・労働安全衛生の向上に資する機器・システムの利活用が条件(国土交通省)
分野別協議会物流倉庫分野の協議会は設置に向けて調整中。加入要件・受付開始は今後公表(受入時には加入が前提になる見込み)

⚠️ 「2026年から雇える」は誤り。受入開始は2027年〜

分野の追加が決まった年と、企業が実際に雇える年は別です。物流倉庫で外国人を受け入れられるのは、育成就労が2027年4月から、特定技能は技能試験の整備後(時期未定)です。だからこそ、立ち上がりの人材を先に確保するには、いまから準備を始める「先行者の優位」が効きます。新分野追加の全体像は特定技能の新分野 追加ガイド、対象業務の詳細は物流倉庫の外国人材 採用完全ガイドで解説しています。

3PLが該当する受け入れ類型(受託=B型)と適格性チェック

物流倉庫分野では、受け入れできる事業者の類型が3つに定められています。3PL事業者の多くは、荷主や倉庫業者から委託を受けて庫内作業を行うため、「B型=倉庫業者の委託を受けて倉庫作業を実施する者」に該当しやすいのが特徴です。ただし、自社で営業倉庫を登録運営していればA型、自社で運送許可を持ち自社倉庫で作業していればC型にも該当しうるため、最初に自社の立ち位置を確認しましょう。

類型受け入れできる事業者3PLでの該当例
A型倉庫業の登録を受けた倉庫業者で、倉庫作業を自ら実施する者自社で営業倉庫を登録運営する3PL
B型倉庫業者の委託を受けて倉庫作業を実施する者荷主・倉庫業者から庫内オペを請け負う3PL(最も多い)
C型一般貨物・特定貨物自動車運送業の許可を受けた者(自社倉庫等で倉庫作業を実施)運送+3PLを兼ねる事業者

加えて、物流倉庫分野では受け入れ要件として「入庫管理+在庫管理+出庫管理の機能を持つ情報システム(WMS等)の利活用」「生産性・労働安全衛生の向上に資する機器・システムの利活用」が求められます。3PLはもともと多荷主のオペレーションをシステムで標準化していることが多く、この要件は満たしやすい立場にあります。WMS・ハンディ端末・デジタルピッキングを導入済みの3PLほど、受け入れ要件と外国人材の戦力化の両面で有利です。

✅ 3PLの受け入れ適格性 セルフチェック

  • 自社はA型/B型/C型のどれに該当するか確認したか
  • WMS(入庫・在庫・出庫の管理システム)を利活用しているか
  • 生産性・安全衛生に資する機器・システムを導入しているか
  • 荷主との委託契約で、外国人材の配置・労務に支障がないか(再委託・労働者派遣の禁止条項等)
  • 受け入れ拠点(どの倉庫で在留申請するか)を決めているか

📌 公式情報源:国土交通省(受け入れ可能な事業者の類型・要件)(2026年6月時点)。業態ごとの違いの一覧は物流倉庫の業態別 受け入れガイドを参照。

対象になる庫内作業/対象外(トラック運転は別分野)

物流倉庫分野で外国人材が従事できるのは、倉庫内の各種作業です。国土交通省は対象を「物流倉庫で行われる貨物の入出庫、保管その他の各種倉庫作業」と定義し、入出庫貨物の受渡し・検品、貨物の移動、保管庫への格納、ピッキング、流通加工等を例示しています。トラックドライバー(自動車運送業)は別の分野で、物流倉庫分野には含まれません。3PLは配送まで請け負うことが多いため、ここを混同すると配置設計を誤ります。

✅ 対象になる倉庫内作業(この一覧はすべて対象内
入出庫貨物の受渡し・荷受け・荷渡し
検品・検数
貨物の移動・保管庫への格納(棚入れ)
ピッキング・仕分け
梱包・包装
流通加工(小分け・再包装・タグ取付け・ラベル貼り・セット組み・ギフト加工等)
フォークリフト等での貨物移動(必要な資格を取得のうえ)
❌ 対象外(別分野・別資格=物流倉庫では雇えない)
トラック運転(自動車運送業)
配送ルートのドライバー業務(ラストワンマイル含む)
建設・製造ラインなど他分野の作業
事務職(在留資格が別)

⚠️ 「3PLだから倉庫も配送も一括で外国人に任せたい」は不可

3PLは保管〜配送までワンストップで請け負うのが強みですが、外国人材の業務範囲は倉庫内作業に限定されます。トラック運転は自動車運送業という別分野で、育成就労の対象には航空・自動車運送業は含まれていません。「庫内で雇った人に配送も」という設計はできないため、庫内と配送を切り分けて募集・配置を計画してください。庫内作業の安全管理は物流倉庫の外国人材 安全管理ガイドもご参照ください。

3PL論点①多拠点運営での配置・在留管理

3PL事業者は荷主ごとに複数の倉庫拠点を運営することが多く、ここが自社単独倉庫との最大の違いです。外国人材を受け入れる際、「どの拠点(事業所)で在留資格を申請し、どこで就労させるか」を明確にする必要があります。在留資格は所属機関(受入企業)と就労場所に紐づくため、拠点をまたぐ異動や応援は、契約・申請内容と整合しているかを必ず確認します。

多拠点ならではの論点3PLでの実務ポイント
受け入れ拠点の決定どの倉庫で受け入れ・在留申請するかを先に決める。WMS要件・安全衛生要件を満たす拠点から始めるのが安全
拠点間の異動・応援就労場所・業務内容が在留資格の範囲内かを確認。繁忙拠点への一時応援は事前に労務・在留の整合を点検
支援・監理の体制拠点が分散すると母国語相談・定期面談・安全教育の手が回りにくい。多拠点に対応できる支援機関を選ぶ
住居の手配拠点ごとに通勤可能な住居を確保。郊外の大型施設は公共交通が弱く、住居・送迎の設計が定着率を左右する
標準化された教育拠点間で作業手順・安全教育を標準化しておくと、外国人材の習熟と配置転換がスムーズ

💡 多拠点の3PLは「まず1拠点でモデルを作り、横展開する」のが定石です。受け入れ・支援・安全教育の型を1つの倉庫で確立し、成功パターンを他拠点に広げると、在留管理のミスや定着率のばらつきを抑えられます。準備の段取りは物流倉庫の受け入れ準備スケジュールに整理しています。

3PL論点②繁閑差(セール期・年末)と戦力設計

3PLは荷主の販売波動をそのまま受けるため、繁閑差(出荷量の山と谷)が非常に大きいのが特徴です。ECの大型セール・年末商戦・新生活シーズンなどに出荷が集中し、閑散期との差が数倍になることも珍しくありません。この波動を「全部を直接雇用の正社員でまかなう」のは過剰人員になり、「全部を派遣・スポットでまかなう」のは品質と定着が崩れます。外国人材(特定技能・育成就労)は“基幹となる安定戦力”として位置づけ、波の上澄みを季節人員で調整するのが現実的な設計です。

人員レイヤー役割3PLでの考え方
基幹戦力(コア)通年で安定して庫内を回す中核。手順・安全を熟知し新人教育もできる直接雇用の正社員+特定技能・育成就労の外国人材でここを厚くする
繁忙対応(バッファ)セール期・年末の波を吸収短期アルバイト・季節人員で調整。コアが新人を即戦力化できる体制が前提
突発対応(スポット)急な物量増への一時対応最小限に。常態化すると品質・コストの両方が悪化

繁閑差が大きいからこそ、「閑散期に外国人材は余らないか」という懸念を持つ3PLは多いです。しかし実際は、閑散期にこそ多能工化(ピッキングも梱包も流通加工もできる人材へ育てる)・安全教育の徹底・OJTの仕込みができ、繁忙期に新人を素早く立ち上げる土台になります。波がある事業だからこそ、通年で育てられる安定戦力の価値が高いのです。物流業界全体の人手不足の構造は物流倉庫の人手不足ガイドで詳しく解説しています。

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3PL論点③荷主への説明責任・コンプライアンス

3PLが自社倉庫と決定的に違うのは、「荷主に対する説明責任」があることです。荷主は委託先の労働環境・コンプライアンスを年々厳しく評価しており、サプライチェーン全体での人権・適法雇用への要請も強まっています。外国人材を不適切に受け入れれば、最悪の場合は契約打ち切りや信用失墜につながります。逆に、制度を正しく守って外国人材を戦力化できていることは、荷主に対する強いアピール(安定供給力・品質)になります

荷主が気にする点3PLが整えるべき対応
適法な在留資格・雇用特定技能・育成就労の正規ルートで受け入れ。不法就労や偽装請負を疑われない体制を整える
労働環境・人権賃金は日本人と同等以上、長時間労働・ハラスメントの防止。母国語での相談窓口を用意
安全衛生フォークリフト・台車・高所等の労災対策を多言語で。荷主の現場監査にも耐える管理
供給の安定性直接雇用の安定戦力で離職を抑え、荷主のKPI(出荷品質・誤出荷率等)を維持する
行政書士法への適法対応在留申請書類の「作成」は行政書士の独占業務(2026年1月施行)。支援機関が無資格で有償作成していないか確認

📝 「偽装請負」と疑われないために

3PLでは、荷主の指揮命令系統と自社の指揮命令系統が混ざると「偽装請負」を疑われるリスクがあります。外国人材は自社(受託事業者)が直接雇用し、自社の指揮命令下で働かせるのが原則です。荷主から直接作業指示が出る運用になっていないか、委託契約の内容と現場の実態を一致させておきましょう。これは派遣との違いを理解する上でも重要な論点です(次章で解説)。

なぜ3PLは「派遣」でなく「直接雇用」前提なのか

人手が足りない3PLが真っ先に頼りがちなのが「派遣」です。しかし、特定技能・育成就労の外国人材は、原則として受入企業が“直接雇用”することが前提です(一部分野で例外的に派遣形態が認められる場合もありますが、物流倉庫は直接雇用が基本です)。3PLが外国人材を安定戦力にするには、派遣依存から直接雇用への転換が必要になります。

観点派遣で穴埋め外国人材を直接雇用
立ち上がり早いが、人が固定されず毎回教え直し準備に数か月かかるが、定着すれば教育コストが下がる
品質・習熟担当者が入れ替わり、誤出荷・品質ばらつきの温床に同じ人が習熟し、多能工化・新人教育の担い手になる
コスト構造派遣料率が高止まり。繁忙期はさらに上昇初期費用はかかるが、雇用年数で割ると単価が安定
荷主への信頼供給が不安定だと荷主の評価が下がりやすい安定戦力で品質を維持でき、契約継続・受託拡大に有利
外国人材の活用特定技能・育成就労は物流倉庫では派遣不可(直接雇用が前提)制度の正規ルートで受け入れ可能

「派遣で回し続けるか、直接雇用で戦力化するか」は、3PL経営の大きな分岐点です。判断軸の詳しい整理は物流倉庫の派遣 vs 直接雇用ガイドに、EC物流フルフィルメントでの活用イメージはEC物流の外国人材 活用ガイドにまとめています。

特定技能と育成就労、3PLでどちらを選ぶか

物流倉庫で外国人を受け入れるルートは大きく2つあります。「即戦力を最短で」なら特定技能、「育てながら長く」なら育成就労です。3PLは繁閑差が大きく、即戦力ニーズと長期育成ニーズの両方を持つため、両制度の組み合わせを検討する価値があります。

比較項目特定技能1号育成就労
位置づけ即戦力。試験合格者を就労させる育成しながら受け入れ(技能実習に代わる制度)
受入開始技能試験の整備後(時期未定)2027年4月〜
在留期間通算5年(1号)原則3年
日本語要件N4/JFT-Basic A2相当が目安就労開始までにA1相当以上(JLPT N5・JFT-Basic A1等が目安)。「N5必須」と単独で断定しない
家族帯同不可不可
雇用形態直接雇用(物流倉庫は派遣不可)直接雇用
転籍・転職同一分野内で転職可条件付きで本人意向の転籍が可(同一業務区分・制限期間経過・技能/日本語水準等)。「自由・無条件」ではない
支援/監理の主体登録支援機関に委託可監理支援機関が関与

💡 長期戦力化を考えるなら「育成就労(最長3年)→特定技能1号(最長5年)」のキャリアパス設計が王道です。育成就労を良好に修了した人は特定技能1号の評価試験が免除される見込みで、合計で長期の受け入れが設計できます。制度の基本は特定技能とは?制度の完全ガイド、育成就労の全体像は育成就労とは?制度の完全ガイド、物流倉庫の育成就労は物流倉庫の育成就労 受け入れガイド、特定技能の手続きは物流倉庫の特定技能 手続きガイドで詳しく解説しています。

📝 混同しやすい体制要件の数字に注意

2027年4月施行で支援・監理の体制要件が厳格化されます。特定技能の登録支援機関=支援担当者1人あたり外国人50名以下・所属機関10社以下育成就労の監理支援機関=1人あたり40人未満・8者未満と、制度ごとに別の数字です。多拠点の3PLは支援先が増えやすいので、業者の説明でこの2つが混ざっていないか確認しましょう。協議会の動向は物流倉庫の特定技能 協議会ガイドで解説しています。

費用の目安(初期費用と月額支援費)

外国人を物流倉庫で受け入れる費用は、「採用・在留資格取得にかかる初期費用」と「入職後に毎月かかる費用」に分かれます。物流倉庫分野は固有の額がまだ整備段階のため、ここでは近い制度(特定技能・育成就労)の業界相場を基準に示します(物流倉庫固有の額は運用要領の公表後に確定します。2026年6月時点)。3PLは多拠点で受け入れると人数が増えやすいため、1人あたりの費用×人数で総額を見積もると判断しやすくなります。

項目タイミング目安(1人あたり・近い制度の相場)
人材紹介・採用手数料初期採用形態・紹介会社により幅あり(海外採用は渡航・住居の初期費用が別途)
在留申請の取次・関連委託初期約12〜20万円程度(書類の作成は行政書士へ)
渡航費(海外採用の場合)初期約5〜15万円程度
住居の初期費用初期約30〜35万円(敷礼・家具家電等。都市近郊の拠点は上振れ)
月額 支援委託費(特定技能)毎月月1.5〜4万円(最多2.0〜2.5万円・平均約2.8万円/当社は2.5万円)
月額 監理費(育成就労)毎月月3〜5万円/人程度(監理支援機関への監理費の相場)

📊 業界相場ソース:出入国在留管理庁(支援委託費の調査)/OTIT・業界各社の公開料金(2026年6月時点)。物流倉庫の費用の内訳と回収の考え方は物流倉庫の外国人材 費用ガイドで詳しく解説しています。3PLは派遣料率と比較すると、直接雇用は雇用年数で割って考える「長期戦力への投資」になります。

⚠️ 今後の手数料改定にも注意

在留資格の変更・更新の手数料は2025年4月に窓口6,000円/オンライン5,500円へ改定済みで、さらに2026年度以降に3〜4万円規模へ引き上げる方針が示されています(政府方針段階・2026年6月時点)。多拠点で多人数を長期雇用するほど更新は繰り返すため、今後の値上げも見込んでおくと安心です。

登録支援機関・監理支援機関の選び方

特定技能で受け入れる場合、義務的支援(10項目)を自社で行うのが難しければ登録支援機関に委託します。育成就労では監理支援機関が関与します。「物流 登録支援機関」で探す方も多いのですが、非公式サイトのランキングではなく、出入国在留管理庁の「登録支援機関 登録簿」で確認するのが確実です。順位づけサイトは広告であることも多く、当社を含む事業者は当事者なので公平な順位はそもそも作れません。そのうえで、3PLでは次の観点で絞り込みます。

基準(3PLで特に重要)確認のしかた
① 多拠点への対応複数拠点に分散しても、母国語相談・定期面談・安全教育が回るか。拠点ごとのフォロー体制を確認
② 物流・倉庫の理解シフト制・繁忙期(年末・セール期)・夜勤など、倉庫現場の働き方を理解しているか
③ 安全管理のサポートフォークリフト・台車・高所など倉庫特有の労災リスクへの安全教育・多言語の安全指導ができるか
④ 母国語対応採用する国籍(例:インドネシア語)の相談員がいるか。緊急時の対応時間も確認
⑤ 費用の透明性月額に何が含まれるか。通訳費・更新時費用・拠点訪問の交通費などの追加が後から出ないか
⑥ 2027年4月の体制要件特定技能の登録支援機関=1人50名以下・10社以下/育成就労の監理支援機関=1人40人未満・8者未満。混同していないか
⑦ 行政書士法への適法対応在留申請の書類「作成」を有償で代行していないか(2026年1月施行)。書類作成は行政書士と連携しているか

登録支援機関の制度全体・選び方・費用の基本は登録支援機関とは?選び方・費用・一覧にまとめています。特定技能制度そのものの全体像は特定技能とは?制度の完全ガイドもご参照ください。

📌 公式情報源:出入国在留管理庁 登録支援機関 登録簿(2026年6月時点)

受け入れの流れ(逆算スケジュール)

3PLで外国人材が働き始めるまでには、いくつかの段取りがあります。稼働希望日から逆算して動くと失敗しません。物流倉庫は2027年スタートの新分野のため、いまは「制度の整備状況を追いながら準備を進める」フェーズです。とくに支援機関選びと在留申請は時間がかかるため、早めの着手が肝心です。

① 制度選定・拠点決定

類型確認・受け入れ拠点の選定

② 協議会・採用

協議会の動向確認・人材の選考

③ 在留申請

審査1〜3か月

④ 入職・定着支援

住居・安全教育・面談

時期やること3PLでの要点
①準備特定技能/育成就労を選ぶ/登録簿で支援機関を3社比較/自社が受入類型(A/B/C型)に該当するか確認WMS等の活用要件を点検/どの拠点で受け入れるか・荷主契約に支障がないかを確認
②協議会・採用分野別協議会の受付開始を確認/人材選考・面接協議会は調整中。公表され次第すぐ動けるよう準備しておく
③申請在留資格の申請(書類作成は行政書士へ)/審査1〜3か月就労場所・業務内容を申請内容と一致させる。多拠点なら申請単位を整理
④入職住居・銀行・役所手続きの同行/安全教育・OJT・定期面談で定着支援1拠点でモデルを作り横展開/フォークリフト等の安全教育を多言語で

📝 逆算のコツ

協議会の受付開始・在留申請(審査1〜3か月)に加え、海外からの採用なら渡航・住居準備も必要です。稼働希望日のおよそ4〜6か月前には制度の選定と支援機関選びを始めるのが安全です。2027年4月スタートを見据えるなら、いまから情報収集と社内・荷主との合意形成を進めておくと立ち上がりがスムーズです。準備の段取りは物流倉庫の受け入れ準備スケジュールに整理しています。

よくある失敗と回避策

  • 「2026年から雇える」と誤解して計画を前倒しする→ 物流倉庫の受入開始は育成就労が2027年4月〜、特定技能は試験整備後(時期未定)。制度の追加年と受入開始年を分けて考える。
  • 倉庫で雇った人にトラック運転(配送)も任せようとする→ トラック運転(自動車運送業)は別分野で、育成就労の対象外。物流倉庫は庫内作業に限る。
  • 自社が受入類型に該当するか確認していない→ A型(倉庫業者)/B型(受託事業者)/C型(自社倉庫を持つ運送事業者)。3PLはB型が多い。最初に該当を確認する。
  • 荷主の指揮命令が現場に直接入り「偽装請負」を疑われる→ 外国人材は自社が直接雇用し、自社の指揮命令下で働かせる。委託契約と現場の実態を一致させる。
  • 派遣依存のまま戦力化を先送りする→ 特定技能・育成就労は物流倉庫では直接雇用が前提。派遣の高止まりと品質ばらつきから抜け出せない。
  • 多拠点に一気に展開して在留管理・支援が破綻する→ まず1拠点でモデルを作り、型ができてから横展開する。
  • 体制要件の数字を混同する→ 特定技能の登録支援機関は1人50名・10社、育成就労の監理支援機関は1人40人未満・8者未満。別の数字。
  • 「在留申請も全部やります」を鵜呑みにする→ 書類作成は行政書士の独占業務(2026年1月〜)。連携体制を確認する。

よくある質問

各項目をタップで開閉できます。回答は2026年6月時点の公的情報にもとづきます。

Q. 3PL事業者は物流倉庫分野でどの類型に該当しますか?
荷主や倉庫業者から委託を受けて庫内作業を行う3PLは、多くが「B型=倉庫業者の委託を受けて倉庫作業を実施する者」に該当します。自社で営業倉庫を登録運営していればA型、自社で運送許可を持ち自社倉庫で作業していればC型にも該当しうるため、まず自社の立ち位置を確認してください。いずれの場合も、入庫・在庫・出庫の管理システム(WMS等)の利活用が受け入れ要件です。
Q. 3PLはいつから外国人を雇えますか?
物流倉庫は特定技能・育成就労の新分野で、実際に受け入れられるのは2027年〜です。育成就労は令和9年(2027年)4月1日から運用開始、特定技能は技能評価試験の開始時期を調整中(2026年6月時点で未定)です。「2026年から雇える」は誤りで、いまは運用開始前の準備フェーズです。だからこそ先行準備で立ち上がりの人材を確保できます。
Q. 3PLで雇った外国人に配送(トラック運転)も任せられますか?
いいえ。物流倉庫分野の対象は庫内作業(入出庫・保管・仕分け・ピッキング・梱包・検品・流通加工・フォークリフトでの貨物移動等)です。トラック運転は自動車運送業という別分野で、しかも育成就労の対象には含まれていません。3PLは配送まで請け負うことが多いですが、外国人材の業務は庫内に限り、配送と切り分けて配置・募集を計画してください。
Q. 3PLは派遣で外国人材を確保できますか?
特定技能・育成就労の外国人材は、物流倉庫では受入企業が直接雇用するのが前提です(物流倉庫は派遣ではなく直接雇用が基本)。派遣依存は立ち上がりこそ早いものの、人が固定されず品質のばらつきや教育コストの増加を招きます。繁閑差の大きい3PLこそ、通年で育てられる直接雇用の安定戦力を基幹に置く設計が向いています。
Q. 複数拠点で受け入れる場合、何に注意すればいいですか?
在留資格は所属機関と就労場所に紐づくため、どの拠点で申請しどこで就労させるかを明確にします。拠点間の異動・応援は在留資格の範囲内かを確認し、母国語相談・安全教育・定期面談を多拠点に対応できる支援機関を選びましょう。実務上は「まず1拠点でモデルを作り、型ができてから横展開する」のが破綻しにくい進め方です。
Q. 繁閑差が大きい3PLでも外国人材は活きますか?
活きます。外国人材(特定技能・育成就労)は通年で安定して庫内を回す「基幹戦力」に位置づけ、セール期・年末などの波は短期人員で調整するのが現実的です。閑散期には多能工化・安全教育・OJTの仕込みができ、繁忙期に新人を素早く立ち上げる土台になります。波があるからこそ、育てられる安定戦力の価値が高まります。
Q. 荷主に外国人材の受け入れを説明するとき、何を整えればいいですか?
荷主は委託先の適法雇用・労働環境・安全衛生・供給の安定性を重視します。特定技能・育成就労の正規ルートでの受け入れ、賃金は日本人と同等以上、多言語の安全教育、母国語の相談窓口を整え、偽装請負を疑われない指揮命令系統を明確にしておきましょう。制度を守って戦力化できていることは、荷主への強いアピール(安定供給・品質)になります。
Q. 物流倉庫分野の所管はどこの省庁ですか?協議会はありますか?
所管は国土交通省 物流・自動車局です。分野別協議会は2026年6月時点で設置に向けて調整中で、加入要件・受付開始時期は今後公表されます。受け入れ時には協議会への加入が前提になる見込みのため、公表され次第すぐ動けるよう準備しておくと安心です。

まとめ|3PLは「受託類型の適格性」と「直接雇用での戦力設計」で決まる

3PL(物流アウトソーシング)事業者は、荷主から物流を請け負うがゆえに、外国人材の受け入れで多拠点・繁閑差・荷主対応という特有の壁に向き合います。物流倉庫は特定技能・育成就労の新分野で、外国人を実際に受け入れられるのは2027年〜です。成否を分けるのは、①自社の受入類型(多くはB型=受託事業者)と適格性を確認すること ②多拠点・繁閑差に耐える「直接雇用の安定戦力」を設計すること ③荷主への説明責任を果たす適法・安全な体制を整えること ④公式の登録簿で物流・多拠点に強い支援機関を選び、いまから準備を進めることの4点です。

当社・株式会社ジンザイネシアも、その選択肢の一つです。インドネシア人材に特化した登録支援機関(登録番号 24登-007405)で、3PL・物流倉庫の受け入れにも対応し、当社が支援する人材の離職率は5.6%と低水準で推移しています(自社実績・2026年6月時点)。物流倉庫×外国人採用の全体像は物流倉庫の外国人材 採用完全ガイド、業態別の違いは物流倉庫の業態別 受け入れガイドもご覧ください。比較材料の一つとしてお役立てください。

3PL事業として、2027年スタートに向けた受け入れを始めませんか?

受託類型の確認・多拠点での配置・繁閑差に耐える戦力設計・荷主対応・費用の目安まで、貴社の状況に合わせて30分の無料相談でお答えします(無料・オンライン可・しつこい営業はしません)。

公式情報源リスト(ブックマーク推奨)

内容URL
物流倉庫分野の特定技能・育成就労(対象業務・類型・要件・協議会・受入開始)国土交通省 物流・自動車局
物流政策(3PL・物流効率化)国土交通省 物流・自動車局
特定技能制度(義務的支援10項目)出入国在留管理庁
育成就労制度出入国在留管理庁
育成就労制度の概要・対象分野厚生労働省(PDF)
受入れ対象分野出入国在留管理庁(PDF)
登録支援機関 登録簿出入国在留管理庁

※本記事は2026年6月時点の情報です。物流倉庫分野は制度の整備が進行中で、受入開始時期・試験・協議会・受入見込数は今後変わる可能性があります。契約・申請前に必ず公式情報をご確認ください。本記事は特定の他社を順位づけ・評価するものではありません。著者・監修:株式会社ジンザイネシア(登録支援機関 24登-007405)。

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西澤 志門

この記事を書いた人

西澤 志門

株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。


吉田 卓司

この記事を監修した人

吉田 卓司

株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。

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