インドネシア人の面接 完全ガイド|文化・宗教を踏まえた質問の聞き方と評価のコツ【2026】
採用・インドネシア

インドネシア人の面接 完全ガイド|文化・宗教を踏まえた質問の聞き方と評価のコツ【2026】

結論|インドネシア人を面接するなら

最優先で見極めるのは①長期就労の本気度 ②協調性・素直さ ③意思疎通(日本語)の3点。宗教(礼拝・食事)への配慮は「合否の判断材料ではなく、採用後の受け入れ準備」として聞くのが鉄則です。本記事の質問40例・5軸評価・宗教配慮の早見表で、文化を踏まえた適法な面接ができます。(2026年6月時点)

「インドネシア人を採用したいが、面接で何を・どう聞けばいいのか分からない」「ムスリム(イスラム教徒)が多いと聞くが、宗教のことをどこまで聞いていいのか不安」——受け入れを検討する経営者・人事の方から、よくいただくお悩みです。インドネシアは人口約2.8億人・国民の約87%がイスラム教徒という世界最大のムスリム人口を抱える国であり、面接でも宗教・文化への正しい理解が欠かせません。一方で、宗教や家族構成を「合否のために」聞くと、差別につながる不適切な面接になってしまいます。本記事では、外務省・出入国在留管理庁・厚生労働省の一次情報をふまえ、インドネシア人の面接で確認すべき質問40例・5軸の評価基準・宗教配慮の早見表・オンライン面接のコツ・適法に聞ける範囲を、受け入れ企業の目線で整理します。(2026年6月時点)

📋 インドネシア人の面接 30秒早見表

最優先の見極め①長期就労の本気度 ②協調性・素直さ ③意思疎通(日本語)
評価は5軸で来日・就労動機/協調性・素直さ/意思疎通(日本語)/技能・経験/生活適応・定着 を各5点
日本語の目安特定技能1号=JLPT N4/JFT-Basic A2相当。育成就労(2027年4月施行)はA1相当以上が目安
宗教への聞き方合否では聞かない。「採用後に配慮したいので教えてほしい」と前置きし、礼拝・食事の希望を確認
即見送りのサイン来日動機が曖昧・嘘や誇張・短期で帰国希望なのに長期前提で応募・報連相を避ける姿勢

なぜ文化理解が要/▸ 制度の前提/▸ 5軸評価/▸ 質問40例/▸ 宗教配慮/▸ オンライン面接/▸ 合否判断/▸ FAQ

✅ この記事でわかること

  • インドネシア人の国民性(協調性・家族重視)と宗教の基礎を、決めつけずに実務に落とす方法
  • 来日動機・長期就労意向・協調性・日本語を確かめる具体的な質問40例と各質問の意図
  • 宗教(礼拝・ハラル・断食月)を「踏み込みすぎず合理的に」聞く言い回しと適法な範囲
  • 5軸×5点で迷わず採点できる評価シートと、合否判断の目安
  • オンライン面接で見極める精度を上げるコツと、内定後の定着につながる聞き方

1. なぜインドネシア人の面接は「文化理解」が出発点なのか

インドネシアは人口約2.8億人を抱える東南アジア最大の国で、外務省の基礎データでも国民の約87%がイスラム教徒とされ、一国としては世界最大のムスリム人口を持ちます。ただしイスラム教を国教としているわけではなく、憲法で信教の自由が保障され、イスラム教・キリスト教・ヒンドゥー教・仏教・儒教などが公認宗教とされています。つまり「インドネシア人=全員が同じ宗教生活」ではなく、礼拝や食事の実践度には個人差があります。面接でも「ムスリムだから〜のはず」と決めつけず、本人の希望を一人ひとり確認する姿勢が前提になります。(外務省 インドネシア基礎データ・2026年6月時点)

国民性として広く語られるのが、地域や家族、職場での助け合い(インドネシア語で「ゴトン・ロヨン=相互扶助」)を重んじる協調性と、温和で忍耐強い気質です。これは日本のチームワーク重視の職場と相性が良い反面、家族やコミュニティとのつながりを仕事より優先する傾向もあります。家族の冠婚葬祭や看病で休みを希望することも珍しくなく、長時間労働や家庭を犠牲にする働き方には否定的な人が一定数います。面接では、この価値観を「弱み」とみなすのではなく、「自社の働き方・休暇制度と無理なく合うか」をすり合わせる視点が重要です。

ただし注意したいのは、これらはあくまで傾向であって、個人を決めつける根拠にはならないということです。同じインドネシア人でも、都市部出身か地方出身か、年齢、家庭環境によって価値観は大きく異なります。面接で大切なのは、文化的背景を「理解の補助線」として持ちつつ、最終的には目の前の本人が、自社で長く・前向きに働けるかを一人ずつ見極めることです。インドネシア人材を選ぶ理由や強み・注意点の全体像はインドネシア人材のメリット・デメリットで詳しく解説しています。

📌 公式情報源外務省 インドネシア基礎データ(人口・宗教構成)/出入国在留管理庁

2. 面接の前に押さえる在留資格の前提

面接で見るべき点は、受け入れる制度によって変わります。インドネシア人をブルーカラー職で採用する主なルートは、現時点では特定技能1号です。2027年4月には技能実習に代わる育成就労制度が施行予定で、育成(未経験からの育成)が前提のため面接の見方も少し変わります。まず制度の前提を整理しましょう。

項目 特定技能1号 育成就労(2027年4月施行予定)
在留期間通算で最長5年(1号)。学歴は不問原則3年(その後、特定技能へ移行する想定)
日本語の目安JLPT N4以上、または JFT-Basic(A2相当)に合格が必須就労開始までにA1相当以上(試験合格 or 認定機関の就労課程100時間以上)
試験分野別の技能評価試験に合格が必須(技能実習2号良好修了者は免除の場合あり)未経験から受け入れ可能(育成が前提)
家族帯同不可(1号)不可
面接で重く見る点即戦力性+長期就労意向・協調性未経験者の伸びしろ・素直さ・学ぶ意欲

面接の段階では、特定技能ならすでに技能試験・日本語試験に合格している人材(または技能実習2号修了者)が候補になっているはずです。つまり「資格は満たしている前提で、本当に自社で長く働ける人かを見極める」のが面接の役割です。育成就労は「N5(必須)」と単独で断定されることがありますが、正しくは就労開始までにA1相当以上(JLPT N5・JFT-Basic A1などが目安)であり、誤解しないよう注意しましょう。なお、介護の訪問系サービスは2025年4月に特定技能で解禁済みで、「対象外」ではありません。制度の違いの全体像は外国人材の面接 完全ガイド特定技能の面接の進め方もあわせてご覧ください。

3. インドネシア人面接の「5軸評価」基準

面接官の主観や「なんとなく感じが良い」で決めると、採用のばらつきと早期離職につながります。インドネシア人材で本当に大切な力を5つの軸に分け、それぞれ5点満点で評価しましょう。複数人で同じ軸を採点し、点を持ち寄ると判断が安定します。宗教・家族構成・支持政党などは評価軸に入れません(後述の通り、これらは合否材料にしてはいけません)。

評価軸 何を見るか 高評価のサイン
①来日・就労動機なぜ日本で・この仕事で・自社で働きたいか。長期就労の本気度技能を伸ばし長く働きたい理由が一貫/送金・生活設計の目的を正直かつ具体的に語る
②協調性・素直さチームで働けるか、注意・指導を受け止められるか前職で仲間と協力した具体例を語れる/失敗から学んだ話を素直にできる
③意思疎通(日本語)指示が通じるか、分からない時に聞き返せるか簡単な指示に即反応/分からない時に確認できる/報告・連絡・相談の姿勢がある
④技能・経験自社の業務に近い経験・基礎スキル(育成就労は伸びしろ)経験を具体名・手順で説明できる/未経験でも学ぶ意欲・基礎学力がある
⑤生活適応・定着日本での生活・気候・職場文化に適応し、長く働けそうか日本の生活を具体的に調べている/困った時に相談できる相手・姿勢がある

5軸のうち、特に重く配点したいのは①来日・就労動機と②協調性・素直さです。技能や日本語は入社後の教育で伸ばせますが、「なぜ働くか」という動機の本気度と、チームに溶け込む姿勢は本人の価値観に根ざすため、後から変えるのは簡単ではありません。下の評価シートのように各軸を点数化し、合計と「即見送り要素(赤信号)」を分けて記録すると、複数候補の比較がしやすくなります。

評価軸(各5点) 点数 所見メモ欄
①来日・就労動機(重み大)/5 
②協調性・素直さ(重み大)/5 
③意思疎通(日本語)/5 
④技能・経験/5 
⑤生活適応・定着/5 
合計/25赤信号(即見送り要素)の有無: 有 ・ 無

※ 目安:20点以上=積極採用/15〜19点=条件付き可(弱点の補強策を決める)/14点以下=見送り。ただし①動機が2点以下、または嘘・誇張など「赤信号」がある場合は合計に関わらず見送りを基本とします。

🤝 面接の設計から同席・通訳まで、当社がご支援します

「質問は用意したが、動機や日本語をどう見極めればいいか自信がない」——そんな段階のご相談も歓迎です。当社はインドネシア人材に特化し、現地での事前教育から面接の同席・通訳サポート、採用後の定着まで一気通貫でご支援します。文化・宗教の配慮を踏まえた質問・評価シートもご用意しています。

4. インドネシア人面接の質問40例(意図つき)

そのまま使える質問を、5軸に沿って整理しました。「はい/いいえ」で終わらない、具体的なエピソードを引き出す聞き方を意識すると、本音と実力が見えます。通訳を介す場合も、答えの「中身」と「具体性」に注目してください。

① 来日・就労動機を確かめる質問

質問例 この質問で見たいこと(評価軸)
なぜ日本で働きたいと思いましたか?動機の本気度。お金だけでなく目的が語れるか
数ある国の中で、なぜインドネシアの近い国ではなく日本を選びましたか?日本就労への理解・覚悟
この仕事のどんなところに魅力を感じますか?職種理解。ミスマッチの有無
日本で何年くらい働きたいですか。その後の計画は?長期就労意向。在留資格の前提と合うか
日本で稼いだお金を、どんなことに使う予定ですか?生活設計の現実味。送金目的は正直で良い
日本の生活で、楽しみにしていること・不安なことは?準備度。自分で調べているか
5年後、どんな自分になっていたいですか?成長意欲・将来像の具体性
当社のことを、どこまで知って応募しましたか?志望度。受け身か主体的か

② 協調性・素直さを確かめる質問

質問例 この質問で見たいこと(評価軸)
前の仕事で、仲間と協力して達成したことを教えてください。チームで動けるか。具体例の有無
上司や先輩に注意されたとき、どう対応しましたか?素直さ・指導の受け止め方
仕事で失敗した経験と、そこから学んだことは?誠実さ・成長性。隠さず話せるか
意見が合わない同僚がいたら、どうしますか?対人対応・調整力
分からない作業を任されたら、まず何をしますか?報連相の姿勢。勝手に進めないか
あなたの長所と、直したいところを教えてください。自己理解・誠実さ
忙しくて疲れているとき、気持ちをどう保ちますか?ストレス対処・忍耐力
日本人の働き方で、難しそう・心配なことはありますか?職場文化への適応見込み・正直さ

③ 意思疎通(日本語)を確かめる質問・確認

質問・確認例 この確認で見たいこと(評価軸)
(通訳を一度外し)今日はどうやってここまで来ましたか?日常会話の通じやすさ
今の説明で、分からない言葉はありましたか?聞き返せるか(分からないを言えるか)
「これを2つ持ってきてください」など簡単な指示を出してみる指示理解と反応速度
日本語の勉強は、今どんな方法でしていますか?学習継続の意欲・伸びしろ
休みの日は、何をして過ごしたいですか?自由回答での会話力・生活イメージ
仕事で困ったとき、誰にどう相談しますか?報連相・SOSを出せるか
「危ない」「待って」など、知っている日本語を教えてください。現場で必要な語彙の習得度
数字(時間・個数)を日本語で言ってもらう業務で頻出する数の聞き取り・発話

④ 技能・経験を確かめる質問

質問例 この質問で見たいこと(評価軸)
これまでどんな仕事をしてきましたか。一番得意な作業は?経験の具体性・自社業務との近さ
使ったことのある道具・機械を、名前で教えてください。実務経験の裏づけ(言えるか)
(写真や動画を見せて)この作業の手順を説明できますか?実技の理解度・段取り力
資格・試験はどれを持っていますか。どう勉強しましたか?努力の継続・学習姿勢
未経験の作業を覚えるとき、得意なやり方はありますか?伸びしろ(育成就労で特に重要)
体力に自信はありますか。普段の体調管理は?作業耐性・健康管理の習慣
細かい作業と、力を使う作業、どちらが得意ですか?適性・配置のヒント
前の職場を辞めた理由を教えてください。定着リスク・正直さ

⑤ 生活適応・定着(宗教配慮の確認を含む)

下の質問は合否のためではなく、「採用後にどんな配慮をすれば長く働けるか」を一緒に確認するためのものです。必ず「採用後に配慮したいので教えてください」と前置きしてから聞きます。

質問例 この確認で見たいこと(評価軸)
日本の冬の寒さ・夏の暑さは経験がありますか。心配はありますか?気候適応・生活の現実理解
採用後に配慮したいので教えてください。お祈りや食事で、職場に希望はありますか?受け入れ準備の確認(合否材料にしない)
休みの日にしたいこと・近くにあると助かる場所はありますか?生活立ち上げ支援のヒント
困ったとき、家族や友人に相談できる環境はありますか?孤立リスク・サポート体制
日本食で食べられないもの・苦手なものはありますか?食事配慮の確認(受け入れ準備)
最後に、当社に聞いておきたいことはありますか?疑問を出せるか・相互理解
入社できたら、最初に頑張りたいことは何ですか?前向きさ・初期定着の意欲
日本での生活費・家賃のイメージはありますか?金銭計画の現実味・トラブル予防

5. 宗教・文化への配慮を「踏み込みすぎず合理的に」聞く

インドネシア人材で最も気を使うのが、宗教(イスラム教)への配慮の聞き方です。原則はシンプルで、「宗教そのものを合否のために聞いてはいけない/採用後の配慮のためなら、本人に希望を確認してよい」です。厚生労働省も、本人の適性・能力に関係のない事項(宗教・支持政党・家庭環境など)を採用選考で把握することは、就職差別につながるおそれがあるとして避けるよう求めています。聞く目的を「配慮のため」と明確にし、前置きを必ず添えましょう。

テーマ 背景(一般的な傾向) 合理的な聞き方・配慮(合否材料にしない)
礼拝(サラート)1日5回の礼拝が基本。就業時間と重なる時間帯もある。実践度は個人差あり「採用後に配慮したいので」と前置き → 短時間の礼拝スペース・休憩での実施希望を確認。可能な範囲で場所を用意
食事(ハラル)豚肉・アルコールを避ける人が多い。厳格さは人による「食べられないものはありますか」と業務上の配慮として確認。社員食堂・弁当の表示や別メニューで対応
断食月(ラマダン)年1回、約1か月、日の出から日没まで飲食を断つ人がいる。午後は集中力・体力が落ちやすい時期は事前共有。無理のない勤務・休憩、重作業の時間調整を相談。強制も特別扱いの押し付けもしない
服装・身だしなみ女性でヒジャブ(スカーフ)を着用する人もいる安全・衛生上の必要範囲で制服を相談。宗教的配慮と安全基準の両立を一緒に確認
大祭(イドゥル・フィトリ等)断食明けの大祭は家族と過ごす重要な日。帰省・休暇を望む人もいる年間の繁忙期とすり合わせ、休暇の取り方を早めに相談。家族重視の価値観を尊重

⚠️ やってはいけない聞き方・対応

  • 「あなたはどのくらい熱心なムスリムですか」など、信仰の深さを合否のために探る
  • 「礼拝が多いと困るから」と、宗教を理由に評価を下げる・採用を見送る
  • 家族構成・結婚予定・支持政党など、業務に無関係な事項を選考材料にする
  • 「インドネシア人はみんな〜だから」と決めつけ、本人の希望を聞かずに対応を決める

配慮は「特別扱い」ではなく、長く安定して働いてもらうための環境整備です。実際、礼拝や食事への小さな配慮が定着率を大きく左右します。ムスリムの食事・生活配慮の具体策はハラル対応・食事の配慮、飲食店での雇用配慮は飲食店のムスリム雇用で詳しく解説しています。受け入れ準備の全体像はインドネシア人材のメリット・デメリットもあわせてご覧ください。

📌 公式情報源厚生労働省 公正な採用選考の基本(宗教・思想信条を選考材料にしない)/外務省 インドネシア基礎データ

6. オンライン面接で精度を上げるコツ

インドネシア人材の採用は、現地にいる候補者とのオンライン面接が中心です。言葉だけのやり取りでは「言えるけれど分かっていない」人を見抜けません。視覚と実演を取り入れるのがコツです。

  • 通信環境を事前確認:時差(日本はインドネシア西部時間+2時間)と回線を事前に調整。映像が途切れると表情・反応速度の判断を誤ります。
  • 通訳を一度外す時間をつくる:簡単な日本語の指示への反応を直接見ると、現場で本当に通じるかが分かります。
  • 過去の作業の写真・動画を事前提出:実技は口頭より証拠で。工具・機械を画面に見せて名前を言わせるのも有効です。
  • 立ち上がって全身を見せてもらう:体格・身だしなみ・全身の様子を確認できます。
  • 複数人で同じ評価軸を採点:通訳・現場責任者・人事で点を持ち寄ると、印象に流されません。
  • 現地パートナー(送り出し機関)の所見を併用:日常の様子・出席率・学習態度など、面接で見えない情報を補えます。

オンライン面接で見極めきれない部分は、信頼できる現地パートナーの存在が補ってくれます。送り出し機関の質は採用後の定着に直結するため、選び方はインドネシアの送り出し機関の選び方、人材紹介の全体像はインドネシア人材紹介ガイドで確認できます。採用後の支援体制は登録支援機関の選び方をご覧ください。

7. 合否判断と、内定後の定着につながる聞き方

迷ったときは、「この人と一緒に、長く働きたいと思えるか」を基準にすると判断しやすくなります。技能や日本語が少し足りなくても、動機が本物で、協調性があり素直に学べる人は、入社後に必ず伸びます。逆に技能が高くても、来日動機が曖昧だったり、報連相を避ける姿勢がある人は、早期離職やトラブルのリスクが高くなります。特に育成就労(2027年4月施行予定)では、即戦力性より未経験者の伸びしろ・素直さ・学ぶ意欲を重く見る設計です。

面接は「見極め」だけでなく、内定後の定着の出発点でもあります。面接で確認した宗教配慮・生活の希望・日本語の弱点に対して、入社前に受け入れ準備を整えておくと、早期離職を大きく防げます。たとえば日本語が弱いなら現場用語の絵カードや多言語表示、生活面では礼拝・食事への配慮、孤立を防ぐ相談相手の用意などです。家族重視の価値観に配慮し、休暇や帰省の希望を早めにすり合わせておくことも定着につながります。

⚠️ 即見送りを検討すべきサイン:来日動機が最後まで曖昧/経歴や資格に嘘・誇張がある/短期で帰国希望なのに長期前提の在留資格に応募している/報連相を明らかに避ける/「分からない」を一度も言わず、理解していないのに分かったふりをする。これらは入社後のトラブル・早期離職の前兆になりやすいため、5軸の合計が高くても慎重に判断します。

業種別の面接の要点は、介護の外国人面接ガイド飲食店の外国人面接ガイド宿泊業の外国人面接ガイドで、現場特有の見極め方を解説しています。介護・外食でインドネシア人材を受け入れる全体像は介護×インドネシア外食×インドネシアもご覧ください。

8. よくある質問(FAQ)

各項目をタップで開閉できます。回答はすべて一次情報(外務省・出入国在留管理庁・厚生労働省・国際交流基金)に基づいています。(2026年6月時点)

Q. インドネシア人の面接で、一番大事に見るべきことは何ですか?
①来日・就労の動機の本気度 ②協調性・素直さ ③意思疎通(日本語)の3点です。技能や日本語は入社後に伸ばせますが、「なぜ働くか」という動機と、チームに溶け込み素直に学ぶ姿勢は価値観に根ざすため後から変えにくいからです。インドネシア人は助け合い(ゴトン・ロヨン)を重んじる協調性のある気質が多いとされますが、あくまで傾向であり、最終的には本人一人ずつを5軸で見極めます。
Q. 宗教(イスラム教)のことは、面接で聞いてもいいのですか?
「合否のため」に信仰の有無や深さを聞くのは不適切で、就職差別につながるおそれがあります。厚生労働省も宗教・思想信条を採用選考の材料にしないよう求めています。一方、「採用後に配慮したいので教えてください」と前置きして、礼拝や食事の希望を確認するのは問題ありません。目的が「配慮のため」であることを明確にし、聞いた内容を評価に使わないことが鉄則です。
Q. インドネシア人はみんなイスラム教徒で、礼拝や断食の配慮が必要ですか?
国民の約87%がイスラム教徒(外務省基礎データ)ですが、全員ではなく、実践度にも個人差があります。1日5回の礼拝や断食月(ラマダン)を厳格に行う人もいれば、そうでない人もいます。「ムスリムだから〜のはず」と決めつけず、本人に希望を確認するのが正しい対応です。配慮は特別扱いではなく、長く安定して働いてもらうための環境整備と考えましょう。
Q. 日本語はどのくらいできれば採用できますか?
特定技能1号は、日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2相当の合格が必須です。2027年4月施行予定の育成就労は、就労開始までにA1相当以上(試験合格、または認定機関の就労課程を100時間以上受講)が目安です。資格があっても実際の会話力は別問題なので、面接では通訳を一度外し、簡単な指示への反応を実演で確認すると見極めやすくなります。
Q. オンライン面接で、実力や人柄を見極めるコツはありますか?
言葉だけのやり取りでは「言えるけれど分かっていない」人を見抜けません。過去の作業の写真・動画を事前提出してもらう、道具を画面に見せて名前を言わせる、通訳を一度外して簡単な指示への反応を見る、立ち上がって全身を見せてもらう、といった視覚と実演を取り入れるのがコツです。時差・通信環境の事前確認や、現地の送り出し機関の所見(出席率・学習態度など)の併用も精度を高めます。
Q. 面接で聞いてはいけないことはありますか?
本人の適性・能力に関係のない事項——宗教の信仰度、支持政党、家族構成、結婚・出産予定、思想信条などを「合否のため」に聞くのは避けます。これらは就職差別につながるおそれがあります。評価はあくまで仕事に必要な力(動機・協調性・日本語・技能・生活適応)で行い、宗教や生活の配慮は「採用後の受け入れ準備」として、目的を明示したうえで確認します。
Q. 家族を大切にする傾向は、採用のマイナス要因になりますか?
マイナスではなく、すり合わせの対象です。インドネシアでは家族やコミュニティとのつながりを重んじる人が多く、冠婚葬祭や帰省を大切にする傾向があります。これを「弱み」とみなすのではなく、自社の休暇制度・繁忙期と無理なく合うかを面接で確認し、早めに相談しておくことが定着につながります。むしろ、家族のために真面目に長く働きたいという動機は、長期就労の強い土台になります。
Q. 育成就労が始まると、面接の見方は変わりますか?
2027年4月施行予定の育成就労は「育成」が前提のため、即戦力性より未経験者の伸びしろ・素直さ・学ぶ意欲をより重視する見方になります。日本語要件も特定技能1号(N4/JFT-Basic A2相当)より緩やかで、就労開始までにA1相当以上が目安です。「今すぐ戦力が欲しい」場合は、すでに受け入れ可能な特定技能が現実的です。動機・協調性を重く見る基本は、どちらの制度でも変わりません。

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機関・内容 URL
外務省 インドネシア基礎データ(人口・宗教)mofa.go.jp インドネシア基礎データ
出入国在留管理庁 特定技能moj.go.jp/isa/applications/ssw
出入国在留管理庁 育成就労moj.go.jp/isa 育成就労
厚生労働省 公正な採用選考の基本mhlw.go.jp 公正な採用選考
厚生労働省 外国人雇用mhlw.go.jp 外国人雇用
国際交流基金 JFT-Basic(日本語の目安)jpf.go.jp/jft-basic
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西澤 志門

この記事を書いた人

西澤 志門

株式会社ジンザイネシア取締役。特定技能・育成就労の制度実務と、インドネシア人材の採用・教育・定着支援を専門とする。 登録支援機関として介護・外食・宿泊分野を中心に50社以上を支援。 一般社団法人Nocoders Japan協会理事として、AI・DXによる業務改革も推進。 本コラムでは、受入企業が「本当に知りたい」制度の実務と現場のリアルを発信します。


吉田 卓司

この記事を監修した人

吉田 卓司

株式会社ジンザイネシア代表取締役。 2000年にオイシックス・ラ・大地(東証プライム市場・3182)を共同創業し、2007年に五反田電子商事(現GDX)を創業。2012年にシンガポールへ移住し、2015年にはインドネシアでBeautynesiaを創業のうえ現地財閥法人へ売却。 10年以上のインドネシア在住経験と、日本インドネシア国交55周年の大相撲巡業主催(2013年・1万人以上集客)など現地での実績を基盤に、2023年に株式会社ジンザイネシアを創業。 本コラムでは、特定技能・育成就労に関する制度実務とインドネシア人材の採用・教育・定着支援の知見を、登録支援機関の立場から監修します。

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