
特定技能「自動車整備」の外国人材 受け入れガイド|対象業務・試験・協議会・費用・育成就労との違い【2026】
結論|自動車整備で特定技能の外国人材を受け入れるなら
自社の工場が道路運送車両法の「認証工場(または指定工場)」であることが大前提。そのうえで在留資格の申請より前に「自動車整備分野特定技能協議会」へ入会し、構成員資格証明書を受け取っておく必要があります。入会費用は無料。この分野は特定技能2号があり、上限なく働き続けてもらえるのが最大の強みです。
「求人を出しても整備士が来ない」「ベテランが定年を迎えるが、後を継ぐ若手がいない」——整備工場の経営者から最も多く聞く悩みです。国土交通省の資料によれば、自動車整備要員の有効求人倍率は4.99倍、平均年齢は47.2歳に達し、自動車整備学校の入学者数は過去20年でおよそ半分になりました(令和5年度時点)。この状況を受け、自動車整備分野は2019年(平成31年)4月に特定技能の対象分野となり、2023年(令和5年)には特定技能2号の対象にも加わっています。本記事は、国土交通省・出入国在留管理庁・日本自動車整備振興会連合会(日整連)の一次情報をもとに、対象業務・受け入れ要件・試験・協議会・費用・採用の流れ・2号・育成就労での扱いまでを、受け入れる側の目線で整理したものです。(2026年9月時点)
📋 特定技能「自動車整備」受け入れ 早見表
| 対象業務 | 日常点検整備/定期点検整備/特定整備(旧・分解整備)/特定整備に付随する業務(電子制御装置の整備・板金塗装 など) |
| 工場の要件 | 地方運輸局長の認証を受けた事業場(認証工場)であること。指定工場も可 |
| 協議会 | 自動車整備分野特定技能協議会へ在留資格の申請より前に入会(入会金・会費は無料/窓口は地方運輸局) |
| 人材の要件(1号) | 自動車整備分野特定技能1号評価試験(または三級自動車整備士)+日本語(JLPT N4以上またはJFT-Basic) |
| 雇用形態 | 直接雇用・フルタイムのみ。派遣は不可(違反すると以後5年間受け入れ不可) |
| 特定技能2号 | あり。認証工場での実務経験3年以上+2号評価試験合格(または二級自動車整備士)で在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能に |
| 受け入れ上限 | 令和6年度からの5年間で最大10,000人(分野別運用方針) |
1. 自動車整備の人手不足と、特定技能という選択肢
国土交通省のガイドブックによれば、自動車整備業の従業員は約55万人いる一方、実際に整備作業に従事する整備要員は約40万人にとどまります(令和5年6月時点)。車の保有台数は大きく減っていないのに、整備する人だけが減り続けているのが、いまの整備業界の構図です。
| 指標 | 数値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 整備要員の有効求人倍率 | 4.99倍(全職種を大きく上回る) | 国土交通省(令和5年度) |
| 整備要員の平均年齢 | 47.2歳(上昇傾向) | 国土交通省(令和5年度) |
| 自動車整備学校の入学者数 | 過去20年で約半減 | 国土交通省 |
| 整備要員/従業員 | 約40万人/約55万人 | 国土交通省ガイドブック(令和5年6月時点) |
| 特定技能の受け入れ上限 | 5年間で最大10,000人 | 分野別運用方針(令和6年3月29日一部改正) |
分野別運用方針では、令和6年度からの5年間で2万8,000人程度の人手不足が見込まれる中、生産性向上(1万1,000人程度)と国内人材の確保(7,000人程度)を進めてもなお足りない分として、最大1万人を1号特定技能外国人の受け入れ上限としています。つまり国として「この分野は外国人材を入れないと回らない」と正面から認めた分野です。
なお、整備工場が外国人材を迎える方法は特定技能だけではありません。技能実習(2027年3月末までの経過措置期間)、2027年4月に始まる育成就労、大学等を出た人材を採用する技術・人文知識・国際業務(技人国)もあります。整備そのものを担ってもらうなら、実務に直結するのは特定技能です。制度全体の違いは育成就労・技能実習・特定技能の3制度比較と特定技能制度の全体像で整理しています。
リウス(インドネシア出身・ジンザイネシア)
🤝 「うちの工場でも受け入れられる?」の確認からご相談ください
認証工場の要件、協議会の入会、在留資格の申請、人材の採用と定着まで、整備業の受け入れは確認すべき点が多くあります。当社はインドネシア人材に特化した登録支援機関(24登-011066)として、はじめての受け入れでも迷わず進められるようご支援します。
2. 対象業務|任せられる仕事・任せられない仕事
自動車整備分野の特定技能外国人が従事する業務は、分野別運用方針で次の4つと定められています。いずれも道路運送車両法に根拠がある整備業務です。
| 業務 | 具体的な作業の例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 日常点検整備 | ブレーキ液・エンジンオイル・冷却水の量の確認、タイヤの損傷確認、エンジンの異音やブレーキの状態の確認と、それに伴う整備 | 道路運送車両法 第47条の2/自動車点検基準 第1条 |
| 定期点検整備 | かじ取り装置・制動装置・走行装置・動力伝達装置・電気装置・原動機・緩衝装置・発散防止装置の点検と、それに伴う整備 | 道路運送車両法 第48条/自動車点検基準 第2条 |
| 特定整備 (旧・分解整備) | 原動機、動力伝達装置(クラッチ・トランスミッション等)、走行装置、かじ取り装置、制動装置、緩衝装置、連結装置、運行補助装置、自動運行装置を取り外して行う整備・改造 | 道路運送車両法 第49条第2項/同法施行規則 第3条 |
| 特定整備に 付随する業務 | 電子制御装置の整備、板金塗装 など | 国土交通省ガイドブック |
加えて、日本人の整備士が普段あわせて行っている「関連業務」には付随的に従事できます。分野別運用要領は、整備内容の説明、関連部品の販売、清掃などを例示しています。ただし関連業務だけをずっとやらせる働かせ方はできません。洗車や部品出しばかりを任せていると、在留資格の趣旨に反する運用と判断されるおそれがあります。
リウス
📌 公式情報源:運用要領(自動車整備分野の基準について)/出入国在留管理庁 自動車整備分野
3. 受け入れ企業の要件|認証工場であることが出発点
自動車整備分野には、他の分野にはない上乗せの基準が国土交通省の告示(平成31年国土交通省告示第358号)で定められています。次の6点すべてを満たす必要があり、1つでも欠けると受け入れができません。
| # | 満たすべき基準 | 確認のしかた・注意点 |
|---|---|---|
| ① | 認証工場であること(道路運送車両法 第78条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業場) | 指定工場(同法第94条の2第1項)も認証工場に含まれるため受け入れ可。認証を受けていない工場は対象外 |
| ② | 自動車整備分野特定技能協議会の構成員であること | 在留資格の申請より前に入会し、構成員資格証明書を取得しておく |
| ③ | 協議会に必要な協力を行うこと | 協力しない場合は基準に適合せず、受け入れができなくなる |
| ④ | 国土交通省が行う調査・指導に協力すること | 受け入れ後も継続して発生する義務 |
| ⑤ | 支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合、委託先が②〜④に加え1級または2級の自動車整備士(または整備士養成施設で5年以上の指導経験がある人)を置いていること | この分野だけの特別な要件。業者選びで必ず確認(後述) |
| ⑥ | 本人から求められたら実務経験を証明する書類を交付すること | 1号から2号へ進むときに必要。交付しないと基準不適合となる |
さらに、雇用の形も決まっています。直接雇用・フルタイムのみで、派遣契約や業務委託(請負)で受け入れることはできません。報酬は同じ仕事をする日本人と同等以上である必要があります。派遣で受け入れた場合、出入国に関する法令で不正・不当な行為をしたものとして以後5年間、特定技能外国人の受け入れができなくなります。派遣が例外的に認められているのは農業と漁業だけで、自動車整備は対象外です(→特定技能は派遣できる?全分野の早見表)。
4. 人材の要件|3つの入口と、技能実習からの移行
特定技能1号で整備の現場に立つには、技能と日本語の2つを満たす必要があります。入口は大きく3つです。
| 入口 | 技能の証明 | 日本語の証明 |
|---|---|---|
| ① 試験ルート | 自動車整備分野特定技能1号評価試験に合格 | 日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格 |
| ② 整備士資格ルート | 三級自動車整備士の技能検定に合格(評価試験の代わりになる) | 同上 |
| ③ 技能実習からの移行 | 自動車整備の技能実習2号を良好に修了していれば、1号評価試験は免除(すでに帰国している人も対象) | 技能実習2号を良好に修了していれば、職種を問わず日本語試験も免除 |
③のルートは、すでに整備の技能実習生を受け入れている工場にとって最も現実的な道です。ただし技能実習の計画を途中で中断して特定技能に変えることは認められていません。修了のタイミングから逆算して手続きを始めてください。技能実習は2027年3月末までの経過措置期間にあり、以降は育成就労へ切り替わります(→技能実習の経過措置期間の運用)。
人材をどこから探すかは、①国内にいる試験合格者・技能実習修了者、②海外にいる試験合格者、の2通りです。特定技能で在留する外国人は全体で39万296人、国籍別ではインドネシアがベトナムに次ぐ2位(8万6,955人・22.3%)まで伸びています(2025年12月末・速報値)。自動車整備分野の評価試験も、国内に加えフィリピン・インドネシア・ベトナム・スリランカで実施されています。国ごとの違いはベトナム人とインドネシア人の採用比較、インドネシア人材の特性はインドネシア人採用のメリット・デメリットで解説しています。
📌 公式情報源:国土交通省 受入れのためのガイドブック/出入国在留管理庁 特定技能制度
5. 自動車整備分野特定技能評価試験|内容・合格基準・費用
試験を実施しているのは一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(日整連)です。パソコンで受験する方式(CBT方式)で、日本語で出題されますが、すべての漢字にふりがなが付きます。1号・2号とも学科と実技の両方があります。
| 項目 | 1号評価試験 | 2号評価試験 |
|---|---|---|
| 学科 | ○×式・30問・60分(構造/機能/取扱法、点検・修理・調整、試験機や工具、材料・燃料油脂の初等知識) | 四択式・40問・80分(同分野の一般知識+保安基準その他の法規) |
| 実技 | 図などを使った判断等試験・3課題・20分 | 同形式・3課題・30分 |
| 合格基準 | 学科65%以上/実技60%以上 | 学科60%以上/実技60%以上 |
| 受験資格 | 試験日に満17歳以上(インドネシア国籍は18歳以上) | 同左+認証工場での整備実務経験3年以上(日整連所定の様式を提出) |
| 受験料(日本) | 4,300円(税込) | 4,800円(税込) |
| 合格証明書の交付手数料 | 1号・2号とも16,000円(税込)。受け入れ機関が日整連へ交付申請します(在留手続で必要) | |
合否は試験の30日以内をめどに日整連のウェブサイトで合格者の番号が公表され、雇用契約の締結が決まっている場合は受け入れ機関を通じて本人に合格証明書が交付されます。海外の受験料はフィリピン1,700PHP、ベトナム710,000VND、インドネシア450,000IDR です(令和7年5月時点のガイドブック記載)。
合格の実績も公表されています。出入国在留管理庁の運用状況資料(令和7年12月末・速報値)によると、自動車整備分野の累計受験者は1号10,632人・2号2,518人、累計合格者は1号7,805人・2号889人。2号の合格者はまだ900人弱で、長く働ける人材を確保したい工場にとっては早い者勝ちの状況といえます。
6. 自動車整備分野特定技能協議会|入会のタイミングと手続き
自動車整備分野で最も間違いが多いのが、この協議会です。「受け入れてから4か月以内に入ればよい」と書かれた解説記事がいまも残っていますが、これは古い運用です。現在は、受け入れる外国人に係る在留資格の申請より前に入会し、構成員資格証明書を申請書に添えて提出するのが原則です。令和6年6月15日以降は、初めて受け入れる場合であっても、申請時に構成員であることの証明書の提出が必要とされています。提出がない場合、その申請は不許可になります。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| STEP 1 | 「入会届出書 兼 構成員資格証明書」(第1号様式)と「遵守事項」(別表第1)を記入 | 様式と記載例は国土交通省のページから入手 |
| STEP 2 | 管轄の地方運輸局へ持参または郵送で提出 | 事務局は地方運輸局。郵送は簡易書留分の切手を貼った返信用封筒を同封 |
| STEP 3 | 構成員資格証明書の交付を受ける(これで入会完了) | 在留手続で毎回使うため大切に保管 |
| その後 | 名称・代表者・所在地・担当者が変わったら変更届出書、受け入れを終えたら退会届出書 | 届出漏れに注意 |
費用の心配は不要です。国土交通省のガイドブックは「入会金や会費等の費用は一切発生しません」と明記しています。一方で、入会の届出は受け入れる人が具体的に決まってから行うものとされています(誰を受け入れるか未定の段階での事前入会は想定されていません)。つまり実務上は「内定 → 協議会へ届出 → 証明書 → 在留資格の申請」という順番になります。他分野の協議会(介護・外食・宿泊など)とは加入の考え方が異なるため、複数分野を持つ会社は混同しないよう注意してください(例:介護分野の協議会/宿泊分野の協議会)。
リウス
7. 支援を委託するなら|「整備士がいる登録支援機関か」を必ず確認
1号特定技能外国人を受け入れる会社には、生活と就労を支える義務的支援10項目(事前ガイダンス、送迎、住居の確保、生活の案内、公的手続の同行、日本語学習の機会、相談・苦情対応、日本人との交流、転職支援、定期面談・行政への報告)の実施義務があります。自社で体制を組めない場合は登録支援機関に委託できますが、自動車整備分野は委託先の条件が他分野より厳しいので注意してください。
🔍 委託先を選ぶときの必須チェック(この分野だけの要件)
- 自動車整備分野特定技能協議会の構成員になっているか(支援の全部を委託する場合、登録支援機関も在留申請の前に入会が必要)
- 1級または2級の自動車整備士、もしくは整備士養成施設で5年以上の指導経験がある人を置いているか(告示の要件)
- その人は支援責任者・支援担当者である必要はなく、常勤でなくてもよい(国土交通省Q&A)。ただし在籍の証明(整備士技能検定合格証の写し、または実務経験証明書)を在留申請で提出する
- 2027年4月施行の改正で、登録支援機関は支援担当者1人あたり支援対象50人未満・所属機関10機関未満などの体制要件が法定化される予定。何名・何社で回す体制かを確認しておく
この「整備士を置いているか」という条件は、読者にとっては支援の質を見分ける物差しでもあります。道路運送車両法を理解している担当者がいなければ、任せてよい作業の線引きも、2号へ進むための実務経験の積ませ方も助言できないからです。契約前の確認項目は登録支援機関の選び方10項目チェックリスト、費用と役割の全体像は登録支援機関とは?選び方・費用にまとめています。
もう一点。在留資格の申請書類の「作成」を有償で登録支援機関に任せることはできません。改正行政書士法(2025年成立・2026年1月1日施行)により、書類の作成は行政書士の業務とされ、提出の取次ぎと作成は区別されます。支援委託費に含める形での代行も不可です。書類作成は行政書士へ依頼してください。
8. 費用の目安|初期・月額の内訳と、2026年10月の手数料改定
「結局いくらかかるのか」は最初に知りたいところです。給与・社会保険を除いた受け入れ関連の費用を、初期(1回だけ)と月額(毎月)に分けて整理します。金額は採用ルート(国内在住か海外からの呼び寄せか)と住居条件で大きく変わります。
| 初期費用の項目(1人あたり) | 目安(下限〜上限) | 備考 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料(紹介会社経由の場合) | 約30〜60万円 | 海外からの呼び寄せは高くなりやすい。保証の有無で差が出る |
| 協議会への入会 | 0円 | 入会金・会費とも発生しない(国土交通省) |
| 合格証明書の交付手数料 | 16,000円 | 受け入れ機関が日整連へ申請(1号・2号とも同額) |
| 在留資格の申請書類を行政書士へ委託 | 約8〜20万円 | 認定証明書の交付申請・変更申請の場合 |
| 在留資格の手数料(国へ納付) | 認定証明書=無料/変更・更新=窓口6,000円(2026年9月30日受付分まで) | 2026年10月1日受付分から改定(下の注意参照) |
| 渡航費(海外から呼び寄せる場合) | 約5〜15万円 | 国内在住者の採用なら発生しない |
| 住居の初期費用 | 約30〜35万円〜 | 敷金礼金・家具家電。社宅があれば圧縮できる |
| 健康診断 | 5,000〜10,000円 | 胸部X線検査を含む |
| 初期の合計目安 | 海外採用 約50〜100万円/国内採用 約30〜60万円 | 採用ルート・住居条件で変動 |
| 毎月・毎年かかる費用 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 支援委託費(登録支援機関へ) | 月1.5〜3万円(平均 約28,386円) | 出入国在留管理庁の委託費用調査で約9割が月3万円以下。当社ジンザイネシアは月2.5万円 |
| 日本語学習の支援(任意) | 月0〜1万円程度 | 整備用語の習得が早ければ現場の生産性に直結 |
| 住居の補助・社宅費(任意) | 0〜数万円 | 本人一部負担とする例も。実費相当額であることが条件 |
| 在留期間の更新サポート(年次) | 5〜10万円/回+国への手数料 | 行政書士への委託料。1号は通算5年が上限 |
⚠️ 2026年10月1日から、在留資格の手数料が上がります(確定)
在留資格の変更・更新の手数料は、2026年10月1日受付分から「許可される在留期間」によって変わります。窓口では3か月以下10,000円・1年33,000円・3年以上5年未満64,000円・5年以上75,000円(オンラインは1年27,000円・5年以上65,000円+決済手数料330〜550円)。永住許可は200,000円です。2026年9月30日までに受付された申請は、許可が10月以降になっても改定前の額(窓口6,000円・オンライン5,500円)です。更新のたびに発生する費用なので、5年・10年で見る採用計画には必ず織り込んでください。詳細は在留資格の手数料改定(2026年10月1日〜)で解説しています。
費用は「コスト」ではなく、雇用年数で割って考える投資です。1号の5年だけで見れば割高に感じても、2号へ進んで10年働いてもらえれば、1年あたりの負担は大きく下がります。業種横断の相場は特定技能の費用はいくら?初期・月額の相場まとめ、送り出し側の費用構造は送り出し機関の費用・手数料相場をご覧ください。
📊 業界相場ソース:支援委託費の平均額(約28,386円)は出入国在留管理庁の支援委託費用調査、試験・証明書の手数料は国土交通省ガイドブック、在留手数料は出入国在留管理庁 手数料の改定によります。紹介手数料・行政書士委託料・住居費は業界各社の公開価格から算出したレンジです(2026年9月時点)。
9. 採用から就労までの流れ|入社日から逆算する
受け入れは「思い立ってすぐ」には進みません。海外から呼び寄せる場合はおおむね6〜8か月、国内にいる人材でも3〜4か月を見ておくのが安全です。下の帯は、入社日から逆算した4つの段階です。
← 入社日(就労開始)から 約6〜8か月を逆算 →
① 6〜8か月前
受け入れ体制の確認
認証の有無・仕事の切り出し・住居
② 4〜6か月前
募集・面接・内定
試験合格者の紹介・雇用契約
③ 2〜4か月前
協議会入会 → 在留申請
証明書を添えて申請・審査
④ 0〜2か月前
査証・入国・生活立ち上げ
送迎・住居・口座・現場教育
| 時期 | やること | ねらい・つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 6〜8か月前 | ①自社が認証工場(または指定工場)か確認 ②任せる業務の切り出し(点検・整備が主になるか) ③住居の当てをつける ④支援は自社か委託かを決める | 認証がなければこの制度は使えない。住居の確保は義務的支援の一つで、後回しにすると入社日が動く |
| 4〜6か月前 | ①人材の募集・紹介依頼 ②面接(技能・日本語・定着意欲) ③特定技能雇用契約の締結 ④事前ガイダンス・健康診断 ⑤合格証明書の交付申請(日整連へ) | 報酬は日本人と同等以上が必須。証明書の交付には時間がかかるため、内定後すぐ動く |
| 2〜4か月前 | ①協議会へ入会届出 → 構成員資格証明書 ②1号特定技能外国人支援計画の作成 ③在留資格認定証明書の交付申請(海外)/在留資格変更許可申請(国内) ④審査 | 証明書がないと申請が不許可。審査は1〜3か月程度を見込む |
| 0〜2か月前 | ①証明書を本人へ送付 → 在外公館で査証 ②入国・空港送迎 ③住民登録・銀行口座・携帯 ④生活の案内 ⑤現場のOJT開始 | 入国できる時期は査証次第。繁忙期(車検の集中期)に重ならないよう調整する |
⏳ 逆算のコツ
「4月に1人増やしたい」なら、前年の8〜10月には動き出す計算です。技能実習生からの切り替えなら、実習計画の修了日を起点に逆算します(途中で中断しての変更は不可)。車検需要が伸びる3月・9月の直前に初日を設定すると、教育に手が回らなくなりがちです。
リウス
10. 特定技能2号|整備工場の「10年戦力」をつくる
自動車整備分野の最大の強みは、特定技能2号があることです。2023年(令和5年)に2号の対象分野へ追加され、条件を満たせば在留期間の上限がなくなります。人を育てて長く働いてもらうことが前提の整備業とは、非常に相性のよい設計です。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留できる期間 | 通算5年が上限(法務大臣が個々に指定する期間ごとに更新) | 上限なし(3年・1年・6か月ごとの更新) |
| 家族の帯同 | 不可 | 要件を満たせば配偶者・子の帯同が可能 |
| 要件 | 1号評価試験(または三級整備士)+日本語試験 | 認証工場での整備実務経験3年以上+2号評価試験合格。または二級自動車整備士の技能検定に合格(この場合、日本語試験は不要) |
| 業務 | 日常点検整備・定期点検整備・特定整備等の基礎的な業務 | 他の要員への指導を行いながら従事する一般的な業務 |
| 支援 | 義務的支援10項目が必要(委託可) | 支援の実施義務なし(=月額の支援委託費が不要に) |
| 永住申請との関係 | 1号の在留期間は永住許可の要件に算入されない | 2号の在留期間は算入できる |
ここで、受け入れ企業がやるべきことが1つあります。本人から求められたら、自社での実務経験を証明する書類を交付することです(告示の要件)。2号へ進むには「認証工場で3年以上」の実務経験が必要で、その証明は雇っていた会社しか出せません。交付しない場合は基準に適合せず、以後の受け入れにも影響します。入社時から担当した整備内容の記録を残す運用にしておくと、3年後に慌てずに済みます。
さらに先を見るなら、二級自動車整備士の国家資格を取ってもらう道があります。二級に合格すれば、それ自体が2号の要件を満たします。1号の5年のあいだに実務と学科の準備を進める育成計画を描ければ、技術の継承を担う中核人材になります。段階的な育成の考え方は育成就労から特定技能へのキャリアパス設計、在留期間の数え方は特定技能の在留期間は何年?で詳しく解説しています。
11. 2027年4月からの育成就労|自動車整備はどうなる
技能実習に代わる新制度「育成就労」は2027年(令和9年)4月1日に施行されます(公布:令和6年6月21日 法律第60号)。未経験の人材を受け入れ、原則3年で特定技能1号の水準まで育てる制度です。
対象分野は特定技能と原則一致すると整理されており、出入国在留管理庁が公表した受け入れ対象分野の資料には、自動車整備分野が「自動車整備」と「車体整備」の2つの業務区分で示されています(車体整備は新たに設定されるもの)。ただし、どの分野・区分が最終的に対象となるかは分野別運用方針で確定する事項であり、現時点(2026年9月)では確定ではありません。自社の作業が板金塗装中心の場合は、車体整備区分の確定情報を追いかけてください。
| 論点 | 現時点で分かっていること(2026年9月時点) |
|---|---|
| 施行日 | 2027年4月1日 |
| 対象分野 | 特定技能と原則一致(国内での育成になじまない分野は対象外)。自動車整備分野は対象となる見込みだが、最終確定は分野別運用方針による |
| 業務区分 | 出入国在留管理庁の資料では「自動車整備」「車体整備」の2区分の育成イメージが示されている(車体整備は新設予定) |
| 育成の姿 | 1年目は各装置の車検・定期点検項目の良否判定と整備の補助、2〜3年目は各装置の特定整備や測定機器を使った良否判定まで。3年で特定技能1号の水準へ |
| 在留期間・家族 | 原則3年・家族の帯同は不可 |
| 日本語 | 就労開始までにA1相当以上(試験合格、または認定日本語教育機関の就労課程を100時間以上受講) |
| 転籍 | 条件付きで本人の意向による転籍が可能(同一業務区分・分野ごとに1〜2年の制限期間・技能と日本語の水準 等) |
整備工場にとっての実務的な結論はシンプルです。いま採れるのは特定技能、育てる仕組みは2027年から。試験合格者や技能実習修了者を特定技能で確保しつつ、2027年以降は未経験人材を育成就労で受け入れて3年後に特定技能1号へ——という二段構えが現実的です。制度の詳細は育成就労制度とは?完全ガイド、対象分野の考え方は育成就労の対象分野・業務区分一覧、受け入れ要件は育成就労の受入要件と申請書類をご覧ください。
12. 受け入れと定着を成功させる4つのポイント
| ポイント | 具体的にやること |
|---|---|
| ① 整備用語を「見える化」する | 工具名・部位名・作業指示書の用語に、ふりがなや写真を付けた一覧を作る。評価試験は漢字にふりがなが付く水準のため、現場の漢字は最初の壁になる |
| ② 安全と品質の基準を先に伝える | ジャッキアップ・リフト操作・締め付けトルク・完成検査の手順を、母国語または平易な日本語で教育。整備は保安基準に直結するため、最初の教育が事故と手戻りを防ぐ |
| ③ 3年後・5年後の道筋を最初に見せる | 「3年で2号の受験資格、その先は二級整備士」という道筋を入社時に共有。実務経験の記録を残す運用も同時に始める |
| ④ 生活面の不安を先回りで潰す | 住居・通勤手段(地方では自動車運転免許の扱いが課題)・食事・礼拝への配慮。インドネシア人材はムスリムが多く、礼拝と食事の配慮が定着率を左右する |
見極めは面接の設計で大きく変わります。整備は手先の器用さだけでなく、指示の理解と報告ができるかが重要です。質問例と評価軸は外国人材の面接 完全ガイド、製造現場に近い見極め方は製造業の外国人面接、辞めない人の見分け方は定着する外国人・辞める外国人の見分け方が参考になります。
費用面では、厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)が使えます。雇用労務責任者の選任・就業規則等の多言語化に加え、相談体制の整備、一時帰国のための休暇制度、社内マニュアルや標識の多言語化などを導入すると、1制度の導入につき20万円(上限80万円)が支給されます(就労環境整備計画の期間終了後、一定期間の離職率15%以下などの要件あり)。助成金は年度ごとに要綱が変わるため、申請前に必ず最新の要綱を確認してください。制度の一覧は外国人の雇用・採用に使える助成金・補助金 完全ガイドにまとめています。
13. つまずきやすい注意点 6つ
| よくある誤解 | 正しい運用 |
|---|---|
| 「協議会は受け入れてから4か月以内でよい」 | 古い運用。現在は在留資格の申請より前に入会し、構成員資格証明書を提出する。令和6年6月15日以降は初回から必須 |
| 「繁忙期だけ派遣で入れたい」 | 不可。直接雇用・フルタイムのみ。違反すると以後5年間受け入れができない |
| 「認証がなくても整備の補助なら雇える」 | 不可。受け入れ機関は認証工場であることが告示で定められている |
| 「支援機関がビザ書類も作ってくれる」 | 書類の作成は行政書士の業務。登録支援機関は提出の取次ぎは可だが、有償での作成は不可(改正行政書士法・2026年1月1日施行) |
| 「技能実習を途中でやめて特定技能に変えられる」 | 不可。実習計画を中断しての在留資格の変更は認められていない。修了日から逆算して準備する |
| 「受け入れたら手続きは終わり」 | 受け入れ後も定期届出・随時届出が必要。2026年4月から定期届出は年1回(提出期限5月31日)に変更。事業場が変わるときは雇用契約変更の届出も必要(→特定技能の定期届出) |
14. よくある質問
各項目をタップで開閉します。回答は国土交通省・出入国在留管理庁・日本自動車整備振興会連合会の一次情報に基づきます(2026年9月時点)。
Q. 認証工場でなくても受け入れられますか?
Q. 協議会にはいつ入ればよいですか。費用はかかりますか?
Q. 洗車や受付など、整備以外の仕事も任せられますか?
Q. 技能実習生を特定技能へ切り替えられますか?
Q. 派遣や業務委託で受け入れることはできますか?
Q. 登録支援機関はどこでもよいのですか?
Q. 5年を超えて働いてもらうことはできますか?
Q. 育成就労が始まったら、自動車整備でも未経験者を受け入れられますか?
Q. 評価試験はどこで受けられますか。受験料はいくらですか?
15. まとめ|認証の確認 → 協議会 → 在留申請の順で、逆算して動く
自動車整備は、特定技能の中でも受け入れの道筋がはっきりしている分野です。まず自社が認証工場かを確認し、任せる仕事を点検・整備中心に組み立て、内定が出たら在留資格の申請より前に協議会へ入会する——この順番さえ間違えなければ、手続きは進みます。そして何より、特定技能2号があるため、5年で終わらせず10年の戦力に育てられるのがこの分野の強みです。実務経験の記録を最初から残し、3年後の2号、その先の二級整備士まで見据えた育成計画を描いてください。
整備工場のインドネシア人材採用、要件確認から定着までご支援します
認証工場の要件確認・協議会の入会・在留資格の申請・現地採用・入社後の定着支援まで。当社はインドネシア人材に特化した登録支援機関(24登-011066)として、はじめての受け入れでも安心して進められるようご支援します。無料・オンライン可・しつこい営業はしません。
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なぜインドネシアなのか
📚 公式情報源リスト(ブックマーク推奨)
| 機関・資料 | 内容 |
|---|---|
| 国土交通省 自動車整備分野における「特定技能」の受入れ | 様式・記載例・地方運輸局の窓口・分野の最新情報 |
| 受入れのためのガイドブック(令和7年5月) | 業務内容・遵守事項・試験・協議会・書類・助成金・Q&A |
| 自動車整備分野特定技能協議会 | 協議会の規約・開催状況・配布資料 |
| 出入国在留管理庁 自動車整備分野 | 分野別運用方針・運用要領・受入れ見込数 |
| 運用要領-自動車整備分野の基準について- | 告示の基準・確認書類・留意事項・別表 |
| 日本自動車整備振興会連合会 特定技能評価試験 | 試験の内容・日程・申込み・合格証明書 |
| 出入国在留管理庁 手数料の改定 | 2026年10月1日からの在留期間別の手数料 |
| 特定技能総合支援サイト | 制度の全体像・相談窓口・イベント情報 |
※ 本記事は2026年9月時点の公開情報に基づきます。要件・試験・協議会の手続き・手数料は改定される場合があるため、申請前に必ず国土交通省・出入国在留管理庁・日本自動車整備振興会連合会の公式情報をご確認ください。
この記事を書いた人
ジンザイネシア編集部株式会社ジンザイネシアの編集部です。登録支援機関(24登-011066)・有料職業紹介事業(01-ユ-300820)として、インドネシア人材の採用・受け入れ・定着を支援している立場から、特定技能・育成就労の制度と受け入れ実務を、出入国在留管理庁・厚生労働省などの一次情報にもとづいて解説しています。

この記事を監修した人
吉田 卓司株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。
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