
特定技能「物流倉庫」の受入手続き完全ガイド|要件・技能評価試験・協議会・いつから
結論|3行で理解する
特定技能で物流倉庫の人材を受け入れるには、①事業者の要件 ②外国人の要件(試験・日本語)③協議会加入・支援体制を満たす必要があります。
物流倉庫は2026年1月23日の閣議決定で特定技能の対象に追加され、受け入れ開始は2027年4月予定。即戦力(試験合格者)を直接雇用で迎えられます。本記事では、受け入れの要件・技能評価試験・協議会・在留資格の申請手続き・費用・スケジュールまで、「何を・いつまでに・どう進めるか」を、出入国在留管理庁・国土交通省の一次情報をもとに実務目線で解説します。
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受け入れの全体像(いつから・何ができる)
物流倉庫は2026年1月23日の閣議決定で特定技能の対象が16→19分野に拡大した際に加わった新分野です(同時に追加:リネンサプライ・資源循環)。受け入れ開始は2027年4月予定で、試験・運用要領の詳細は2026年度中に公表される見込みです。所管は国土交通省。
| 項目 | 内容(2026年6月時点) |
|---|---|
| 対象への追加 | 2026年1月23日 閣議決定 |
| 受け入れ開始 | 2027年4月予定 |
| 特定技能の受入見込数 | 約1万1,400人(2026年度から3年間) |
| 在留期間 | 特定技能1号は通算5年 |
特定技能1号は、分野の技能評価試験に合格した即戦力を直接雇用で受け入れる仕組みです。未経験から育てたい場合は育成就労が向きます。両制度の違いは育成就労と特定技能の違い、未経験育成は育成就労制度の完全ガイドをご覧ください。物流倉庫は育成就労のおおむね17分野にも含まれます。受け入れ全体像(対象業務・事業者・費用)は物流倉庫の外国人材 採用完全ガイド、未経験から育てる育成就労ルートは育成就労×物流倉庫の受入ガイドもご覧ください。
特定技能で受け入れる最大のメリットは、試験合格済みの人材を入社後すぐ現場で戦力にできることです。通算5年の在留が可能で、その先の長期雇用(特定技能2号など)の取り扱いは分野ごとの運用方針で順次示される見込みです。育成就労で未経験から育てて特定技能へつなぐ設計とあわせて、自社の状況に合うルートを選べます。長期戦力化の全体像はキャリアパス設計をご覧ください。
受け入れの3つの要件
特定技能で物流倉庫の人材を受け入れるには、大きく3つの要件をクリアする必要があります。
以下、それぞれを詳しく見ていきます。
外国人の要件(技能評価試験・日本語)
特定技能1号で働く本人には、次の合格が求められます。物流倉庫分野の試験は2026年度中に整備・実施される見込みです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 技能評価試験 | 物流倉庫分野の特定技能1号 技能評価試験に合格。倉庫内作業の基礎(入出庫・保管・ピッキング・検品・梱包・安全衛生 等)が問われる見込み |
| 日本語試験 | 日本語教育の参照枠A2.2相当以上=JLPT N4またはJFT-Basic A2以上に合格 |
| 移行ルート | 育成就労を修了した人材は特定技能1号へ移行可能。技能評価試験が免除される見込み(最終的な取扱いは運用要領で確定) |
倉庫は数量・ロケーション・出荷先の取り違えが事故やクレームに直結するため、現場では「安全と正確さに必要な日本語」が重視されます。入職後もやさしい日本語での手順書づくりや継続的な学習支援が、ミス防止と定着につながります。日本語レベルの目安は外国人材の日本語レベル(N4・N3で何ができる)も参考になります。
試験は2026年度に整備・実施される見込みのため、現時点では「いつ・どこで・どんな内容で実施されるか」を追うことが準備の第一歩です。海外で実施される試験の合格者を採用するルート、国内の留学生や他在留資格からの切り替え、育成就労からの移行など、複数の人材確保ルートを想定しておくと、運用開始時に動きやすくなります。試験情報が公表されたら、合格者の母集団がどこにあるかを見極めて採用計画を立てましょう。
事業者の要件(対象事業者・雇用形態)
受け入れができるのは、倉庫業務を行う次の事業者です。あわせて、雇用形態は直接雇用が基本となります。
| 対象事業者 | 内容 |
|---|---|
| ① 倉庫業者 | 倉庫業法に基づく登録を受けた営業倉庫の事業者 |
| ② 荷役請負(自社物流) | 上記からの委託を受けて倉庫内作業を担う事業者 |
| ③ 貨物自動車運送事業者 | 許可を受け、倉庫業務もあわせて行う運送事業者 |
自社倉庫を持つEC事業者・メーカー・卸売なども、倉庫業務の実態によっては対象に関わる可能性があります。逆に、業務の中心が配送・運転など倉庫内作業以外の場合は、物流倉庫分野ではなく別分野(自動車運送業 等)の対象になることもあります。「自社のどの業務を・どの分野で受け入れるか」を整理しておくことが、制度選択の出発点です。判断に迷う場合は、対象該当の確認から無料でご相談いただけます。
事務作業だけ・清掃だけといった単一の付随業務への専従は不可。配送ドライバー(運転)業務は物流倉庫分野の対象外(自動車運送業など別分野)、小売店舗のバックヤード内のみの作業も原則対象外とされる見込みです。
| その他の受け入れ要件 | 内容(見込み) |
|---|---|
| 在庫管理システム等の活用 | 入出庫・在庫管理システム(WMS)等を活用していること |
| 受入人数の上限 | 分野全体で3年間に約1万8,300人(特定技能11,400+育成就労6,900)を上限の目安として運用 |
| 委託(下請け)の場合 | 委託を受けて作業する場合、雇用継続に関する共同責任の協議書等の提出が求められる見込み |
フォークリフト作業の資格に注意
需要の高いフォークリフト作業には、日本の法令にもとづく技能講習の修了が別途必須です。母国の資格は使えず、学科試験は日本語で実施されるため、日常会話ができても専門用語で苦戦することがあります。電動パレットトラック(最大荷重1t未満)等は特別教育で操作できる場合があり、業務設計の選択肢になります。採用時に「フォークリフトを任せたいか」を整理し、必要なら資格取得の計画・費用を準備に織り込みましょう。
協議会への加入
特定技能では、受け入れ機関(企業)が分野別協議会に加入することが求められます。協議会は、制度の適正な運用や情報共有のための枠組みです。物流倉庫分野でも加入が必要となる見込みで、加入のタイミング・手続きは運用要領で示されます。
他分野では「在留諸申請を行う前に加入が必要」とされる例もあり(介護分野など)、受け入れの早い段階で加入手続きを織り込むことが重要です。協議会のしくみは介護分野の協議会加入手続き(他分野の参考例)もご覧ください。
協議会では、構成員(受け入れ企業)に対し、制度の趣旨や適正な受け入れの周知、人手不足の状況把握、地域偏在の防止などの取り組みが行われます。加入には所定の申請が必要で、加入が済んでいないと在留諸申請に進めない場合があるため、「採用が決まってから慌てて加入」では間に合わないことがある点に注意しましょう。物流倉庫分野の協議会の具体的な運用・入会方法は、2026年度に公表される情報で確定します。
受け入れ手続きの流れ(逆算スケジュール)
受け入れ開始は2027年4月。試験合格者の確保と在留資格の申請(審査に数か月)を見込み、逆算で着手します。
方針・確認
体制・協議会
選考・申請
就労開始
← 受け入れ開始2027年4月から逆算して着手 →
| 時期 | やること | ねらい・ポイント |
|---|---|---|
| 今すぐ〜 2026年央 | ①対象事業者・対象業務に当たるか確認 ②特定技能で受け入れる方針決定 ③登録支援機関・人材会社の情報収集 | 公表前の今こそ土台づくりで先行 |
| 2026年度後半 (試験・要領 公表後) | ④支援体制の準備(自社 or 登録支援機関) ⑤協議会加入の準備 ⑥安全・教育・生活支援の体制づくり | 公式の運用要領に合わせ具体化 |
| 2027年1〜3月 | ⑦試験合格者の募集・選考 ⑧在留資格の申請(審査に数か月) ⑨受け入れ準備 | 4月就労から逆算。申請期間を見込む |
| 2027年4月〜 | ⑩就労開始・OJT ⑪支援・定着のフォロー | 運用開始。即戦力として早期立ち上げ |
特定技能1号の支援(自社支援か登録支援機関か)
特定技能1号の外国人には、職業生活・日常生活・社会生活上の支援を行うことが受け入れ機関に義務づけられています。支援は自社で行うことも、登録支援機関に委託することもできます(自社支援には過去の支援実績などの要件があります)。
| 主な支援(義務的支援の例) | 内容 |
|---|---|
| 事前ガイダンス・入国時の送迎 | 労働条件・活動内容・入国手続き等の説明、空港送迎 |
| 住居確保・生活オリエンテーション | 住まいの確保支援、銀行・交通・ゴミ出し等の生活ルール案内 |
| 公的手続きの同行 | 市役所・社会保障・税などの手続き補助 |
| 日本語学習の機会提供 | 日本語教室・教材の情報提供 等 |
| 相談・苦情対応/定期面談 | 母国語で相談できる窓口、定期的な面談と必要な改善 |
登録支援機関は2027年4月施行で体制要件が厳格化されます(支援担当者1人あたり外国人50名・所属機関10社まで、過去5年内に2年以上の生活相談業務経験 等)。担当者1人で何名を見るかはサポート品質に直結するため、業者選定で必ず確認しましょう。選び方は登録支援機関の選び方で詳しく解説しています。
受け入れに必要な主な書類
申請時に必要となる主な書類は次のとおりです(分野・ケースで追加されます。最終的な様式・必要書類は運用要領で確定)。
- 雇用契約書・雇用条件書(報酬が日本人と同等以上であること等)
- 1号特定技能外国人支援計画書(支援内容を定めた計画)
- 本人の書類:技能評価試験・日本語試験の合格証、旅券・写真 等
- 受け入れ機関の書類:登記事項証明書・決算文書、業種が分かる書類(倉庫業の登録 等)
- 協議会加入に関する書類(必要な場合)
書類の作成・取次は行政書士へ委託でき、登録支援機関が支援計画の作成等をサポートする場合もあります。自社の体制に応じて分担を決めましょう。
在留資格の申請の実務(書類・手数料)
受け入れる人材が海外にいるか国内にいるかで、申請の種類が変わります。
| ケース | 申請の種類と手数料(官費) |
|---|---|
| 海外から呼び寄せ | 在留資格認定証明書 交付申請 = 手数料無料 |
| 国内の人材(他資格から) | 在留資格 変更許可申請 = 6,000円(2025年4月〜・オンライン5,500円) |
| 在留期間の更新 | 更新許可申請 = 6,000円(同上) |
主な提出書類は、雇用契約書・支援計画書・申請人や受け入れ機関に関する書類などです。書類作成や取次は行政書士へ委託できますが、登録支援機関が支援計画の作成等をサポートする場合もあります。支援委託の判断は登録支援機関の選び方をご覧ください。
費用の目安
受け入れにかかる主な費用の目安は次のとおりです(技能実習・特定技能の受け入れ相場をもとにした1人あたりの概算。物流倉庫固有の試験費・協議会費は運用要領の公表後に確定します)。
| 費用項目 | タイミング | 概算の目安(1人) |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料(紹介会社経由の場合) | 初期 | 約30〜60万円 |
| 在留資格の手数料(官費・国へ納付) | 初期 | 認定証明書交付=無料/変更・更新=各6,000円(2025年4月〜) |
| 在留資格申請を行政書士へ委託する場合(任意) | 初期 | 認定・変更 約8〜20万円/更新 約6〜10万円 |
| 渡航費・住居整備(海外採用の場合) | 初期 | 渡航 約5〜15万円/住居の初期 約30〜35万円〜 |
| 登録支援機関への支援委託費(自社支援なら不要) | 月額 | 月1.5〜3万円(平均約2.8万円) |
費用は「コスト」でなく長期戦力への投資として、雇用年数で割って考えるのがポイントです。在留資格「特定技能2号」など長期雇用の道や、育成就労からの積み上げを含めた設計はキャリアパス設計をご参照ください。
注意点(派遣不可・支援体制)
✕ 派遣で受け入れようとする:物流倉庫は直接雇用が基本。派遣は不可とされる見込み
✕ 協議会加入を後回しにする:加入が在留申請の前提となる場合がある。早い段階で手続きを織り込む
✕ 支援体制が手薄な業者を選ぶ:特定技能1号は支援が必須。登録支援機関は2027年4月施行で体制要件が厳格化(支援担当者1人あたり外国人50名・所属機関10社まで等)。担当者あたり何名で運用するかを必ず確認
✕ 安全教育を軽視する:荷役・フォークリフトは労災リスクが高い。やさしい日本語・母国語併用で徹底
※「支援担当者1人あたり50名・10社」は特定技能の登録支援機関の基準です。育成就労の監理支援機関(1人あたり40人未満・8者未満)とは数字が異なる点に注意してください。
よくある質問
特定技能 物流倉庫の受け入れ手続きについて、企業から多い質問をまとめました。各項目をタップ/クリックで回答が開きます(回答は2026年6月時点の公表情報・一次情報に基づきます。最終要件は公式の運用要領をご確認ください)。
Q. 特定技能で物流倉庫の人材を受け入れられるのはいつからですか?
Q. 在留資格の申請にはいくらかかりますか?
Q. 派遣社員として受け入れることはできますか?
Q. 協議会には必ず入る必要がありますか?
Q. 自社で支援できますか?登録支援機関は必須ですか?
Q. 受け入れまでどのくらい時間がかかりますか?
Q. 賃金はどのくらい必要ですか?
まとめ|要件を押さえ、2027年4月へ逆算で備える
特定技能で物流倉庫の人材を受け入れるには、①事業者の要件(対象事業者・直接雇用)②外国人の要件(技能評価試験・日本語)③協議会加入・支援体制の3つが鍵です。受け入れ開始は2027年4月予定で、試験合格者の確保と在留資格の申請には時間がかかるため、逆算での早い着手が有利。申請そのものの官費は無料〜6,000円(2026年度以降の値上げに注意)です。ジンザイネシアは特定技能・育成就労の両方に対応し、要件確認から協議会・支援体制づくり・在留資格の申請サポート・インドネシア人材のご紹介・定着まで一貫して伴走します。新分野は運用開始直後に受け入れ希望が集中しやすいため、試験合格者や支援体制の確保で先行できるよう、情報公開を待つ間も、自社の体制づくりと人材要件の整理を進めておくことを強くおすすめします。
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協議会のしくみの参考
📌 公式情報源(ブックマーク推奨)
| 情報源 | 内容 |
|---|---|
| 出入国在留管理庁「特定技能」 | 制度全般・協議会 |
| 出入国在留管理庁「分野別運用方針」 | 分野別の要件・試験 |
| 出入国在留管理庁 手数料改定 | 在留資格の手数料 |
| 国土交通省(物流政策・倉庫業) | 所管・対象事業者 |
本記事は2026年6月時点の閣議決定・公表情報にもとづきます。試験・要件・手数料等は今後の運用要領・改定で変わるため、最新は公式でご確認ください。

この記事を書いた人
西澤 志門株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。

この記事を監修した人
吉田 卓司株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。
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